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しいたけ.さん「友達やパートナーに対して“なんでわかってくれないの?”と思い始めたら要注意」

  • 2023.11.26

社会のあらゆる場所で「配慮」が求められ、キャパオーバーになっていると、作家、占い師のしいたけ.さん。適切な配慮の仕方について考えます。

配慮の仕方

歪んだ配慮が溢れ、身動きのとれない状態に。

「察すること」を美徳とした、配慮を重んじる文化も日本独特のものだと思います。でも最近はクレーマーや炎上しやすいSNSのせいで、「誰も逆なでしないように配慮しなければ」といった疲労を伴う言葉として使われ、歪な配慮が溢れかえってしまっている。「お客様は神様です」という言葉が本来の意味を逸脱し、「消費者は神のように丁寧に扱われるべき」といった意味で使われているのも、現代の怖さが表れている気がします。

少し前、こんな話も聞きました。海外の人が日本のビジネスや組織の成長について分析したところ、成長や進化を阻む原因に“クラッシャー”の存在があるというのです。クラッシャーとは、意味もなく不機嫌になったり、自己主張のための極端な意見や喧嘩のための議論をふっかける人たちのことで、それにより物事の進行がストップせざるを得ないと。そして日本では、そういうクラッシャーたちを「配慮すべき存在」として扱い、ときには迎合しているために成長しきれていないという指摘で、すごく納得してしまって。昨今のいじめ問題も同様で、本来はいじめた側が厳しい措置や適切なカウンセリングを受ける必要があるのに、問題を抱えたその人たちが配慮され、保護されてしまう現状がある。もちろん、そういう部分だけを取り上げて「だから日本はダメなんだ」と言うつもりは全然なくて、配慮する文化の良さがたくさんあるのもわかっています。でも明らかに、その配慮せざるを得ない人たちにコストをかけすぎて、賄えないところまで来ている。それは事実としてあると思います。

ルールを決めることと言語化で不要な配慮を撲滅。

気を付けたいのは「察してほしい」気持ちは誰しも持っていて、身近なところでも配慮を介して「守る」「守られる」の関係が容易に成り立ってしまうこと。自分が友達やパートナーに対して「なんでわかってくれないの?」と思い始めたら要注意だし、相手にそういった内容をぶつけられると非常にキツイ。その人が何を求めているか常に配慮し、“お世話”をしなきゃいけなくなるから。相手が赤ちゃんだったら仕方ないけど(笑)、それってもう対等ではなく保護者ですよね。そこにコストをかける価値があるのか見極め、ルールを決めて「私にできるのはここまでです」と提示することも大切だと思います。それによって相手と距離ができてしまっても、ある程度は仕方ないかなと。ルールを理解してくれる、価値観の合う人を大切にして関係を深めていく。これからはそういう時代になっていくと思います。

また自分が「守られる」側にならないためには、言語化が本当に重要です。「察して」モードにハマると、配慮されることが当たり前になって保護者を探し続けることになるし、要望が叶えられなかった時に不機嫌から抜け出せなくなってしまう。僕はそれを実体験として知っているので(笑)、伝えられなかったことを日記につけ、どう伝えたらよかったか、どういう態度をとるべきだったか「ひとり反省会」をしていて。昔より言語化できるようになって、ずいぶん生きやすくなりました。周囲に不要な配慮を生まないためにも「言わなきゃわからん」ということは、強くお伝えしたいですね。

しいたけ.さん 作家、占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら、占いを学問として勉強する。『しいたけ.の小さな開運BOOK』『しいたけ.のやさしいお守りBOOK』(共に小社刊)が好評発売中。

※『anan』2023年11月29日号より。イラスト・100%ORANGE 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)

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