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【悩みがち】「父親と母親が同時に叱ってはいけない」説、本当なの?子育てアドバイザーに見解を聞いた

  • 2023.12.6
「両親が一緒になって叱る」のはよくない?
「両親が一緒になって叱る」のはよくない?

わが子に対する「叱り方」に頭を悩ませる親は多いと思います。そんな中で、「子どもが悪さをしたとき、夫(妻)と一緒になって叱ってしまった」という経験がある人もいるのではないでしょうか。

子育てにおいて、「両親が一緒になって子どもを叱るのはよくない」「親のどちらか一方はフォローに回るべき」といわれることがありますが、これは実際に正しいのでしょうか。「父親と母親が同時に子どもを叱ってはいけない」説について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに見解を聞きました。

「逃げ場が必要な叱り方」がそもそも問題

Q.子どもに対して「父親と母親が同時に叱ってはいけない」といわれることについてどう思われますか。実際、正しいといえるのでしょうか。

佐藤さん「『父親と母親が同時に叱るのはよくない』と考える背景には、『二人で怒ったらかわいそうだ』というような心理が働くからです。確かに、子どもが『ママ(パパ)怖い』と感じるような叱り方では、『逃げ場をつくってあげた方がいいのでは』と思ってしまいますよね。

しかし、『子どもの逃げ場を!』と感じるような叱り方をしてしまうこと自体がそもそも問題であり、そこを改善していくことの方がより優先すべき事項といえます。そのため、『二人が同時に叱るのはダメで、片方ならいい』という話ではなく、叱り方が望ましい形でなければ、片方だけが叱ったとしても、子どもへの悪影響は否めないということです。

後述しますが、叱り役とフォロー役は本来、対立する役割ではありません。子どもを導くという点で同じ方向を向いている存在です。子どもがうまく行動を起こせるようにタッグを組めれば、むしろ“同時”の方が望ましいといえます」

Q.子どもを叱る場面における、両親の「役割分担」は、どのように決めたり判断したりするのがよいのでしょうか。

佐藤さん「私が相談で受けるケースとして多いのは、『片方が叱ってばかりでいたら、子どもが寄りつかなくなってしまった』というものです。お話しをお聞きすると、『こちらが叱り役になろう』というような取り決めでそうなったわけではなく、『片方が厳しく、片方が甘い』という育児方針の違いが要因でそうなっていることがほとんどです。

例えば、母親は『テレビは1日1時間』としっかり管理しているのに、父親は『そこまで厳密にしなくてもいい』と思っているような場合、おのずと母親の方が子どもの時間管理を促すことが増えるため、“片方が叱ってばかり”という状況が出てきてしまいます。その上、たまに子どもを父親に預けて出かけると、子どもにテレビを見せっ放しで過ごしてしまう……。こうなると、子どもからしたら『ママよりパパのルールの方がいい』ので、余計に母親の前で言うことを聞かなくなってしまうのです。これで分かるように、どちらかに役割を寄せるのは望ましいとはいえません。

『叱り役』『フォロー役』は、うまく役割分担をした上で実行している家庭よりも、それぞれの育児への考え方の違いで自然発生的にそうなっていることが多く、この場合、叱り役が『いつもイライラしている』というような精神的ダメージが大きくなってしまいます。

親がそれぞれ違うことを言ってしまうと、子どもはうまく学べません。子どもに届くメッセージが一本化されるよう、まずは夫婦ですり合わせをすることが大事で、“わが家の方針”を決めた上で、その場にいる方が(“導き役”という意味での)叱り役になる、というのが望ましい体制といえるでしょう」

フォロー側の役割は「大目に見ること」ではない

Q.「叱り役」に回る親が、叱るときや子どもと接するときに注意すべきこととは。

佐藤さん「“叱る”というと、怖い顔をして強く指示するイメージがあるかもしれませんが、実際に大事なのは一貫したメッセージです。昨日『いいよ』と言ったことを今日『ダメ』と言うと、子どもは反発したり、ぐずったりして、何とかして昨日と同じ対応を得ようとしてしまいます。よって、自分が叱り役になった際には、一貫したメッセージを送れているかがとても重要です。その軸がないと対応にブレが出るため、子どものぐずりや反抗が増えてしまい、自分の首を絞めかねません。

また、この一貫性は夫婦間においても非常に重要で、先述したように、親が子どもに伝えている内容がバラバラだと、子どもはうまく学べませんし、往々にしてゆるいルールの方に傾いていきます。『昨日も今日も』、そして『パパもママも』という一貫性が子どもの学びに不可欠なので、叱り役になった場合はそこを意識し、ダブルスタンダードに陥らないことがポイントになります。

とはいえ、家庭内の決まり事や約束事を厳しくした方がいいと言っているわけではありません。守れないような厳しい決まりでは結局続かないので、親子が共にまあまあ納得がいくところで約束を交わすことがポイントになります。お子さんを交えて決めることができるのなら、それが理想的です」

Q.では、「フォロー役」に回る親が注意するべきこととは。

佐藤さん「フォローする側で大事なのは、叱っている側の方向性と矛盾しないようにするということでしょう。もし片方が『片付けなさい』と言っているのに、『ママ怖いね』とか『パパがやってあげよう』などと子どもに迎合し過ぎてしまうと、叱っている方がまるで悪者になってしまいます。

フォロー側はその場を見逃したり、大目に見たりすることが役割ではありません。叱る側は、あくまで先述の“わが家の方針”を守るために叱っているので、その視点はずらさずに、子どもがその行動を実現しやすいようなフォローをしていくのが役割といえます。お片付けであれば、『“せーの”で一緒に一つずつこの箱に入れていこう』とか、宿題であれば『ここに持ってきてごらん』のように、一歩目を踏み出しやすくするイメージです。

怒鳴り散らす叱り役から子どもを守るのがフォロー役ではありませんので、ぜひこの機会に、『逃げ場が必要な叱り方をしていないか』というところから、ご夫婦で振り返ってみてください」

オトナンサー編集部

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