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共感性羞恥心とは?感じやすい人の特徴、原因・克服方法を解説!

  • 2023.12.6


自分の周囲の人はもちろん、通りすがりの他人やテレビに映る芸能人のちょっとした失敗までも恥ずかしいと感じてしまう「共感性羞恥」。なぜ自分ごとのように感じて恥ずかしくなってしまうのでしょうか?共感性羞恥の原因や感じやすい人の特徴、その気持ちを抑えたい場合の克服方法などを心理カウンセラーの小日向るり子さんに伺いました。

共感性羞恥とは?意味と読み方



「共感性羞恥」とは、読んで字のごとく「羞恥(しゅうち)」に「共感」してしまう性質を指す言葉です。他人の恥ずかしい状況に対して自分ごとのように共感してしまい、いたたまれなくなってしまう状況で使われます。

その心理状態として、例えばテレビに出る芸人の「スベり芸」で、本人も周囲も芸風とわかった上で笑っているとしても、他人の感情に関係なく「スベっていること」自体を恥ずかしく感じます。また、自分の経験の有無に関係なく他人の失敗に対して共感性羞恥が湧きます。

子どもの場違いな振る舞いに対して、親や教育者が「その行動は恥ずかしいよ」と注意するのは教育的な視点によるものです。しかし、共感性羞恥は基本的に教育的視点ではありません

自分が恥ずかしいと感じる場面で周囲との温度差を感じ、感情を共有できないことに悩んでいる人もいます。


共感性羞恥の具体例



では、どのような状況に陥ったときに共感性羞恥を抱くのでしょうか。共感性羞恥が発生しやすい感情の具体例に照らし合わせて解説していきます。

同僚が怒られている場にいられない


学校や職場で他人が怒られているのを見ると、その理由が何であれ、「怒られている」という場面に対して恥ずかしさを感じます。これは「恥ずかしい」というよりも「心が痛い」に近い感情です。

発表で緊張している人を見ると自分も緊張する


授業での発表や会議のプレゼンで緊張して声が震えている人を見ると、いたたまれない気分になります。自分まで苦しくなる、動悸(どうき)がすることもしばしばあります。

走ったのに電車に乗り遅れてしまった人から離れてしまう


電車に乗ろうと急いでホームを走ってきた人の目の前で扉が閉まった場合、その人に自分が見ていたことを気付かれたら申し訳ない気がして、急いで目をそらしたり、その場から離れたくなったります。

人の罰ゲームを見ていられない


「負けたら罰としてこれをする」と、本人たちが合意していたとしても関係ありません。付き合っている人や友達がその輪の中にいた場合、後から「あのような罰ゲームはもうやめて」など注意を促すこともあるでしょう。

沈黙が続くとつい自分が話し出してしまう


初対面など、比較的付き合いが浅い複数人の環境で生じやすい感情です。自分でも理由がわからないまま「何かを言わなくては」という使命感にかられて、急に話し出してしまいます。

音痴な人の歌を聞くことがいたたまれない


本人が気持ち良く歌っていて、周囲がまったく気にしていない場合にも恥ずかしく感じてしまいます。特に恋人や好きな人が音痴である場合、その気持ちが強くなる傾向にあります。

芸能人がスベっているのを見ていられない


テレビでお笑い芸人がスベっていたり、芸能人のトークが盛り上がっていなかったりする場面で恥ずかしくなってしまいます。

同様に、芸能人が素人をいじるバラエティー番組や、出場者のパフォーマンスをジャッジするオーディション番組に対しても心苦しさを感じます。

そのため、テレビでこのような場面の雰囲気を察知すると避けようとする傾向にあります。

生放送を見るのが苦手


生放送は編集ができないためどんなハプニングが起こるかわかりません。近年はライブ配信コンテンツも多いですが、共感性羞恥が強い人は配信者のことが好きであればあるほどライブに緊張してしまいます。

また、テレビやライブ配信だけでなく、学校の文化祭などのステージに対しても同じ心境になります。


共感性羞恥を感じやすい人の特徴



共感性羞恥が高い人に多く見られる考え方の特徴や、性格の特徴について解説します。

自意識過剰な傾向がある


自意識過剰とは、自分が他人からどう見られているか、どう思われているかを気にしすぎてしまう心理のことです。

自意識が強い気質があり、感情移入しやすい性格の場合、他人の言動に対して共感性羞恥が発生しやすくなります。

道徳観念が強い


「人を笑いものにしてはいけない」「人を安易にジャッジしてはいけない」など、高い道徳観念自体はとても良いことです。

しかし、それが価値観として強すぎると状況を柔軟に受け入れられず、楽しく笑っているシーンでも「あの人が笑いものにされている」と感じ、共感性羞恥が出やすいといえます。

場の空気に敏感


場の空気を読む力にたけていると、少しでもしらけていたり、誰かが苦笑いしたりする雰囲気を察知してしまいます。

誰も恥ずかしくならないようにと自分が頑張ってしまい、後からドッと疲れてしまうということがあります。

完璧主義な傾向がある


「ゼロか100か」という思考が強く、曖昧さや中途半端を嫌う傾向があります。

そのため、「人前で歌うならしっかり歌ってよ」「誕生日デートくらい完璧なプランを立てておいてよ」などの思いが強く出てしまい、完璧にできていない場合に「見ていられない」「その場から去りたい」といった感情になりがちです。


共感性羞恥の原因



状況の具体例や特徴を踏まえて、ここからは共感性羞恥の原因になる心の動きをひもといていきましょう。

もともと自分が恥ずかしがり屋である


「共感性羞恥」とは字の通り、「羞恥心に共感する」という心の状態です。

もとから本人が持っている気質として恥ずかしいと思う感度が強いと、他人に対しても強い羞恥心を覚えやすくなります。

繊細な感受性を持っている


周囲の環境に影響を受けやすかったり、感覚刺激を感じやすかったりする場合、その感度の鋭さから、他人の状況に対しても共感の力が働きやすいといえます。

過去の恥ずかしい体験がトラウマとなっている


強い羞恥を感じる体験が続くことによって、恥ずかいと思うような場面に対して過敏に反応する癖がついてしまう場合があります。

ただし、共感性羞恥の特徴として、必ずしも過去に同じ体験をしているとは限りません。


共感性羞恥の克服方法



共感性羞恥が高いことで生きづらさを感じ、克服したいと考えている人もいるでしょう。克服のためにはどんなことができるのかを見ていきましょう。

克服するのではなく受け入れることを意識する


共感性羞恥を持つ人は共感能力が高い人です。人が困っていることにもよく気が付き、感謝されることも多いはず。その共感力の高さを生かせば自身の強みとなります。

また、自分が恥ずかしい思いをする状況を知ることで、精神的な自己防衛となる場面もあります。

共感性羞恥をネガティブに受け止めるのではなく、自分のアイデンティティーを形成する性格の一部だと受け入れてみましょう。

自分と他人の問題は切り離して考える


他人が抱えている感情に対して、自分は干渉できないと意識することも大切です。

一例ですが、グループでカラオケに行った場合、音痴な人の歌に対して自分が恥ずかしいという思いを抱いたとしましょう。しかし、歌っている本人は音程が外れることよりも、その場を楽しむことを大切にしているということもあります。

物事をどう捉えるかは、本人の問題です。「自分の問題」と「他人の問題」を分けて考える思考を日常的に意識してみましょう。

恥ずかしいという感情に徐々に慣れていく


共感性羞恥を引き起こす場面になるとテレビを消す、その場から離れる、などの行動を取って自己嫌悪に陥ってしまう人も多いです。

自己防衛のための行動なので、決して悪いことではありませんが、克服したい気持ちがあるのであれば、苦手なシーンを全てシャットダウンしてしまうのではなく、少しずつ恥ずかしいという感情に慣れていくのも一案です。このとき、自分と人の問題を分ける意識を持つように心がけてみましょう。


共感力には個人差があることを受け入れて自分らしく生きよう



共感性羞恥を持つのは決して悪いことではありません。共感力が高いのは、相手の痛みだけでなく喜びもわかってあげられる優しい人でもあります。

「こんなときに自分はこう思うんだな」と自分の感情を認めて、自分と他人は別人格であるということを意識することで、共感性羞恥による悩みも改善されていきます。

焦らず、自分のペースで共感する気持ちと向き合い、慣れていきましょう。


取材・文/みつり


【監修】
小日向るり子さん
「カウンセリングスペースフィールマインド」代表。心理カウンセラー。一般社団法人 日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。JAAアロマコーディネーター。恋愛、人間関係、メンタルヘルスなど多くの悩みにカウンセリングを行っている。恋愛や心理系コラムの執筆やメディア出演、監修も多数おこなっている。2023年4月までの相談件数は約5500件を超える。
オフィシャルサイト:http://feel-mind.net/
X(旧twitter):https://twitter.com/ruriyakko1107
ブログ:https://ameblo.jp/r-kohinata/






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