ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
クリスマスがやってきた!
クリスマスの季節になるとドイツでは特別なお菓子を焼きます。みなさんご存じのシュトレンをはじめとして、たくさんの種類のクリスマスクッキーが存在します。どの家庭でも一度に何種類かのクリスマスクッキーをたっぷり焼いて用意する。クッキーは日持ちがするので一度の手間ですむので助かります。そして暖かな部屋で蝋燭を灯して、家族や友達との団欒の時間を豊かに過ごすのです。
そんなふうにクリスマスクッキーを焼き始めると、家中になんともいえないスパイスの香りが充満します。シナモン、クローブ、カルダモン、フェンネル、オレンジ、ラムなどなど。独特のクリスマスの調合がなされたスパイスの香りは今だけのもの。この香りを嗅ぐと子どもたちが「クリスマスがやってきた!」とわくわくするのです。
ドイツの日常の食卓は淡々と、そしてシンプル、台所は楽に質素にがモットーです。だからこそ、この特別感がたまらなくワクワクする。逆に、日頃から頑張りすぎると、クリスマスなどの行事ごとを負担に感じてしまうかもしれません。
だから食卓も暮らしも、ハレとケのメリハリって必要だなぁと思うのです。そしてまた、特別なことをしたらちゃんと休む。他で手を抜く! というバランスも大事。ドイツ的メリハリライフで楽しいことを楽しめる余力を残した年末を迎えたいな、と思います。