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庭木におすすめ! 落葉樹のメリットや人気の落葉樹をご紹介

  • 2023.11.27

「庭に樹木を植えてみたいけれど、種類がありすぎるので、かえって何を植えたらいいのか分からない」と迷っている方も多いのでは? この記事では、落葉樹の魅力についてご紹介。落葉樹の特徴から庭木としてのメリット、おすすめの樹種まで、幅広く解説していきます。

落葉樹とは

落葉樹
Svineyard/Shutterstock.com

落葉樹は、気温が低く、日照時間が少なくなって秋が深まると全ての葉を落とし、休眠期に入る樹木のことをいいます。葉がつくられてから1年以内に落葉するので、一年周期で表情が変化していく姿を楽しめるのが魅力です。ほとんどは葉が薄めの広葉樹で、低温で落葉する夏緑樹と、乾燥で落葉する雨緑樹に分けられますが、ここでは日本で一般に栽培されている夏緑樹について解説していきます。また、成木の自然樹高のサイズによって、高木、中木、低木に分類することができます。

葉が落ちるメカニズム

落葉の仕組み
nuu_jeed/Shutterstock.com

落葉樹が葉を落とすのは、日が短く、気温が低くなると光合成の生産量が少なくなり、葉を保つためのエネルギー量が足りなくなるからです。落葉への準備は着々と進み、気温が低くなるにつれて葉柄の付け根に「離層」というシャッターのような役割をする層が少しずつつくられます。それと同時に、葉の中にある成分で利用できるエネルギーを回収し始め、緑色の色素のクロロフィルが徐々に分解され、カロテノイドの色素が目立って、葉が黄色く変化。さらに限界まで長く光合成を続ける樹種は、アントシアニンという色素がつくられて赤く紅葉します。そして離層のシャッターが完成すると、葉は自然に剥がれ落ちていくのです。

落葉樹を庭木にするメリット

庭がある環境にお住まいなら、シンボルツリーを植えて目を引くポイントにすると、立体感や奥行き感が生まれます。特に落葉樹は、新緑・開花・結実・紅葉と四季によってその姿が変化し、庭に表情を与えてくれるので、シンボルツリーとしておすすめ。その魅力についてご紹介します。

見た目で楽しめる

花木
Ekaterina Pokrovsky/Shutterstock.com

落葉樹の魅力は、なんといっても季節の移ろいをはっきりと感じられることです。春に枯れ枝から新芽が吹き始める時期は感動的ですし、花を楽しめる花木なら爛漫と咲く姿を楽しめます。夏には葉をたっぷり茂らせて緑陰をもたらし、秋が深まると紅葉する姿も見事です。実を結ぶ樹種もあり、収穫して食べられるものもあれば、愛らしく観賞価値が高いものもあります。「今年も花が咲いたね」「たくさん収穫できたからジャムを作ろうか」など、落葉樹を通して、家族の会話も弾みそうです。

夏は涼しく、冬は暖かい

夏のシンボルツリー
Photographee.eu/Shutterstock.com

温暖化が進んで、年々暑くなっている日本の夏。少しでも涼しく乗り切りたいなら、大きめの落葉樹を植栽するのも一案です。成長期にたっぷりと枝葉を伸ばして、夏に緑陰をもたらす落葉樹を選べば、涼風を呼び込んでくれます。庭やリビング前に影を落とす位置に植えると、焦げつくような夏の日差しを遮ってくれます。一方、冬になればすっかり葉を落とすので、低くなった太陽の光を遮ることなく室内まで届け、暖かな陽だまりをもたらしてくれます。

ただし、交通量が多く外からの視線が気になったり、隣家と密接して目隠しが欲しい場合などは、落葉樹は葉を落とした冬の対策が必要。常緑樹やアーチなどの構造物とうまく組み合わせるとよいでしょう。

落葉樹の種類

落葉樹は、木の高さ(樹高といいます)によって、低木、中木、高木の3つに大別できます。ここでは、それぞれの特性や庭での生かし方、主な樹種についてご紹介しましょう。

低木

低木の落葉樹
speakingtomato/Shutterstock.com

自然樹高が0.5〜2mくらいに収まるものを低木といいます。木姿がコンパクトにまとまって管理がしやすく、宿根草と中高木をつなぐ役割として重宝。庭に立体感や奥行き感を表現してくれます。主な樹種には、アジサイ、キンシバイ、コデマリ、コムラサキ、ドウダンツツジ、メギ、ヤマブキなどがあります。

中木

中木の落葉樹
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

自然樹高が1.5〜3mになるものを中木といいます。剪定によって樹高を抑えれば低木として利用でき、のびのび育てれば高木の代わりにシンボルツリーとして利用できるという、汎用性があるのが長所です。主な樹種には、ウツギ、バイカウツギ、ハナズオウ、ブッドレア、ブルーベリー、ボケ、ボタン、マユミ、ミツマタ、レンギョウなどがあります。

高木

高木の落葉樹
Martin Fowler/Shutterstock.com

自然樹高が3m以上になるものを高木といいます。中には15m以上に達するものもありますが、適切な剪定をすれば樹高を低くキープできるので、「日陰になって困りそう」と心配する必要はないでしょう。ダイナミックに枝葉を広げる姿で、存在感のあるシンボルツリーになってくれます。主な樹種は、ウメ、エゴノキ、カエデ、ケヤキ、モクレン、サクラ、サルスベリ、ジューンベリー、シラカバ、スモークツリー、ハナミズキ、ハナモモ、ムクゲ、ヤマボウシ、ライラック、ロウバイなど。

おすすめの落葉樹【7選】

シンボルツリーとして庭に植樹するのにおすすめの落葉樹を、7種ピックアップしました。花の美しいもの、果実を収穫できるもの、紅葉が美しいものなど、いずれも人気の高い樹木です。また、比較的メンテナンスの手間がかからず、ビギナーにも育てやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。

ハナミズキ

ハナミズキ
Lilac Mountain/Shutterstock.com

ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、原産地は北米東部〜メキシコ北東部。春にたっぷりと花を咲かせ、花色には白、ピンク、赤があります。品種も多様で、葉に斑が入るものも。シンボルツリーに向いており、自然樹高で8mにも達しますが、毎年の剪定によって樹高をコントロールすることができます。成長速度はやや遅めなので、管理しやすい樹木です。4月から新芽を伸ばし、4月中旬〜5月中旬に開花。10月頃に小さな赤い実をつけ、11月頃には紅葉が見られます。やがて葉を落として12〜3月に休眠に入るというライフサイクルです。日当たりがよく、やや乾燥気味の環境を好みます。植え場所には、西日が強く当たる環境は避けたほうが無難です。若木のうちは芯が1本で上に伸びますが、成長と共に芯が分かれて枝が横に広がる自然樹形となるため、植え付けには余裕のある場所を選ぶとよいでしょう。剪定は休眠期の冬に行い、込んでいる部分や不要な枝を切り取ります。

ジューンベリー

ジューンベリー
Iva Vagnerova/Shutterstock.com

バラ科ザイフリボク属の落葉高木で、原産地は北アメリカ。自然樹高は5mほどになりますが、一般住宅でシンボルツリーにするなら樹高3mくらいに抑えて管理するとよいでしょう。寒さ、暑さに強く、初心者でも育てやすい樹木です。4月頃から新芽を出し始め、4月下旬〜5月下旬に小さく白い花が満開になる姿は見応えがあります。6月には赤い実をつけ、生食やジャムに利用できるのも人気が高い理由です。ただし、鳥に食害されることが多いので、ネットを張るなどの対策を講じましょう。11月頃に紅葉したのち、12〜3月に休眠します。剪定は休眠期に行いますが、比較的自然に樹形が整うので、不要な枝の剪定程度でOK。枝が込みすぎると実つきが悪くなるので、木の内側にまで光が入るように透かし剪定を心がけます。株元からひこばえが出やすいので、1本立ちの樹形ではその都度切り取りましょう。株立ちの場合は、常に5本程度にし、古い枝と若い枝を切り替えながらスマートな姿をキープします。

アオダモ

アオダモ

モクセイ科トネリコ属の落葉高木で、原産地は日本。アオダモとは、落葉性トネリコ属の広義の呼称です。自然樹高で10〜15mにもなりますが、適期の剪定によって樹高を抑えれば、一般住宅でもシンボルツリーとして利用可能。薄くて繊細な葉がそよ風に揺れる様子は軽やかで、夏に涼風を呼ぶ緑陰をもたらしてくれます。特に株立ち種を選べば、その魅力が際立つのでおすすめ。4月頃から新芽を出し始め、5月頃にふわふわとした白い花を房状に咲かせます。雌雄異株で、雌株には10月頃に赤紫の実がついてきれいです。11月頃に紅葉したのち、12〜3月に休眠します。大きく育つので、植え付けの際は、樹冠を広げても余裕のある広さを確保しましょう。日本に古くから自生してきた樹木のため、手をかけなくても旺盛に育ちます。剪定の適期は、休眠期と6〜7月。込み合っている部分や伸びすぎている部分などを切り、木の内側まで光が入るようにし、風通しをよくします。軽やかな枝ぶりが魅力なので、強い切り戻しは避けたほうがよいでしょう。

ライラック

ライラック
Lyudmila2509/Shutterstock.com

モクセイ科ハシドイ属の落葉高木で、原産地はヨーロッパ南東部。寒さには強いものの、暑さにはやや弱い傾向があります。自然樹高は6mに及びますが、剪定によってコントロールし、目標3mの樹高でキープするとよいでしょう。成長速度はやや遅いほうで、管理しやすい樹木です。3月頃から新芽を出し始め、4〜5月に開花。花色にはピンク、白、紫、青紫があり、枝先に穂状の花を多数つける姿は豪華で、花木としても人気があります。開花期も長いのが特徴です。11月頃に紅葉し、葉を落として12〜2月は休眠するライフサイクルです。日当たりと風通しがよく、水はけのよい環境を好みます。西日を嫌うので、植え場所を吟味しましょう。肥料は、新芽が出る前の3月と、花後のお礼肥として6月頃に有機質肥料を施します。7〜8月に花芽がつき始めるので、剪定は花後すぐに行います。込みすぎている部分を切って風通しをよくし、伸びすぎている枝は切り戻します。台木から芽が出ているのを見つけたら、その都度付け根で切り取りましょう。

ハクモクレン

ハクモクレン
JIPEN/Shutterstock.com

モクレン科モクレン属の落葉高木で、原産地は中国南西部。自然樹高は5〜15mになりますが、剪定によって低めの樹高にコントロールできます。成長速度は速いほうで、枝が横に広がるので、植え付けの際には広めの場所を確保しましょう。花は葉が芽吹く前の3月頃に咲き、春の訪れを告げる花木として広く愛されています。その後は葉を広げて緑陰をもたらしたのちに、11月頃に枯れ葉を落として12〜2月に休眠するというのが、一年のライフサイクルです。日当たりのよい場所であればよく育ち、強健で、それほどメンテナンスの手間もかかりません。ただし、根が粗くて細根が少なく、成木になってからの移植は難しいため、植え場所を決める時には吟味が必要です。剪定は、休眠中の冬に行います。枝の途中で切ると枯れ込みやすくなるので、付け根で切るのがポイントです。込んでいる部分や不要な枝を切り取って風通しをよくしましょう。6月には花芽ができるので、切り戻したい時は、花後すぐに行います。

アジサイ

アジサイ
DenisProduction.com/Shutterstock.com

アジサイ科アジサイ属(ハイドランジア属)の落葉低木で、原産地は日本。自然樹高は1.5mくらいで、樹形は株立ち状になります。3月頃から新芽を出して葉を広げ、6月頃に開花。花色は青、紫、ピンク、白などがあります。その後11月頃に葉を落とし、12〜2月に休眠。古くから日本に自生してきた植物で、手をかけなくてもよく育つので、ビギナーにおすすめです。日当たりがよく、湿り気のある環境を好みます。半日陰の場所でも育ちますが、日当たりがよいほうが花つきもよくなるようです。水切れすると生育や開花に影響するので、何日も雨が降らずに乾燥が続くような日があれば、適宜水やりをしましょう。肥料は芽出し前の3月頃と開花前の5月頃に有機質肥料を施します。翌年の花芽は9〜10月にはできるので、花後すぐに2〜3節下で切り戻しましょう。古くなった太い枝は付け根で切り取るか、芽の上で切って透かします。花芽は先端につき、秋以降に切り戻すと花が咲かなくなるので注意してください。

イロハモミジ

イロハモミジ
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ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、原産地は日本、朝鮮半島、中国、台湾。自然樹高は5〜10mになりますが、剪定によって樹高をキープすることができます。3月頃から新芽を出して、4月中旬〜5月上旬にごく小さな花が開花。旺盛に葉を茂らせ、11月下旬頃から紅葉を楽しめます。落葉後の12〜2月が休眠期です。日当たり、風通しがよく、適度な湿り気を保つ肥沃な土壌を好みます。枝葉をよく広げるので、植え付けの際は広さに余裕のある場所を確保しましょう。強健で手をかけなくてもよく育つので、ビギナーにおすすめの樹木です。休眠期間が短く、1月には盛んに樹液が流れているので、落葉したらすぐに有機質肥料を施しておきます。また、剪定も12月末までには済ませておくことが大切。基本的には、込み合っている部分を透かす間引き剪定にして、やわらかな自然樹形を保ちます。枝の途中で切ると枯れ込みやすいので、分岐点で切るようにしましょう。太い枝の剪定を嫌うので、枝が細いうちに剪定管理しておきます。

落葉樹で四季を楽しもう

落葉樹の庭木
Phatranist Kerddaeng/Shutterstock.com

ここまで、落葉樹の特徴や庭木としての魅力、おすすめの樹種などをご紹介してきました。落葉樹の一番の魅力は、新緑・開花・緑陰・結実・紅葉・落葉と、四季を通して表情が刻々と変わっていくことにあります。落葉樹を庭に取り入れて、季節の移ろいを強く感じられる庭を楽しんではいかがでしょうか。

参考文献:上条祐一郎『切るナビ! 庭木の剪定がわかる本』NHK出版 (2017年第17刷)

Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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