1. トップ
  2. ファッション
  3. 何を着たらいいか悩む「服の更年期」も自分らしさが着地点。菅野美穂のファッション観が素敵!

何を着たらいいか悩む「服の更年期」も自分らしさが着地点。菅野美穂のファッション観が素敵!

  • 2023.12.3

菅野美穂、クラシックとモダンの邂逅。【Miho Kanno IN KYOTO】前編

菅野美穂さんと訪れたのは、木々が色づくほんの少し前の京都。観光客で賑わうエリアから西に外れた静かな古刹「妙心寺 退蔵院」を特別にお借りし、撮影を行いました。纏うのはエルメスやヴァレンティノ、フェンディなど、メゾンブランドの秋冬コレクション。和と洋、クラシックとモダン……相反する世界観が不思議と調和する、スペシャルなカバーストーリーをお届けします。デビュー30年の節目を迎えた俳優・菅野美穂さん。40代を折り返した今も清々しいほどの真面目さをたずさえて新たな挑戦に向かっている最中。

美しいドレープを描く、このうえなくエレガントなエルメスのドレス。足元に合わせたのはパンプスではなくサイハイブーツ、というバランスがモダン。静寂な緑の空間に深紅が映える。ドレス¥955,900、ブレスレット¥463,100、左手リング¥1,474,000、右手リング¥763,400、ブーツ※参考色¥369,600(全てエルメス/エルメスジャポン)

今回のインタビューは、京都でのシューティングや等身大のファッション観に加え、現在、主演を務めるドラマについて。目の前にいるお芝居をしていない菅野さんは、飾り気がなく朗らか、ポロッとこぼす弱音もなんだかユーモラスで湿り気がまったくない。30年という誇るべきキャリアも見せびらかすことなく、母として俳優として日々を懸命に大真面目に生きる熱が、その華奢なからだに宿っている。

着心地のいいシンプルな服に、アクセサリーで自分らしさを

—まずは京都での撮影はいかがでしたか?
 
「京都で仕事というと時代劇が多いんですが、今回はファッションの撮影ということもあってすごく楽しかったです。振り返ってみると、前回、同じチームで撮影したとき(編集注:本誌2019年1月号)はお腹に娘がいて、今回は子どもたちと離れて泊まりで撮影に来ていることを思うと時間の流れも感じました。普段の雑誌の撮影の感じと違って、オトナミューズではそのままの姿でいられるのも新鮮でしたし、ストーリーのある素敵なページを組んでいただけて嬉しいです」

—各メゾンの秋冬のコレクションを纏っていただきました。プライベートで着られる機会もありますか?
 
「ザ・ロウで、もうこの先ずっと着られるシンプルなパンツなどを何着か購入しました。洗濯しようと思ってタグをチェックしたら、タグが簡単に取れるようになっていて、ブランド名で勝負していない気概みたいなものを感じたんです。ロゴも控えめですし、シックでタイムレス。なぜこんなに多くの人がザ・ロウに惹かれるんだろう? と思っていたけれど、その答えが分かったというか。日常生活に溶け込むことを考えるとザ・ロウって袖を通しやすいのかもしれない。それでいて、服について人生を懸けて考えてる人たちが作る服だから、着たときに迫力を感じます。背筋がシャンとするというのかな。ただ、やっぱり素材が上質な分、大雑把な私にとっては慎重に丁寧に扱わなくちゃいけない“お嬢様”なアイテムです」

究極にシンプルなデザインながら、「あ、これザ・ロウだよね」と思わせる絶妙な存在感。ジャケット¥438,900、シャツ¥181,500、パンツ¥218,900、シューズ¥207,900(全てザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン)、パールネックレス¥990,000、ロングネックレス¥682,000、ダブルフィンガーリング¥792,000(全てTASAKI)

—40代を折り返したところですが、ファッションに何か変化は訪れましたか?
 
「何を着たらいいか分からない“服の更年期”を感じることが増えました。でも、時代的にトレンドにも多様性があって、自分らしさが大事であり、トレンドではなくても“らしさ”を楽しめるようになってきたなと思います。大きく体重は変わっていないけど、ボデイラインがぼやけてきたり、かつて好きだった服が似合わなくなってきたなとか悩みはありますけど、だからこそ服はシンプルにして、アクセサリーで自分らしい楽しみ方をするっていうのが最近の着地点。子どもの送り迎えなどでネイビーを着る機会が増えたんですが、TASAKIのジュエリーはすごく万能で愛用中です。デインジャーのラインは遊び心のあるデザインで、嬉しいことにイヤリングが豊富。シンプルな服にもマッチするのでつい手に取りがち。服でいうと、すぐにクリックしてしまうのがアンクレイヴで、シンプルだけどトレンドのアップデート感が絶妙というか程よくて着やすい。素材がいいのですごくお得感もあります。身近にいるマネージャーからは、仕事のときのほうが楽しげな服を着ていると言われることが多いですね。一時期はマルジェラのタビブーツを仕事の度にはいていたら、『そのブーツしか持ってないんですか?』って言われたほど(笑)。お仕事中は、現場に入ったらすぐに衣装に着替えるんですけど、私服でいられる時間が短いからこそ好きな服を着るようにしています。もちろん、今日はなんでもいいやって日もありますけどね」

—秋冬で購入したいものはありますか?
 
「ずっと新調したいなと思っているのがトレンチコート。今着ているのは、一人目の子どもを産むとなった8年前に購入したセリーヌのトレンチで、フィービー・ファイロのラストシーズンのものです。抱っこ紐で子どもを抱えた上から羽織れるオーバーサイズで、これは一生モノだ! と購入したんですが、8年も着続けていると袖や裾が擦り切れてしまってボロボロに。10月にフィービーが復活したので、素敵なコートに出会えることを期待しています」

オーバーサイズのシャツドレスに黒のタイツ、というグッドガールな着こなしが大人の可愛らしさを表現。撮影現場のスタッフから「欲しい!」の声が集中したルック。ドレス¥485,100、シューズ¥189,200(共にフェンディ/フェンディ ジャパン)、イヤーカフ¥455,400、リング¥598,400(共にTASAKI)、タイツはスタイリスト私物

妙心寺 退蔵院
みょうしんじ・たいぞういん_日本最大級の禅寺「妙心寺」内の46の塔頭寺院のひとつで、室町時代である1404年に創建。初期水墨画の代表作である国宝「瓢鮎図」を所蔵していることで有名。ほか、「元信の庭」や「余香苑」、「陰陽の庭」などの庭園を有し、四季折々の豊かな自然を楽しむことができる。なかでも見事な「紅枝垂れ桜」は、過去に「JR東海 そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンに登場するなど、退蔵院を象徴する存在。

profile_かんの・みほ/1977年8月22日生まれ。埼玉県出身。1993年に俳優デビュー。直近の出演作に、ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』、映画『明日の食卓』『仕掛人・藤枝梅安』シリーズなどがある。現在、主演ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』がテレビ朝日系にて毎週木曜夜9時から好評放送中。

後編もお楽しみに!

photo:TISCH[MARE Inc.] styling:CHIKAKO AOKI hair & make-up:KEIKO CHIGIRA[cheek one] produce:MAKI KONIKSON[Konikson Productions,LLC.] model:MIHO KANNO interview & text:HAZUKI NAGAMINE

otona MUSE 2024年1月号より

元記事で読む
の記事をもっとみる