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中古マンション“築50年”購入しても大丈夫?いま人気の「リノベ物件」魅力と注意点を聞いた

  • 2023.11.22

高騰する新築、注目集まる中古物件

中古マンション“築50年”購入しても大丈夫?いま人気の「リノベ物件」魅力と注意点
中古マンション“築50年”購入しても大丈夫?いま人気の「リノベ物件」魅力と注意点

不動産経済研究所が公表している資料によると、2023年上半期(1-6月)の首都圏の新築マンションの平均価格は8873万円で、前年同期比では36.3%アップしています。また、東京23区に限ると、平均価格は1億2962万円で、1億円の大台を超えています。

新築のこうした高騰を背景に、首都圏では2016年に中古マンションの成約件数が新築マンションの供給戸数を上回り、中古物件への注目が高まりを見せています。

比較的手の届きやすい中古マンションは、一般庶民が住戸を手に入れる上で現実的と言える選択肢。しかし実際に購入を検討するとなると、気になる点はいくつもあります。

例えば、一人暮らし用物件として「東京23区」「1LDK」「40平方メートル以上」「駅徒歩7分以内」といった条件で検索すると、ヒットするのは築40年以上が経過した物件ばかり。

こうした“築古物件”は、ついのすみかとして購入しても良いものなのか、尻込みする人は多いのではないでしょうか。また、中古物件をきれいに改装した近年人気のリノベーション物件は、見た目はきれいでも躯体が老朽化している場合があるのでは、といった懸念もあります。

物件選びの際に注意すべき点は何か、中古・リノベーション物件を専門に扱う企業の担当者に話を聞きました。

中古マンションのメリット、デメリットを整理しよう

「cowcamo(カウカモ)」を運営する、ツクルバのエージェントサービス部副部長、村島智美さん
「cowcamo(カウカモ)」を運営する、ツクルバのエージェントサービス部副部長、村島智美さん

今回話を聞いたのは、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を運営するツクルバ(東京都目黒区)のエージェントサービス部副部長、村島智美さんです。

Q. まずは中古マンションについて、買い主側にとってのメリットについて教えてください。

村島さん「買い主の方にとってのメリットはまず『街の選択肢が広い』という点です。マンションは一般的に良い立地から開発・建設されるものなので、都心では特に用地不足の状態が続いています。新築マンションを探そうとすると、駅から離れているなど立地や街が限られてしまうことが間々あります。その点中古マンションは、住みたいエリアで複数の候補を見つけられるケースが多いです。

また、新築マンションと比べると価格が抑えられる場合が多いということに加えて、意外かもしれませんが、中古マンションは住み替えがしやすいという利点も挙げられます。

家を購入すると身動きが取りにくくなるのでは、と思われるかもしれませんが、新築に比べて、一定の時間が経過した中古マンションは価格が落ち着いているため、もし売却することになった際も購入時と売却時の価格の下落が比較的緩やかな傾向があり、住み替えの計画も立てやすいと言われています。

転職や結婚・出産などによりライフスタイルが変わることが想定されますが、そうした変化に併せて住み替えも視野に入れた購入をする上で、中古マンションを選ぶ方も多くいらっしゃいます」

Q.中古物件を改装したリノベーション物件が人気の理由は、どんな点にありますか。

村島さん「先述した中古物件のメリットに加えて、リノベ物件は室内配管や設備などが新しいものに交換されていたり、間取りや内装などが現代のニーズに合わせて変更されていたりする点で、より自分らしく快適な暮らしが実現しやすいことも人気の理由です」

Q.逆に、中古マンションのデメリットについても教えてください。

村島さん「築年数が経過している場合、建物そのものの老朽化が進んでいるケースがある点でしょう。そうした物件を選択肢から除外するには、購入検討の段階で建物の管理状態をきちんと確認できるかが重要なポイントになります。築年数が経過していても、計画的な修繕が十分なされていれば心配が要らないケースは数多くあります。

築年数は物件を選定する上で一つの重要な基準ではありますが、土地の地盤や建物の構造など、見るべきポイントは他にもあります。例えば正方形のどっしりとしたマンションと、1階部分が駐車場になっている(住居は2階以上にあり柱で支えられている)マンションだと、前者の方が構造上強いという例もあります。マンション選びに迷っている方に対しては『総合的に見て判断しましょう』と伝えています」

「ついのすみか」が欲しい 築50年の物件は大丈夫?

古い物件のイメージ
古い物件のイメージ

Q.築50年などかなり古いマンションを「ついのすみか」として購入するのは危険なのでしょうか。

村島さん「50年であれ築浅のものであれ、築年数に限らずついのすみかを購入する方はいます。一番重要なのは修繕計画を含めた管理状態です。現在、市場に出ている最も古いマンションは築60年くらいですが、今後、築70~80年という物件も出てくるかと思います。

築年数が浅くても、長く住む上では管理・修繕が不安なマンションも存在します。一概に築年数だけで長く住めるかどうかの判断は難しいため、これまでの修繕履歴や、修繕積立金がどれくらい貯まっているか、この先の修繕予定・計画などの情報を確認して、判断することが重要でしょう」

Q.中古マンション、特にリノベ物件を探す人は増えていますか。

村島さん「肌感覚でも増えていると思います。当社が運営しているサイト『カウカモ』は2015年の開設以来、会員数が右肩上がりで2022年12月時点で約40万人になりました。1年間で1.2倍の伸び率です。会員に限らずサイトを閲覧した人数は、年間で250万人となっています」

Q.実際にリノベマンションを購入する人は、どのような年代・性別・家族構成が多いでしょうか。

村島さん「当社の場合ですが、30~40代がボリュームゾーンで、20代や50代以上の方もいらっしゃいます。家族構成は、カップルや夫婦、ファミリー、単身(特に女性)がちょうど同じくらいの割合といった状況です。

単身者で女性が多い理由としては、自分の気に入る空間・環境で暮らしたい、自身のライフスタイルにフィットした住まいで暮らしたいと考える人が多く、リノベマンションやご自身でリノベをすれば、その希望が叶えられるからではないかと思います」

Q.首都圏でリノベ物件を探す単身女性の、平均的な希望物件のスペックを教えてください。

村島さん「こちらも当社のケースですが、まず年代は30~40代が85%を占めています。希望物件については、間取りが1LDKが半数ちょっとくらい。コロナ禍以降に定着したリモートワーク需要で、2LDKやサービスルーム(SR)付きなどが35%くらいです。

価格帯は、3000万円台が40%、4000万円台が25%ほどです。平均すると3000万円台後半になります。物件と別に掛かる諸費用が物件価格のおよそ8%程度ですので、その諸費用を自己資金で用意して後はローンで支払い、という方が多いです。

昨今人気のリノベ物件のテイストは、インテリアが合わせやすいナチュラルさや明るさのある内装、北欧風などですね。部分的な追加リノベをして、キッチンや書斎の入り口をアーチ型にするなど、ご自身の好みを表現される方もいます」

Q.多くの人にとっては、自分の希望全てを満たす物件を見つけるのはなかなか難しいと思います。妥協すべき点も出てくるものかと思いますが、どのようにして条件を絞っていくのが良いでしょうか。

村島さん「どういう暮らしをしたいのかを丁寧に棚卸ししていくことが大切です。例えば、植物を育てたいからリビングの日当たりは欠かせない、など、お客さまの要望をじっくり聞きながらご相談に乗ります。

自炊をする方なら商店が多い街がいいでしょうし、外食を楽しみたいなら飲食店の多い街がいいはずです。また、最初は『どうしてもこの街に住みたい』と強く思っている方でも、なぜその街なのか?を考えていくうちに、似た特徴を持つ別の街をとても気に入るというケースもあります。自身のプライオリティーを整理しながら、一番バランスの取れているところを選ぶのをおすすめしています」

マンションは売るのが前提?売れやすい物件とは?

東京都内にある「カウカモ」販売物件の一例
東京都内にある「カウカモ」販売物件の一例

Q.買い替えを想定して中古マンションを購入する場合、リセールバリューのある物件はどう選べば良いのでしょうか。

村島さん「社内では「横串感」と呼んでいるのですが、エリア、物件、内装などがターゲットにきちんと合っていることが大事だと思っています。例えば駅から少し離れた閑静な住宅街なら、ファミリーで暮らせる3LDKなどの需要が高いでしょうし、通勤にも便利な繁華街なら一人暮らしの会社員に選ばれやすいはず。物件の立地と中身が合致していると、購入したい人のニーズにも合致しやすいです」

Q.ちなみに、一人暮らしの女性会社員にとって住みやすい首都圏の街というと、どこになりますか。

村島さん「ピンポイントで駅名を出すのは難しいですが、ターミナル駅に1本で出られる落ち着いた街はおすすめしています。新宿駅まで1本で行ける小田急線や京王線、また渋谷駅に1本で出られる東急東横線、田園都市線の駅などは根強く人気がありますね」

(LASISA編集部)

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