「特にレース後は筋肉の細胞が損傷した状態になっています。おすすめなのはレース後30分以内に炭水化物とタンパク質を摂取すること。体の回復につながってケガ防止にもなりますよ」と料理家・tottoさん。第7回となる、フルマラソン完走をめざす連載では、tottoさんに大会前後に食べると効果的な持久力系スポーツごはんのレシピを学びます!
持久力系スポーツごはんのレシピを教えてくれたのは…
料理家・tottoさん
食育インストラクター。元プロサッカー選手の夫、ジュニアアスリート(テニス選手)の娘を持ち、アスリートフードに関する資格を持つ。リカバリーフードの講座も開催。
疲労回復に効果的な食事でケガやトラブルを回避しよう
アスリートがケガを防ぐには、実は食事こそ重要。栄養面に気をつける人ほど、ケガや故障が少ないと、料理家のtottoさんは話します。
「まず、マラソンには長時間走るためのエネルギーが必要です。大会1週間前くらいからご飯の糖質をエネルギーに変換するビタミンB1を積極的に摂って。特に豚肉がおすすめで、ビタミンB1の吸収を促すニンニクや、鉄分とカルシウムを補給する小松菜を合わせるといいですね。大会前日や当日は、エネルギーになる炭水化物をしっかり摂りましょう。消化に時間がかかるので朝食はレース3、4時間前がベスト。鮭のタンパク質や卵のビタミンBを加えるとさらにいいですね。試合後は損傷した筋肉にアプローチするタンパク質、ビタミン、ミネラルを。抗酸化作用のあるパセリやアーモド、かぼちゃも加えつつ、消化のよい食事を」
持久力系スポーツごはんレシピ3選
〈大会1週間前〉 ①豚肉と小松菜のレモンごはん
●材料(2人分)
豚もも肉薄切り…250g
小松菜…1/2袋
ニンニク…1かけ
生姜…1/2かけ
温かいご飯…2膳分
A
酒…大さじ1
醬油…大さじ1
ナンプラー…大さじ1/2
砂糖…大さじ1/2 塩、黒胡椒、レモン…各適量
オリーブオイル…小さじ2
B
片栗粉…小さじ1
水…大さじ1
●作り方
1. 豚肉は一口大、小松菜は3cm幅に切る。ニンニク、生姜はみじん切りにする。 A 、B はそれぞれ合わせておく。 2.フライパンにオリーブオイルとニンニク、生姜を入れて弱火で炒め、豚肉を入れて塩、黒胡椒をふる。 3.小松菜を加えて炒め、Aの合わせ調味料を加えて炒める。 4.Bの水溶き片栗粉で全体をまとめ、温かいご飯にのせレモンを絞る。
〈試合当日〉 ②卵と鮭のまぜごはんおにぎり
●材料(2人分)
卵…1個
塩鮭…1切れ
すりごま…大さじ1
温かいご飯…2~3膳
塩…少々
オリーブオイル…小さじ1
青じそ…少々
●作り方
1. 卵を割って塩ひとつまみとよく混ぜる。オリーブオイルを温めたフライパンに入れ、炒り卵を作る。 2. 塩鮭は魚焼きグリルで焼き、骨を取ってほぐす。 3. 温かいご飯に 1 、2 、すりごま、塩少々を加えてよくまぜる。 4. すぐに食べる場合は器に盛って千切りにした青じそをのせる。 ※おにぎりにして持ち歩くときは、火を通していない生の青じそをのせることは避ける
〈試合後の食事〉 ③鶏胸肉とかぼちゃの豆乳味噌スープ
●材料(2人分)
鶏胸肉…1/2枚
かぼちゃ…80g
パセリ(生)…適量 玉ねぎ…1/8個
マッシュルーム…4個
生姜…1/2かけ
酒…小さじ1
塩…少々
黒胡椒…少々
オリーブオイル…大さじ1と1/2
米粉…大さじ1
和風だし…150mL
豆乳…150mL
味噌…大さじ1
アーモンド…10粒
●作り方
1. 鶏胸肉は皮と脂を取り、2cmの厚さの一口大に切る。塩、黒胡椒、酒で下味をつけて米粉をまぶす。 2. かぼちゃは種を取って洗い、皮ごと1cmの厚さにスライスする。パセリはみじん切り、玉ねぎは千切り、生姜はすりおろし、マッシュルームは半分に切る。 3. フライパンでオリーブオイル大さじ1を中火で温め、鶏胸肉とかぼちゃを入れて焼いてから取り出す。 4. 同じフライパンに残りのオリーブオイルを足して弱火にし、玉ねぎと塩を加えてしんなりするまで炒める。 5. 4 にマッシュルーム、生姜、和風だしを加えて中火で3分ほど煮る。 6. 5 に豆乳と 3 を入れて軽く煮込み、味噌を溶く。 7. 器に盛って砕いたアーモンド、パセリをのせる。
kazumiさんの感想
「大会前後の食事には気をつけたい!」と思いつつ、走り終われば気も抜けて、好き放題に食べた結果、1週間ほど身体のダルさに悩まされていました。今回、tottoさんから大会前はもちろん、後の食事の大切さも教わり腹落ち。食感も楽しく満腹になるけれど、不思議と体は重くならないtottoさんごはんはおいしくてペロリ。一番驚いたレシピが豆乳味噌スープです。自分で調理するとパサッとしてしまう鶏胸肉がとても柔らかくてジューシーに。ひと手間かけると、こんなにおいしいんだ!と感動しました。次の大会で必ず実践します!
photograph:Keiko Ichihara text:Tokiko Nitta
リンネル2023年12月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください