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「銃声が聞こえて…」映画『ソウルの春』キム・ソンス監督が語った1979年に起きた粛軍クーデター【インタビュー前編】

  • 2023.11.18

公開前から話題となっている映画『ソウルの春』。キム・ソンス監督が今作の題材にもなっている「粛軍クーデター(12.12軍事反乱)」について語った。

1979年12月12日、19歳のキム・ソンスは家の前に出てソウル漢南洞(ハンナムドン)付近で偶然銃声を聞いた。

陸軍参謀総長公館が目の前に見える家の近くだった。装甲車が目の前を通りかかった。ソウルのど真ん中、好奇心旺盛な青年は銃声がしたところに向かって走った。

しばらく走って梨泰院近くの歩道橋を上がったところで軍人に止められた。その瞬間、また銃声がして、軍人たちは頭を抱えてしゃがんだ。青年キム・ソンスはしゃがんだまま歩いて帰った。

あれから44年という月日が経つが、キム・ソンス監督はまだその光景を昨日のように生々しく覚えている。

そのため、粛軍クーデターに関しては専門家レベルの知識を会得したという。おかげで誰も触れなかったその事件が『ソウルの春』という作品で誕生することができた。

ファン・ジョンミンがチョン・ドゥグァンという名前で、頭はもちろん、全身がきらめく演技を披露し、チョン・ウソンは首都警備司令官のイ・テシンを引き受け、対立を成した。

軍人の勝利で歴史の流れを変えた事件は、映画では善悪の構図を持つ。

映画『ソウルの春』
(写真=PLUS Mエンターテインメント)

軍内部の秘密結社「ハナ会(一心会)」を中心としたクーデターは、歴史に12.12軍事反乱と記録され、MBCドラマ『第5共和国』で取り上げられたりもした。

大衆によく知られた近現代史を映像化する必要があるのかという愚問に答えるように『ソウルの春』は迫力で勝負する。12日から13日未明まで、9時間にわたって同時多発的に起きた事件を細かく描いた。さまざまな人物が登場し、複雑に状況が変わっていくが、理解するのに大きな困難はない。

近現代史の政治を扱うには敏感にアプローチしなければならない。映画『ユゴ 大統領有故』『弁護人』など、制作関係者たちは見えない勢力と至難な戦いをしなければならなかった。

「制作にあたって心配はあまりありませんでした。しかし、実在の人物と名前を変えることに関しては悩みました。最初の台本は、ドキュメンタリーレベルの事実がよくリストされていましたからね。私は欲望渦巻く人間のドラマを作りたかったので、名前を変えたことでむしろ自由に描けるようになりました。 チョン・ドゥグァンやイ・テシン、ノ・テゴンのような名前はスタッフの投票で決まりました。 チョン・ドゥグァンの名前は圧倒的な票を獲得しました」

キム・ソンス監督
(写真=PLUS Mエンターテインメント)キム・ソンス監督

映画が試写会で公開された後、好評が相次いでいる。対立がある政治的事件が題材なので好き嫌いが分かれそうだが、キム・ソンス監督に対する賛辞が絶えない。劇場でキム・ソンス監督は恥ずかしそうに手を振っていた。

「親戚に褒められるような感じでした。若い観客が楽しく見てくれるか心配でした。あまりにも昔の話で“果たして興味を持ってくれるだろうか”と思いました。悲劇でもありますしね。映画は面白くなければならないじゃないですか。政治的なことを超えて、楽しく見てほしいという切実な気持ちがありました」

(後編に続く)

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