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世界からお届け!SDGs通信ソウル編。都心に森を造り、大気汚染や猛暑から歩行者を守る2大プロジェクト

  • 2023.11.26
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世界からお届け!SDGs通信ソウル編。都心に森を造り、大気汚染や猛暑から歩行者を守るソウル市の2大プロジェクト

「街路樹森の道」と「風の道の森」、2つの緑化プロジェクトが進行中

クルマ社会の韓国において、大気汚染対策は重要な課題のひとつだ。特に人口の50%以上が密集する首都圏では、PM2.5やPM10などの粒子状物質の濃度が高まり、外出を控えるよう呼びかける注意報・警報が発令されることもしばしば。

こうした中、ソウル市は山林庁と連携し、幹線道路沿いや小学校の通学路を中心に合計10万平方メートルの「街路樹森の道」を造成する都市緑化を進めている。マツやクヌギ、ケヤキ、メタセコイアをはじめ、大気浄化に適した成長の早い樹木113種を歩道に植えてPM2.5などの有害物質を削減。遊休地には植物とともにベンチを設置して“市民の憩いの空間”を創出する。さらに歩車道境界ブロックを雨水貯蓄タンクなどの設備に変えて活用し、日照り・豪雨・猛暑などの異常気候に備える取り組みも始まっている。 またソウル市北部に位置する冠岳山や北漢山の風を都心へと誘導する「風の道の森」造成プロジェクトも進行中だ。これは河川や道路沿いに樹木を植えて風の通り道をつくり、比較的気温が低く澄んだ山の空気を都市部に流すという試み。緑と澄んだ空気、さわやかな風に包まれた過ごしやすい街づくりへの期待が集まっている。

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都心の森による大気汚染物質の低減効果。1株の木が一年に吸収する粒子状物質(PM)は平均35.7g。1haの森では約168kgに及び、ディーゼル車100台が排出する大気汚染物質の量に相当。(ソウル市提供)
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ソウル市城東区の通学路。歩行者を大気汚染物質や猛暑、交通事故から守るために、高さの異なる木を組み合わせて植栽。(ソウル市提供)
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「風の道の森」プロジェクト。市街地を取り囲む「①風を生む森」の冷たく澄んだ風を「②連結の森」によって誘導、都心の「③拡散の森」へと届ける仕組み。(ソウル市提供)
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山林と都心をつなぐ「連結の森」のビフォー・アフター。(ソウル市提供)
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山林と都心をつなぐ「連結の森」のビフォー・アフター。(ソウル市提供)

Information

「街路樹森の道」「風の道の森」プロジェクト

「街路樹森の道」は「風の道の森」の2次事業として2025年までに37カ所(73ヘクタール)の造成を完了させる予定。2019~2021年の3年間で全34カ所(189ヘクタール)の「風の道の森」造成が完了している。詳細はソウル特別市公式サイトで随時アップデート。

HP:https://news.seoul.go.kr

profile

藤田麗子

ふじた・れいこ/ライター&韓日翻訳家。韓国エンターテインメント誌、医学書などの編集部を経て、2009年より韓国在住。訳書に『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(ダイヤモンド社)、『悩みの多い30歳へ。』(CCCメディアハウス)など。

Instagram:@reiko351

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