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冬の植物で準備する「心温まるガーデンクリスマス」

  • 2023.11.25
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毎年、クリスマスが近づくと、草木が眠りについた庭に、清々しい針葉樹の緑や木の実、深紅に染まった庭のバラの実をあしらったオーナメントを飾るのが恒例となっていると話すのは、神奈川県で小さな庭のある暮らしを楽しむ前田満見さん。スモールツリーを置いたテーブルデコレーションや、ドアと小窓を彩るフレッシュグリーンの飾りなど。ささやかながら、手作りのアイデアと温もりに包まれた前田家のガーデンクリスマスをご紹介します。

スモールツリーとテーブルデコレーション

野菊
夏椿のそばに置いたテーブルは、アレンジメントを楽しむのにも便利な場所。『紅葉と実ものを愛でる花あしらい』より。

春から秋まで夏椿の木漏れ日が降り注ぐテラスのガーデンテーブルは、食事をしたりお茶を飲んだり、また時には、季節の手仕事を楽しむわが家の憩いの場所。クリスマスシーズンには、此処に手作りのスモールツリーやオーナメントを飾ってテーブルデコレーションを楽しみます。

スモールツリーは、プラスティックの受け皿に三角錐にカットした生花用のオアシスを固定し、針葉樹をツリー状に挿します。柔らかな深緑のヒムロスギ、青灰色のコニファー・ブルーバードやブルーアイス、斑入りヒバなど数種類用いると、清々しい緑のグラデーションに。

手作りミニクリスマスツリー

シンプルですがこれだけでも十分見栄えよく、針葉樹の凛とした美しさが堪能できます。また、小さな赤い実や木の実をあしらうと、クリスマスカラーの可愛らしい雰囲気に。ちょっと手間はかかりますが、毎年少しずつ素材を変えて作るのも楽しいものです。クリスマスのシンボルは、何といってもクリスマスツリー。初冬の空気に青々しい緑がひと際映えて、庭の景色に生気が宿ります。

庭のクリスマス

そして、オーナメントは、ツリーと同じ針葉樹をあしらったキャンドルを。キャンドルホルダーの代わりに素焼きの小鉢を用います。小鉢の底にオアシスを入れキャンドルを固定したら、隙間に短くカットした針葉樹をこんもりと挿します。作り方はいたって簡単ですが、ホルダー代わりの小鉢がガーデンクリスマスにぴったり! 小鉢のサイズやキャンドルの色や形を変えると、これまた楽しくてつい何個も作りたくなります。

庭のクリスマス

さらに、夏椿の枝に吊り下げている錆びた鋳物のランタンも、リース状に針葉樹をあしらってクリスマス仕様に。こんなふうに、ガーデンアイテムもちょっとしたアイデアでなかなか素敵なオーナメントになります。

庭のクリスマス

スモールツリーとキャンドルのオーナメントが完成したら、ガーデンテーブルの中央にツリーを飾り、その周りにキャンドルと切れ端の針葉樹や木の実を添えます。仕上げに溜まった落ち葉をパラパラと。然(さ)もないことですが、落ち葉を添えるとナチュラルで、庭の景色ともしっくり馴染むような気がします。

庭のクリスマス

夕暮れ時、キャンドルを灯すと、辺りが仄かに明らんで幻想的な雰囲気に…。チラチラと優しい炎の揺らぎが、クリスマスを迎える高揚感を静かに掻き立ててくれます。

ガーデンシェッドの小窓を彩るクリスマスディスプレイ

ガーデンシェッド
初夏のガーデンシェッドの様子。『緑豊かなシェードガーデンづくりにおすすめの植物』より。

ガーデンシェッドの2つの小窓は、初夏にはバラとクレマチス、秋にはヘンリーヅタの紅葉が絵になるに景色を醸し出してくれる気に入りの場所。殺風景になってしまうこの時季は、此処にもちょっとしたクリスマスディスプレイをします。

ガーデンシェッド

片方の窓辺には、フクロウの親子のオーナメントの足元にモミやコニファーを。真っ赤に染まった庭の西洋カマツカも添えると、まるで絵本の挿絵のようにほのぼのと和やかな雰囲気に。ガーデンシェッドの中も清々しい森林香に包まれ、まるで森の中にいるようなリラックスした気分になります。

ガーデンシェッド

そして、もう片方の小窓には、庭のローズヒップを束ねたスワッグを窓格子に。時を経た深紅のローズヒップの一粒一粒はとても小さいけれど、こうして束ねるとまるで宝石のよう。色とりどりに紅葉したヘンリーヅタと相まって、えも言われぬ美しさを放ちます。

秋の実

一枚、また一枚と散りゆく紅葉と、輝きを増すローズヒップや西洋カマツカの実は、まさに、庭からのクリスマスプレゼント。その姿が愛おしくてたまりません。

青々しい針葉樹のシンプルなドア飾り

スワッグ

ガーデンディスプレイの仕上げに、庭の門扉とガーデンシェッドの扉にスワッグを飾ります。毎年、玄関のドア飾りと同様に少しずつデザインや色味を変えて手作りしていますが、ここ数年はシンプルなグリーンのスワッグやリースがマイブーム。

スワッグ

香り高いオレゴンモミ、コニファー・ブルーアイスやブルバードの青灰色の針葉樹に木の実を添えて、ベルベットのリボンをキュッと結びます。シンプルだけど光沢のあるリッチなリボンが目を引くシックなドア飾り。ウォルナット色のわが家の玄関や庭には、やっぱりこんなドア飾りが一番馴染むようです。

スワッグ

クリスマスのドア飾りは、針葉樹は「生命力の象徴」、リボンは「魔除け」、リースやスワッグの形は「永遠の象徴」と、それぞれに意味があり、新春に向けた「豊作」や「幸福」の祈りなのだとか。まさに、日本で言うところのしめ縄のようなものですね。文化や習慣の違いはあれどドア飾りに込める想いは同じ。今年も、家族の健康と幸せを。そして、庭の草花たちの健やかな成長を願いながらクリスマスを迎えたいものです。

Credit
写真&文 / 前田満見

まえだ・まみ/高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。

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