1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【丸の内】静嘉堂@丸の内「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」中国陶磁の頂点を味わう

【丸の内】静嘉堂@丸の内「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」中国陶磁の頂点を味わう

  • 2023.11.24
  • 541 views

中国陶磁のツインピークス、宋磁と清朝官窯

静嘉堂@丸の内で開催中の「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」[2023年10月7日(土)~12月17日(日)]を見てきました。

中国陶磁史の「古典」とされる宋代(そうだい)(960~1279)の青磁や白磁、黒釉のシンプルな気品ある耀き。 清朝(しんちょう)(1616~1912)最盛期に官窯・景徳鎮(けいとくちん)で生み出された最高峰の磁器(チャイナ)。

国宝《曜変天目(稲葉天目)》も、伝来の証である付属品のすべてとともに展示されます。中国陶磁の頂点を味わう贅沢な展覧会です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

世界有数の中国陶磁器コレクションを築いた岩﨑彌之助(いわさきやのすけ)と岩﨑小彌太(いわさきこやた)の蒐集

静嘉堂の中国陶磁器コレクションを築いたのは、三菱2代社長・岩﨑彌之助と、三菱4代社長・岩﨑小彌太でした。

明治20年代の早い時期から、彌之助は主に茶道具として清朝官窯の陶磁器を蒐集したそうです。 大正~昭和初期、宋磁が多く蒐集された小彌太の時代は、日本に古くから伝来した宋磁に加えて、20世紀初頭、大陸からの出土品も加わり、世界有数の質を誇るコレクションが築かれたそうです。

あこがれの唐物(からもの)

平安時代以来、中国舶載の文物は、日本では「唐物(からもの)」と称され、あこがれとともに珍重されて来ました。

重要文化財《白磁刻花蓮花文輪花鉢(はくじこっかれんかもんりんかばち)》

大きな白い蓮の花が開いたような重文《白磁刻花蓮花文輪花鉢》。華北における白磁の名窯、定窯(じょうよう)で作られた陶磁器。

温かみのある「牙白色(げはくしょく)」の白磁の器に、細筆でよどみなく描かれたように見える装飾文様は、「刻花(こっか)」の片切り彫り。 細密な押型を用いた「印花(いんか)」も目を引きます。

 

 

出典:リビング東京Web

重要文化財《白磁刻花蓮花文輪花鉢》 定窯 北宋~金時代(11~12世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

重要文化財《油滴天目(ゆてきてんもく)》

重要文化財《油滴天目》(左)。大ぶりの開いた茶碗の内外に油滴斑が現れています。

宋代を通じて喫茶用の茶碗、天目茶碗を大量に焼造した建窯(けんよう)。 鉄分が多く含まれる素地に黒釉(くろゆう)を厚く掛けた建窯の茶碗は「健盞(けんさん)」と称され北宋(ほくそう)で高く評価されていたとか。

室町時代の日本でも中国製天目として「曜変」に次いで「油滴」として珍重されました。 中央は、重文《青磁貼花牡丹唐草文深鉢》、右は、利休所持と伝わる重文《青磁鯱耳瓶》。

 

出典:リビング東京Web

左から、重要文化財《油滴天目》 建窯 南宋時代(12~13世紀)、重要文化財《青磁貼花牡丹唐草文深鉢》 龍泉窯 南宋~元時代(13~14世紀)、《青磁鯱耳瓶》 龍泉窯 南宋時代(13世紀) 全て静嘉堂文庫美術館蔵

中国陶磁の「古典」宋磁(そうじ)

20世紀初頭、中国大陸に欧米列強が進出し、都市近郊では遺跡の発掘が行われ、様々な遺物が出土。

その中でも北宋末期、大洪水で一夜にして泥中に沈んだ都市「鉅鹿(きょろく)」の遺跡からの出土品に宋代の陶磁器、特に磁州窯(じしゅうよう)陶器が多数発掘され世界に知られることに。

《白地黒掻落牡丹文如意頭形枕(しろじくろかきおとしぼたんもんにょいとうがたまくら)》

白と黒の化粧土を重ね掛けして、黒で富貴を表す牡丹文を表し、それ以外を薄く削り落とした《白地黒掻落牡丹文如意頭形枕》。陶器の枕です。「如意」は、意の如く夢をかなえるの意。どんな夢が見られるでしょうか。

一番右手は、《白地線彫唐花文梅瓶(しろじせんぼりからくさもんめいぴん)》。線彫りされた唐草文は、北宋初期の華北(かほく)のやきものによく見られる文様だそうです。 磁州窯は、五代(10世紀)から近代まで続いた華北を代表する陶磁器の生産地でした。

 

出典:リビング東京Web

左から、《白地黒掻落牡丹文如意頭形枕》 磁州窯 北宋時代(12世紀)、《緑釉白地掻落黒泥象嵌牡丹文枕》 磁州窯系 北宋~金時代(12~13世紀)、《白地線彫魚子地褐泥象嵌牡丹唐草文枕》 磁州窯 北宋時代(11世紀)、《白地線彫唐花文梅瓶》 磁州窯 北宋時代(11世紀) 全て静嘉堂文庫美術館蔵

皇帝の究極のやきもの、清朝官窯(しんちょうかんよう)の精華

清朝の最盛期、景徳鎮は、宮廷用陶磁の官窯として陶磁に関わる人や技術のすべてが集約され「磁器の都」となって行ったそうです。

特に陶磁器に強い関心をよせた康熙(こうき)、雍正(ようせい)、乾隆(けんりゅう)の3代の皇帝の時代は、陶磁器が究極の芸術的創造の頂まで高められた時代でした。

宮廷からは監陶官(かんとうかん)が派遣されて、国家予算のもとで様々な技法の研究が進められたことにより、中国陶磁は、清朝時代に頂点を極めたとも言われています。

 

出典:リビング東京Web

「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」展示風景 静嘉堂文庫美術館蔵

景徳鎮官窯《粉彩百鹿図壺》「大清乾隆年製」銘(ふんさいひゃくろくずこ だいしんけんりゅうねんせい めい)

中国・春秋戦国時代の青銅器の一種「壺」に倣った《粉彩百鹿図壺》「大清乾隆年製」銘。

粉彩(ふんさい)とは、清代康熙年間(1662~1722)にヨーロッパの無線七宝の技術を応用して始められた磁器の釉上彩技法(上絵付)の一種。 胴部は、長寿の仙獣「鹿」が描かれたおめでたい百鹿尊(ひゃくろくそん)。耳がない形は類似品がなく珍しいそうです。

紙本や絹本の絵画に迫る精巧な絵付けがみどころです。

 

出典:リビング東京Web

《粉彩百鹿図壺》「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯 清時代・乾隆年間(1736~95) 静嘉堂文庫美術館蔵

紅蓮の中に青い炎の揺らめき《火焰紅管耳方瓶》「大清乾隆年製」銘(かえんこうかんじほうへい だいしんけんりゅうねんせい めい)

紅蓮の中に揺らめく青白い炎のような揺らめきが魅力的な《火焰紅管耳方瓶》「大清乾隆年製」銘。 古代の青銅器を意識した形だそうですが、南宋時代の官窯青磁の倣古器形によるものと考えられているとか。

外面に貫入の走る濃い深紅釉を施し、失透性の澱青釉をたらしこんで青白い炎が立ち上るような釉景色を見せています。 深紅の炎が結晶して青白い炎を閉じ込めた宝石のような名品。

 

出典:リビング東京Web

《火焰紅管耳方瓶》「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯 清時代・乾隆年間(1736~95) 静嘉堂文庫美術館蔵

《青花臙脂紅龍鳳文瓶 一対》「大清乾隆年製」銘(せいかえんじこうりゅうほうもんへい いっつい だいしんけんりゅうねんせい めい)

2024年の干支「龍」が「臙脂紅(えんじこう)」の濃いピンク色で、筒形の胴一面に描かれています。裏面には両翼を広げ尾羽をなびかせた鳳凰が、一対で向かい合わせになるように描かれています。

白磁に藍色の瑞雲がたなびき、金を用いた高価な顔料「臙脂紅」の釉上彩による龍と鳳凰を際立たせます。 景徳鎮官窯が生み出した洗練された華やかさを見せる清朝最盛期の逸品です。

 

出典:リビング東京Web

《青花臙脂紅龍鳳文瓶 一対》「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯 清時代・乾隆年間(1736~95) 静嘉堂文庫美術館蔵

国宝《曜変天目(稲葉天目)(ようへんてんもく いなばてんもく)》のすべて

国宝《曜変天目(稲葉天目)》。完全な形で現存するのは3点のみで、すべて日本にあり、国宝に指定されています。

本展では、天目台《尼崎台》を含め、伝来の証である付属品の収納箱もすべて展示。 宋磁、清朝官窯の磁器とともに国宝も楽しめました。

 

出典:リビング東京Web

国宝《曜変天目(稲葉天目)》 南宋時代 12-13世紀 静嘉堂文庫美術館蔵

中国王朝、歴史の変遷とともに、古典にして至高の宋磁、清朝官窯の究極の磁器

唐末、五代十国・後周(こうしゅう)から宋(960-1279)が建国されますが、1127年、金(きん)に華北を奪われて南遷。 それ以前を北宋(ほくそう)(960-1127)、南遷後は南宋(なんそう)(1127-1279)とされます。

その後も、元・明・清と王朝の変遷は続き、清朝崩壊前後には、紫禁城や貴族、富裕層などの秘蔵の陶磁器が日本や、海外に流失しました。

変化変転し流転する歴史の変遷を経て伝わった、中国王朝の古典(クラシック)にして至高の宋磁、清朝官窯の究極の磁器(チャイナ)。

静嘉堂@丸の内、「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」。会期は12月17日(日)まで。是非お出かけください。

 

出典:リビング東京Web

静嘉堂@丸の内「開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯―」

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、2024年静嘉堂卓上カレンダー(850円)、和三盆 百景(929円)を購入。 2024年静嘉堂卓上カレンダーの1月は、重要文化財 《龍虎図屏風》(橋本雅邦筆 明治28年 静嘉堂文庫美術館蔵)のうち右隻「龍図」です。

 

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 静嘉堂文庫美術館

〇静嘉堂文庫美術館、静嘉堂@丸の内 URL:https://www.seikado.or.jp/ 住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F ※美術館入口は、丸の内MY PLAZAの1階 TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

〇開館1周年記念特別展 二つの頂 ―宋磁と清朝官窯― 会期:2023年10月7日(土)~12月17日(日) ※会期中一部展示替えがあります。前期:10月7日~11月12日、後期:11月14日~12月17日 休館日:月曜日 開館時間:10:00~17:00 (入館は16:30まで)。金曜日は18:00 (入館は17:30)まで。 会場:静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階) 入館料:一般 1,500円、大高生 1,000円、中学生以下 無料 障がい者手帳をお持ちの方(同伴者1名〈無料〉を含む) 700円 ※日時指定予約優先:混雑が予想されますので、来館日時指定予約がお薦めです。 *当日券も有ります。招待券をお持ちの方、中学生以下は予約不要です。

〇ミュージアムショップ 営業時間:静嘉堂文庫美術館開館時間に準ずる

元記事で読む
の記事をもっとみる