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【漢字】「大音声=だいおんせい」は間違い!?実は読めそうで読めない漢字3選

  • 2023.12.2

今回もCLASSY.ONLINEでは間違えやすい「三字熟語」を紹介します。学校でも、あちこちのWEBの漢字読み方記事でも、「四字熟語」と比べて取り上げられる機会が少ない「三字熟語」ですが、読み方が難しいものが結構あります。

1.「十進法」

最初は、「十進法」です。何て読みますか?「これは簡単!『ジュッシンホウ』でしょう」と答えた方は、本当にいいですか? 一応、例文を示します。「10ずつまとめて位を上げていく数の表し方を十進法という」

正解は、「ジュッシンホウ」ではなく、「ジッシンホウ」です。「十歳」「十点」「十分(時間)」など、「十」の音読み「ジュウ」にひかれて、「ジュッ」と読んでしまいがちですが、「ジッサイ」「ジッテン」「ジップン」と読むのが、本来の読み方です。
ただし、2010年改定の常用漢字表で、「十」の備考欄に「『ジュッ』とも」と加えられましたので、今では「間違い」と言い切れないかもしれませんが、正式な読み方は「ジッ」であることは覚えておいてください。テレビのアナウンサーも、伝統的な読みである「ジッ」で読んでいると思います。

2.「義捐金」

次は、「義捐金」です。何と読むでしょう? 例文は「義捐金で被災した地域を援助する」。「ギソンキン」とか「ギケンキン」と答えた方はいませんか?

正解は「ギエンキン」です。「それは『義援金』でしょう?」と言うあなた、「義捐金」は、皆さんがよく目にする「義援金」と同じ意味です。いや、「被災者救援などを目的として寄付する金銭」という意味の「義援金」は、もともとは「義捐金」と書きました。しかし、「捨てる・投げ出す」という意味を持つ「捐」は常用漢字外のため、常用漢字に含まれる同じ発音の「援」を借りて、「義援金」という表記の言葉ができあがりました。つまり、「代用品」です。しかし、「助ける・救う」という意味の「援」には「支援」「救援」という熟語がありますから、自然と「義援金」の表記のほうが一般的になってしまいました。ただし、「義捐金」という言葉がもとですから、これを使っても何ら間違いではありません。「(正)義のために(見返りを考えずに)お金を投げ出す」という本家のこちらも、ぜひ覚えておいてください。

3.「大音声」

最後は「大音声」です。何て読むでしょうか? 例文は「突然の大音声に肝を冷やした」。「ダイオンセイ」と読んだ方はいませんか?

正解は「ダイオンジョウ」でした。意味は「大きな声」ですので、「大声(おおごえ)」と同じです。常用漢字「声」の音読みには、「セイ」と「ショウ」があります。たとえば「声明」も「意見・見解」という意味で使われていれば、「セイメイ」と読みますが、「仏教寺院で僧が唱える音楽」なら「ショウミョウ」となりますね。「ショウ」「ミョウ」は「呉音」と言って、最も古い時代に朝鮮半島を経由して日本に伝わった音で、仏教語に多いのが特徴です。現在、「声」を「ショウ(ジョウ)」と読む言葉はそう多く残っていませんが、その一つ「大音声(ダイオンジョウ)」は『平家物語』など古典にも登場する歴史ある言葉です。

ライターが勤務している学校の授業で、「読み間違いやすい漢字」プリントを配りました。その中に「湯湯婆」がありました。もちろん、「ゆたんぽ」という読み方は難読と言ってよいのですが、今の高校生は、「ゆたんぽ」そのものを知らないのですね。「中に湯を入れ寝床などに入れて、足や腰を温める道具」である「ゆたんぽ」は、一定年齢以上の方々にしかわからない言葉となってしまったのでしょう。では、今回はこのへんで。

《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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