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ヴィンテージデニムに多い「ボタンフライ」って、いつから始まった?【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.65】

  • 2023.12.1
ヴィンテージデニムに多い「ボタンフライ」って、いつから始まった?【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.65】
出典 FUDGE.jp

出典:出会いはまさに奇跡!“ヴィンテージデニム” に惹かれて

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第65回目は「ボタンフライ」について。ジーンズの前開きによく見られる「ボタンフライ」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】まずは「ボタンフライ」を知ろう。

ヴィンテージデニムに多い「ボタンフライ」って、いつから始まった?【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.65】
出典 FUDGE.jp

出典:デニムジャケットをコーデの主役にしたスタイル【本日のFUDGE GIRL-4月5日】

「ボタンフライ」とは、主にジーンズのフロントがボタンで開閉する仕様のことをいいます。「比翼」と同義で、そのボタンが表からは見えないように二重に仕立てあり、「比翼」と同義で使われます。「ネオバボタン」または「センターボタン」と呼ばれることもあります。

 

【歴史】グローブをはめたまま、開閉しやすいから?!

ヴィンテージデニムに多い「ボタンフライ」って、いつから始まった?【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.65】
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出典:初夏に着こなす薄色デニムコーデ【FUDGEガールの着こなしSNAP】

19世紀、パンツの前開きは「ボタンフライ」が主流になります。そのため1870年代に生まれたジーンズでも、前開きには「ボタンフライ」が採用されました。当時は「ジッパー」がなく、ジーンズは「ボタンフライ」のみ。 また今と違って、特別な加工がされていない、いわゆる「生デニム」は洗濯によって縮んだり、ねじれたりしやすく、もしジッパー仕様になっていると、噛み合わせがうまくいかなくなるため、ボタンフライのほうが、相性がよかったともいえます。

ジーンズはそもそもアメリカの鉱山労働者のために開発されたワークウエア。危険が伴う現場で、スコップやショベル、ハンマーといった作業工具を扱う手を保護する厚手のグローブを着用していた労働者にとって、ボタンフライは好都合。グローブをはめたまま、ジーンズのフロントを開閉する際に、「ジップ」の小さなつまみをつまむなんて無理に等しい! 「ボタンフライ」が適していたんです。

 

【雑学】ジーンズは元々、鉱山労働者のためのものだった!

ヴィンテージデニムに多い「ボタンフライ」って、いつから始まった?【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.65】
出典 FUDGE.jp

アメリカでジーンズが誕生した当初、しばらくの間使われていた、「ボタンフライ」用のボタンには、“UNION MADE”と書かれているものがあります。このUNION(ユニオン)とは、アメリカの労働組合のこと。つまり、“UNION MADE”印は、労働組合が作った製品である証。まさにジーンズが、鉱山労働者のためのものであったことを示すものでもあるわけです。そんなことから“UNION MADE”ボタンがついた「ボタンフライ」ジーンズは希少価値の高いものとして、ヴィンテージマニアの間で高額で売買されるアイテムのひとつとなっています。“UNION MADE”ボタンは、ジーンズの場合、いちばん上についていることがほとんどで、その下に縦に並ぶボタンには、真ん中に穴があいた通称「ドーナツボタン」や、鉄やスチール製のカバーが被せられた現在のリーバイスで見られる「カバードボタン」などがありました。

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

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