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写真は1人で写るよりグループで写る方が魅力的に見える!「チア・リーダー効果」とは

  • 2023.11.25
写真に1人で写るよりも、グループで写真に写った方が魅力度が高くなる「チア・リーダー効果」
写真に1人で写るよりも、グループで写真に写った方が魅力度が高くなる「チア・リーダー効果」 / Credit: Walker, &Vul, (2014).

写真に1人で写るよりも、グループで写真に写った方が魅力度が高くなるようです。

カリフォルニア大学のドリュー・ウォーカー氏(Drew Walker)らの研究によると、被写体がグループの場合と単独の場合で印象にどのような違いが起きるか検討しています。

結果、被写体が単独の場合よりもグループの方が魅力的であることが確認されました。

この現象は「チアリーダー効果」と呼ばれています。

周りに数人の友人がいるだけで、魅力を高めることができるかもしれません。

この研究は、学術誌「Psychological Science」にて2014年1月25日に報告されています。

目次

  • チア・リーダー効果は米国の人気テレビ番組を始まりとする
  • なぜチア・リーダー効果は生じるのか

チア・リーダー効果は米国の人気テレビ番組を始まりとする

雑誌の表紙を飾るアイドルやドラマのポスターの写真は、一人だけ写っているものもあれば、グループで写っているものもあります。

それらの写真を比較したときに、グループで写っているほうが、綺麗に見えたり、格好よく見える経験をしたことはないでしょうか。

もしかしたら、その時に「チア・リーダー効果」が生じているかもしれません。

この現象は、米国の人気テレビ番組「How I Met Your Mother」のキャラクターであるバーニー・スティンソン(Barney Stinson)が一人よりも集団でいる女性を魅力的に感じることを「チア・リーダー効果」と呼んだことに由来して、その名が付きました。

この現象についてカリフォルニア大学のウォーカー氏らの研究チームが2014年に実験を行っています。

実験には大学生25名が参加しました。

参加者には女性100名の写真を以下の2つのパターンで魅力度を評価してもらっています。

グループ条件:他の女性2人と一緒に写っている写真

単独条件:トリミングされて一人だけが写っている写真

上記がグループ条件、下記が単独条件での写真。参加者はスライダーで魅力度の評価を行った。
上記がグループ条件、下記が単独条件での写真。参加者はスライダーで魅力度の評価を行った。 / Credit: Walker, & Vul, (2014).

実験の結果、女性が一人だけ写っている場合と比較して、他の女性2人と一緒に写っている場合の方が魅力度が高く評価する傾向が確認されました。

このグループで写っている時に個人の魅力度が高まる現象は女性だけではありません。

後続の実験では、被写体が男性の場合も検討が行われており、同様に一人の場合よりもグループで写っている場合の方が魅力的であることが分かっています。

ではグループの人数を多くした時には、「チア・リーダー効果」は強くなったりするのでしょうか。

そこで研究チームは、トリミングして一人だけ写っている写真を格子状に並べ、同時に見た人数で魅力度の評価が変わるかを検討しています。

実験では、一人だけ写っている写真が提示される条件のほかに4、9、16人のグループとして同時に提示される条件がありました。

実験で用いられた刺激。複数の顔が同時に提示される時には、評価すべき対象を白枠で囲んでいる。
実験で用いられた刺激。複数の顔が同時に提示される時には、評価すべき対象を白枠で囲んでいる。 / Credit: Walker, & Vul, (2014).

実験の結果、グループで同時に提示され魅力度を評価した場合には、単独で提示された場合と比較して、個人の魅力が高くなることが確認されました。

グループで写ったほうが個人の魅力度は上がる
グループで写ったほうが個人の魅力度は上がる / Credit: Walker, & Vul, (2014).

しかしグループの人数が多くなればなるほど、個人の魅力度が高くなるわけではありませんでした。

この結果は、自分以外に3人いれば、「チア・リーダー効果」による個人の魅力度が向上すると考えられます。

なぜチア・リーダー効果は生じるのか

「チア・リーダー効果」の仮説の一つとして階層的符号化仮説があります。

この仮説は、複数の顔を同時に見ると、全体の顔の平均を自動的に計算し、個々の魅力度評価がその平均に引き寄せられ高くなるのではないかとする考えです。

複数の顔を同時に見ると、全体の顔の平均を自動的に計算し、個々の魅力度評価がその平均に引き寄せられ高くなる。平均化した顔は個別の顔をグレースケール化と透過し重ね合わせて作成。この方法は複数の顔の平均した顔を作成するときによく用いられる。
複数の顔を同時に見ると、全体の顔の平均を自動的に計算し、個々の魅力度評価がその平均に引き寄せられ高くなる。平均化した顔は個別の顔をグレースケール化と透過し重ね合わせて作成。この方法は複数の顔の平均した顔を作成するときによく用いられる。 / Credit: Canva

平均的な外見というと魅力的でないように思われるかもしれません。

しかし平均的な顔は、顔のパーツが左右対称でないなどの魅力度の低下を招くとされる要素が緩和され、魅力度が高く評価される傾向があることが分かっています。

それゆえ、個人の顔の魅力が低くても高くても、単独の場合より集団で写ってる場合の方が、より魅力的であるように見えるのです。

「チア・リーダー効果」が生じるのは顔だけではありません。

2021年に「Quarterly journal of experimental psychology」に投稿された、フリンダース(Flinders)大学のジャン・シェイ氏(Jean Hsieh)らの研究チームは、顔の「チア・リーダー効果」の再現性を調べるとともに、身体でも同様の現象が生じるかを調べています。

実験には、大学生52名が参加しました。

参加者は他の顔(あるいは身体)と同時で提示される条件と単独で提示されるパターンでの魅力度を評価してもらっています。

実験で用いられた身体の写真。
実験で用いられた身体の写真。 / Credit: Hsieh et al. (2021).

実験の結果、顔と身体は単独で写っている場合と比較して、他の顔(あるいは身体)と一緒に写っている場合の方が魅力度が高くなる傾向が確認されました。そして顔よりも身体の方がチアリーダー効果の大きさが大きいことも分かっています。

身体は他の人と一緒にいるとき魅力的に見えやすくなるようです。

またこの研究では、写真を見ながらより、時間をおいて記憶を頼りに魅力を評価してもらった場合の方が「チア・リーダー効果」が強く生じたと報告しています。

この結果は、顔の知覚段階ではなく、記憶段階のバイアスによって「チア・リーダー効果」が生じる可能性を示唆しています。

つまり「チア・リーダー効果」は、大勢の方が魅力的にみえるというより、後から思い返したときにグループでいた人を魅力的だったと感じる記憶のバイアスの可能性があるのです。

さらに近年では、人間以外の家や猫でも「チア・リーダー効果」が生じることが分かってきました。

この結果を考慮すると、オンラインショッピングサイトや商品のカタログでは、商品を個別で顧客に見せるのではなく、複数の商品をまとめてパッケージとして見せることで、商品の魅力度が高く評価される可能性が考えられます。

またプロフィール写真を自分一人が写っている写真にするのではなく、複数人で写っている写真にすることで周りの人から好印象を抱かれるかもしれません。

誰かに自分を魅力的に見て欲しいときや、写真の対象をより魅力的に見せたいときこの効果を上手く使うといいかもしれません。

参考文献

People seem more attractive in a group than they do apart
https://www.sciencedaily.com/releases/2013/10/131029092028.htm

Using the “Cheerleader Effect” to Shine on Social Media
https://www.psychologytoday.com/us/blog/psychology-and-marketing/202110/using-the-cheerleader-effect-shine-social-media#:~:text=Barney%20Stinson%2C%20a%20main%20character%20in%20the%20TV,seen%20individually.%20He%20called%20this%20the%20%E2%80%9CCheerleader%20Effect.%E2%80%9D

元論文

Hierarchical encoding makes individuals in a group seem more attractive
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24163333/

The “cheerleader effect” in facial and bodily attractiveness: A result of memory bias and not perceptual encoding
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33174508/

ライター

AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしています。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。趣味はプログラムを書くことで,最近は身の回りの作業を自動化してます。

編集者

海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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