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金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」

  • 2023.11.19
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金沢三茶屋街のひとつである「にし茶屋街」から歩いて15分ほど。小学校やショッピングセンターなど金沢市民の生活圏にあるデザイン事務所の小さな窓が今回の舞台です。 「小窓のしおや」は日曜日と月曜日だけオープンするテイクアウトの菓子店。元々「甘味こしらえ しおや」としてイベント出店を中心に無店舗営業をしていましたが、2020年にファン待望の店舗販売を開始しました。

金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
ことりっぷ

店主の塩谷美馨さんがつくるお菓子は、じんわりと身体に染み込んでいくような味わいが特徴です。和をベースとしながらもジャンルを絞り過ぎないこの店ならではのお菓子は塩谷さんの経験がギュッとつまっていました。

栄養士として産婦人科に勤め、その後はいくつかの洋菓子店で経験を積んだ塩谷さん。華やかなケーキや洋菓子の世界に身を置いていましたが、そんな中で体調が優れない時に食べた和菓子の滋味深さに感銘を受けたといいます。

店主の人柄があらわれる滋味豊かなお菓子

金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
グルテンフリー焼き菓子各種 390円~

店の窓際にずらりと並ぶグルテンフリーの焼き菓子は、米粉を主体とし、それぞれで異なる食感が楽しいラインナップ。ほろりとほどけるような「ぼうろ」や、ぽりぽりとつまんでしまう「米えだ」など、バリエーションも豊富。それでいて背伸びをした“グルテンフリー菓子”ではなく、味わいや食べた後のお腹の軽さ、身体の心地良さを追求した結果米粉にたどり着いた、というような自然さは、塩谷さんの人柄や丁寧な暮らしが映し出されているようにも思えます。

金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
(左)「だるまさんの最中箱(つぶあん)」1400円(右)「こはく糖」470円

北海道・大雪山の麓で栽培されている朱鞠小豆を使った甘さ控えめのあんこ菓子や色合いも素敵な琥珀糖も同店の定番商品。金沢では茶の湯文化が育んだ和菓子が市民の生活に根付いていますが、「しおや」のお菓子は茶席に出しても見劣りせず、暮らしにも溶け込める素朴さがあります。

中でも優しい甘みのあんこにはファンも多いそう。あんこと最中皮のセット「だるまさんの最中箱」が気に入ったお客様からあんこの単品を求める声があり、単品の瓶詰も用意するようになったといいます。

旬の味わいや季節の風物詩を小さな甘味に込めて

金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
「小さな白玉あずき」550円~。この日はさつまいもあんや杏と合わせて

また、店舗を訪れたらぜひ味わっていただきたいのが季節の生菓子。「しおや」にはいくつかの卸先がありますが、生菓子が味わえるのは実店舗のみです。

春は桜あんやいちごの白玉、夏はフルーツジュレの白くまかき氷、秋は栗きんとんや紅玉りんごのタルト、冬は小さくて濃厚なシュトーレン…。

甘味を通してその季節を味わう品々が毎週の営業ごとに提供されるため、訪れる度に楽しめるのも嬉しいポイント。天気の良い日には腰掛けも用意されているので、その場でのんびり味わうのもいいかもしれません。

金沢の住宅街の片隅で週2日だけ開く小さな菓子店「小窓のしおや」
愛らしい包装やリーフレットなどはデザイナーとして活動するご主人がデザイン

開業時の屋号に冠した“こしらえ”るという言葉通り、塩谷さんの手で丁寧につくられ、一つ一つ封をされたお菓子は、まるで金沢の文化や季節の訪れが菓子種という化粧を纏ったよう。決して派手さはないけれど、滋味深く、じっくりと堪能したくなる、そんなお菓子を金沢で味わってみてはいかがでしょうか。

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