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【虎ノ門】大倉集古館「企画展 大倉組商会 150周年 偉人たちの邂逅-近現代の書と言葉」を味わう

  • 2023.12.4
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激動の時代を生きた、日中の偉人たちの書と言葉に出会う

大倉集古館で開催中の「企画展 大倉組商会 150周年 偉人たちの邂逅-近現代の書と言葉」[2023年11月15日(水)~2024年1月14日(日)]を見て来ました。

今から150年前の明治6年(1873)10月に、大倉喜八郎(おおくらきはちろう)によって設立された大倉組商会は、のちに10財閥の1つに数えられる大企業へと成長。

大倉喜八郎と嗣子の喜七郎(きしちろう)は、事業や文雅の場で日中の偉人たちと交流し、詩作や書の贈答を行ったそうです。 大倉集古館の設立とその維持に関わった大倉親子と偉人たちとの邂逅を作品でたどる展覧会です。

※特別の許可を得て撮影しています。展示室内はすべて撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

大倉集古館

あのラストエンペラーの書も《寿聯(楷書七言聯)(じゅれん かいしょしちごんれん)》

大正13年(1924)、清朝最後の皇帝、第12代・宣統帝(愛新覚羅溥儀)(せんとうてい あいしんかくらふぎ)から喜八郎米寿のお祝いに贈られたものだそうです。

濃い墨で一文字一文字しっかりした楷書で書かれた《寿聯(楷書七言聯)》の彩絹の掛軸。 この書が日本に届いた頃には、北京政変が起こり、溥儀は紫禁城(しきんじょう)から退いた後でした。翌年、溥儀は喜八郎と天津の日本租界で再会したそうです。

肥痩のない素直さも感じる筆線は、重厚さもありながら、清朝皇帝に相応しい清雅の趣を感じさせる書です。

出典:リビング東京Web

(右)《寿聯(楷書七言聯)》 愛新覚羅溥儀筆 中華民国 民国13年(1924) 彩絹墨書 大倉集古館蔵

大倉喜八郎の光悦流(こうえつりゅう)と光悦《詩書巻(ししょかん)》

本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)の書を好んで蒐集し、学んでいた喜八郎の書を見ることが出来ました。

喜八郎は、還暦を過ぎて以降、光悦流の書を揮毫するようになったとか。速い運筆で、太く細く変化を付けた筆線は、光悦の書風を思わせます。

下段には、本阿弥光悦筆、俵屋宗達が下絵に関わった可能性が高いとされる《詩書巻》を展示。

軽快な運筆で、太く細く変化に富む光悦の書風と、光悦流の喜八郎の書の競演です。

出典:リビング東京Web

(上段右から)《楽天切貼恵比寿に鶴彦翁狂歌》 大倉喜八郎書 北沢楽天画 昭和元年(1926)、《新発田大倉製紙工場のために》 大倉喜八郎筆 大正12年(1923) 彩箋墨書、《感涙会の歌》 大倉喜八郎筆 大正11年(1922) 彩箋墨書、(下段)《詩書巻》 本阿弥光悦筆 江戸時代・17世紀 花卉下絵絹本墨書 全て大倉集古館蔵

日露戦争開戦前夜、伊藤博文《於日露交渉所感詩(にちろこうしょうにおいてかんずるところのし)》と金子堅太郎《春畝公所感詩(しゅんぽこうかんずるところのし)に対する和韻詩》

日露戦争(にちろせんそう)の開戦決定がなされたことに対する、伊藤博文(いとうひろぶみ)の《於日露交渉所感詩》(右)。

当時、枢密院議長だった伊藤は、多年に渡り日露交渉を担って来ました。開戦決定に、交渉が無駄になってしまった伊藤の無念の思いを託した詩だそうです。

はじめの「四十餘年」の強い打ち込みから、一気に速い筆線で書かれた無念の思いを込めた書。所々の擦れにも空しさを感じさせます。 伊藤はアメリカのルーズベルト大統領と親交の深い金子堅太郎(かねこけんたろう)に渡米を要請して、早期休戦の便宜を図るように依頼。金子が承諾した際にこの詩を詠んだそうです。

左側、金子堅太郎の《春畝公所感詩に対する和韻詩》は、伊藤の作品に唱和した詩。昭和5年(1930)、伊藤の書を入手した大倉喜七郎が、金子に依頼して揮毫してもらった作品だそうです。

出典:リビング東京Web

(右から)《於日露交渉所感詩》 伊藤博文 明治37年~42年(1904-09) 絖本墨書、《春畝公所感詩に対する和韻詩》 金子堅太郎 昭和5年(1930) 絖本墨書 どちらも大倉集古館蔵

激動の時代を生きた人々の息吹を感じる書

大倉集古館「企画展 大倉組商会 150周年 偉人たちの邂逅-近現代の書と言葉」は、2024年1月14日(日)まで。

大倉喜八郎と喜七郎親子の、日中の幅広い交流が伺える近現代の書。各々の書風から偉人たちのイメージが確かに浮かび上がって来ます。 幕末明治から大正、昭和の激動の時代を生きた人々の、魂の息吹を感じる書に出会える展覧会です。 是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

大倉集古館

ミュージアムショップ

ミュージアムグッズは、黒豆きなこ有平糖(500円)、唐紙ハガキ(330円)、版木スタンプ(1,320円)を購入。 版木スタンプは、来年の干支の龍です。

出典:リビング東京Web

ミュージアムショップ 大倉集古館

〇大倉集古館 URL:https://www.shukokan.org/ 〒105-0001東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前) TEL:03-5575-5711

交通:東京メトロ南北線 六本木一丁目駅 中央改札(泉ガーデン方面)より5分 東京メトロ日比谷線 神谷町駅 4b出口より7分 東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 A2出口より8分 東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅 13番出口より10分 東京メトロ銀座線 虎ノ門駅 3番出口より10分 ※お車でお越しの場合はお近くの駐車場をご利用ください。

〇企画展 大倉組商会 150周年 偉人たちの邂逅-近現代の書と言葉 会 期:2023年11月15日(水)~2024年1月14日(日) 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) 休 館 日:毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日、但し1月1日、2日は開館)、12月29日‐12月31日 ※年始は1月1日から開館 入 館 料:一般:1,000円、大学生・高校生:800円 ※学生証をご提示ください。中学生以下:無料 ※同会期中のリピーターは200円引き(前回ご来館のチケットをご持参ください) ※20名様以上の団体は100円引き ※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方と同伴者1名は無料 ※お着物(和装)でご来館の方は200円引(割引併用不可) ※ミュージアムショップ:大倉集古館の営業時間に準ずる

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