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ネガティブ思考は自然? マインドフルネスを通して自分の人生を取り戻す

  • 2023.11.22
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スポーツ、旅関連を中心とした企業のマーケティングサポートを行う傍ら、ヨガインストラクターとしても活動。日本語の他、英語と中国語を話すトライリンガル。ハナコラボパートナー。Instagram:@vitamin_kiki

ネパール生まれ。古来からの伝統的なメディテーションの叡智の継承者。祖父が創立した王立アローギャ・アシュラムにて9歳からハタヨガ(アーサナ、呼吸法、メディテーション)の研鑽を積み、15歳で王族や上流階級の人々への指導を開始。ハタヨガメディテーションやアーユルヴェーダを学び、約30年間、世界20カ国でヨガ・瞑想を指導し2003年に来日。5000年前から伝わるヴェーダ哲学を現代に合わせてアップデートした「ニーマルメソッド」を開発・普及するほか、メディテーションやマインドフルネスの手法を多数提供。

日本は本当に豊かな国?

“豊か”になり、テクノロジーが発展した、いわゆる“先進国”では、ひと昔前と違い、地球環境や人権への配慮をともなうサステナブル(持続可能)な発展へとシフトしようとしています。

ただ、“豊か”になったはずの日本で生きる自分自身の暮らしを顧みた時、それは果たしてサステナブルな在り方でしょうか?

私が日本にくる前に抱いていたイメージは、発展を遂げた国。よい暮らし、楽な暮らしができるに違いないと思っていました」と語るのは、2003年に来日した瞑想指導者のニーマル・ラージ・ギャワリさん。では、実際はどうだったのでしょうか?

「日本に来てとても驚いたのはストレスの多さです。みんな一生懸命働いているけれど、満員電車に乗って通勤して、メンタル的にもフィジカル的にも常にストレスにさらされている。テレビを見ながらご飯を食べ、人の会話ではなく、テレビの音が流れている光景を見て、本当に発展した国?と正直、疑問に感じました」

世界20カ国で瞑想やヨガを指導してきたニーマルさんですが、そんな日本人の多忙な暮らしぶりゆえか、瞑想を必要としてくれる人は、最初はほとんどいなかったと言います。

「日本には、自分は幸せにならないといけない、という意識が薄い人が多いですよね。自分よりも相手のことを、という精神はとても素晴らしいです。でも、他の人のためだけに生きていたら、自分がどんどん弱ってしまう。サステナブルな生き方ではないですよね」

国単位でSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な発展目標)を掲げている今、環境保全や人道的なアクションは広がりつつありますが、それを実践している人が、まずは自分がハッピーで、満たされているというのが最重要。そのうえで、心の底から“やりたい”という主体性を持って、はじめてそれらの行動はサステナブルになるとニーマルさんは言います。

マインドフルネスによって生物として自然な在り方を取り戻す

では、自分を取り戻し、本当の意味で豊かに、そしてサステナブルな生き方をするためにはどうしたらいいのか。その大きな一助となるのが、瞑想の一種であり、より手軽に取り組むことができる“マインドフルネス”です。マインドフルネスとは、簡単に言うと過去や未来のことに囚われないよう、常にマインドを“現在という瞬間”=「今、ここ」に集中させる練習法

あんな失敗をしてしまった、あんなことを言ってしまった、あれをやらないと、あれができないとどうなるんだろう…。このように、マインドが過去や未来に彷徨う瞬間は一日の中で何度も訪れます。忙しければ忙しいほど、同時に物事を進めようとすればするほど、情報が多ければ多いほど、マインドの彷徨いは加速していく。この感覚、なんとなく体感的に理解できるのではないでしょうか?

問題は、この過去や未来を考えるという行為が脳には大きな負担であり、脳疲労を引き起こすということです。脳が疲労していった先には一体何があるのか。

「眠りたいのに眠れない。食べたいのに食べれない、食べ過ぎてしまう。楽しいはずなのに楽しめない、笑えない。そんな経験をしたことがある人は多いと思います。でも子どものころはどうでしたか? 寝たい時に寝て、食べたいものを美味しく食べられて、楽しい時に笑って。それが当たり前だったんです。でも、大人になっていろんなストレスに晒される中で、生物として自然なことができなくなってしまった。現代人はアンナチュラルな状態と言えます」とニーマル先生。

〈Google〉などを筆頭に様々な企業がマインドフルネスを取り入れたり、マインドフルネスを指南する書籍がベストセラーになったりしている背景にはこのような、生物として不自然な状態になってしまっている人が増えてきているということがあるようです。

実際、科学的な研究からマインドフルネスには、脳の緊張を取るのに高い効果があり、不安感を和らげたり、ストレス反応や物事の味方を変化させることがわかっています。エヴィデンスが比較的多く揃っているというのも、誰でもマインドフルネスに安心して取り組めるポイントですね。

ネガティブは自然。だからこそ心に明かりを灯す努力を

マインドフルネスという行為は言い換えれば、自分自身の感情や感覚を丁寧に感じ取る作業と言えます。逆に、それをせず、慌ただしく過ごしていると、次第に自分の心と体の感覚に鈍感になってしまい、疲労は蓄積する一方

結果、何もしていないのにいつも疲れていて、自信がなくネガティブな状態が当たり前になっている、はたまたそのことにすら気づいていない人も多いのです。ニーマルさんは、何もセルフケアをしなければネガティブになることは自然なこと、と言います。

「考えてみてください。部屋を明るくしようと思ったらライトが必要だけれど、暗くするために何かをしますか? しないですよね。でも暗闇から逃れるためにはライトのスイッチをオンにするというアクションが必要

宇宙はほとんどが暗闇で覆われていて、この世界のデフォルトは暗闇と言えます。つまり明るくするためには努力が必要。心も同じです。何もしなければネガティブになるのは自然なこと。ネガティブになろうという努力をしなくても気づけばネガティブになっていますよね

だから、ネガティブはデフォルトであり、そうなることで自分を責める必要はない。大事なのは、そのことに気づき、心に明かりを灯すことなのです。それができる手軽な方法の一つがマインドフルネスですよ」

気づけば誰かの愚痴ばかり言っていたり、会社に行くのが嫌だったり、朝起きたくなかったり、ネガティブは日常に溢れています。ただ、それは自然なこと。だけれど、そのネガティブに溢れた生活で本当にいいんですか?とニーマル先生は投げかけます。

「人間は苦しい、悲しい思いをするために生きているのではない。それぞれが生まれてきた意味があり、人生を通して自分自身への理解を深め、自分を幸せにする力を誰もが持ち合わせているんです。

だからこそ、マインドフルネスを通して、自分の心に明かりを灯してください。誰もが幸せになる権利があり、あなたの幸せが周りの人や世界のサステナブルな幸せを育んでいくのですから」。

身一つでできるマインドフルネス。お金や時間をたくさんかける必要はない。まずは、一度立ち止まり、呼吸をし、自分の心と体の声を聞くことから始めてみませんか? それがきっと、サステナブルな循環の源泉となるはずです。

心に静寂を取り戻す一日5分のマインドフルネス瞑想

ニーマル先生が、簡単にマインドフルネスを体感するための瞑想方法を教えてくれました。ぜひ、実践してみてください。

両手、それぞれの親指と人差指の先をつけて輪を作り、残りの3本の指はラクに伸ばして、手のひらを上向きにして、太ももの上に置く。

目を閉じて、3回深い呼吸をする。

全身の力を抜いて、リラックスする。

頭の中に考えが浮かんできたら、吐く息とともに流していく

体と頭の中、気持ちが落ち着いてきたら、漆黒の夜の空を思い浮かべる。

上下左右360度、真っ黒な空間に包まれている自分を5〜10分間、イメージし続ける。

瞑想を終えるときは、まぶたを閉じたまま指の輪を解き、両手の手のひらをこすり合わせる。

温かくなったら、両手のひらをまぶたに当てて温かさを感じる。

手のひらをまぶたからゆっくりと離して目を開けて、両手のひらを見つめる。

News!

ニーマル先生のメソッドがわかりやすく完結にまとめられた著書が好評発売中!

エグゼクティブが実践するニーマルメソッド 心が整うマインドフルネス入門
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311547

photo_Yuichi Noguchi

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