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ホアキンはすごい人よ。注目の演技派俳優ヴァネッサ・カービーが語る新作映画『ナポレオン』裏話

  • 2023.12.2

軍神を惑わせるミューズ



これまで数多く映像化されてきたナポレオンの伝記。そのほとんどが、天才的な策士だったことやフランス革命をきっかけに皇帝にまで上り詰めた英雄談だったりして。ところがリドリー・スコット監督の最新作『ナポレオン』は、彼の弱さにスポットを当てた異色作。しかも、『グラディエーター』など、超大がかりな歴史劇傑作を数々手がけてきたスコット監督らしく、スクリーンじゃないとこの素晴らしさが伝わらない! っていうスケール感。「リドリーはまぎれもない巨匠ですし、とても親切で愛情深くて温かい人。そして楽しそうに仕事する人です。昔からずっと、そして今も変わらず映画作りが大好きでたまらないのでしょうね。そして、その愛が周囲に伝播していくんです」と語るのは、ホアキン・フェニックス演じるナポレオン唯一の弱みとなる最愛の女性ジョゼフィーヌを演じたヴァネッサ・カービー。
 
「リドリーとホアキンが再タッグを組んで密接に仕事をする姿を見られて嬉しかったです。2人の間にはとても強い絆があるんです。『グラディエーター』からの歴史があり、きっと家族のような関係なのだと思います。リドリーは俳優が自分でなすべきことをすると全面的に信頼してくれていて、好きに演じてほしいと思ってくれています。彼は複数のカメラを一気に回すのですが、これはとてもユニークな撮影方法で、俳優たちはそのシーンの中に自然に存在して、臨機応変に演じる必要があるのです。ある種、即興のような感じ」
 
ジョゼフィーヌはナポレオンが溺愛する女性。最初は彼女もナポレオンにべた惚れだったのに、戦で家をあけることが多い分、ちょっとした浮気心も出てしまい、そこからは彼の愛情がこじれて、愛憎まみれた関係になる。
 
「役作りは、まずジョゼフィーヌに関する文献を可能な限り読み漁り、みんなでパリに行き、ナポレオン博物館やマルメゾン城を訪れました。私は個人的にジョゼフィーヌのお墓も見に行きました。彼女のような象徴的な女性について知ることができたことは俳優の特権だと思いますし、彼女を演じる機会を得られたことは本当に光栄でした。ナポレオンと比べると、ジョゼフィーヌの歴史や物語に光が当てられることはこれまで少なかったので、本作で彼女が描かれるのは素晴らしい機会だと感じたんです」
 
共演のホアキン・フェニックスについては「本当にすごい人!」と大絶賛。
 
「ホアキンは、ナポレオンの特異な心理描写を見事にやってのけました。ナポレオンは“自分がやりたいと思ったことは全部実行したい”という考えを持つ男。ナポレオンの中にある真っ黒で不穏な部分に、恐れずに踏み込んでいくホアキンの姿は、本当に驚異的でした。それでいて、セットから下りるとみんなと一緒に笑ったり楽しい時間を過ごすんですよ。びっくりです」


Vanessa Kirby 1988年4月18日、ウィンブルドン生まれ。2009年に舞台でキャリアを始め、2010年にスクリーンデビュー。2016年からNetflixオリジナル『ザ・クラウン』のマーガレット王女役を演じて人気を得た。『私というパズル』(2021年)でアカデミー賞主演女優賞で初ノミネート。

『ナポレオン』
story フランス革命でめきめきと頭角を現した革命政府軍のナポレオン(J・フェニックス)。最愛の女性ジョゼフィーヌ(V・カービー)と結婚し、総司令官にまで上り詰めた彼は、やがて皇帝に。ところが、ジョゼフィーヌへの歪んだ愛ゆえに、彼の人生は次第に歯車が合わなくなり......。
監督:リドリー・スコット/出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー、タハール・ラヒム、ルパート・エヴェレット ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/公開:12月1日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

text : Masamichi Yoshihiro
otona MUSE 2024年 1月号より

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