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教員とギャップも?過去最多の「不登校」保護者が考える“学校を休むようになったきっかけ”調査結果が公開

  • 2023.11.18

子どもが学校に行かなくなったきっかけは?

“学校に行きたくない”不登校が過去最多
“学校に行きたくない”不登校が過去最多

文部科学省が、2023年10月4日に公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、2022年度の全国の小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人であり、前年度から22.1%増加し、過去最多でした。

特定非営利活動法人「多様な学びプロジェクト」は、声が届きづらい不登校当事者の実態とニーズを把握するための調査を、2023年10月6日(金)から実施し、10月13日(金)時点の集計結果を速報として発表しました。

調査は、さみだれ登校や不登校のこどもを育てている保護者および元保護者を対象に行われ、10月13日時点で集まった582人のデータを集計しました。

「お子さんが一番最初に学校を休むようになった(休みがちになった)きっかけは何だと考えますか」という質問に対し、

「先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かったなど)」が最多で、261人(33.5%)でした。

第2位は「学校システムの問題(価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないなど)」で、回答者数は204人(26.2%)でした。

不登校になったきっかけやその時の様子について、「先生が、いつもピリピリしていて、怒鳴る場面もあり、息子はおびえたり、先生の理不尽な言動に怒ったりしていました」(小6児童の母・小1から不登校)、「担任の先生が余裕のない状況の中で、帰りの支度や物事の切り替えがうまくできない息子に対して、小突いたり手を捻ったりと手をあげることが生じました」(小5児童の母・小2から不登校)、「学校が忙しすぎる。分刻みのスケジュールで休み時間も着替えや移動に追われ、トイレに行くのがやっと。とにかく急がされるので子供が疲弊している。先生が忙しすぎてその大変さが子供にも伝わる」(小5児童の母・小4から不登校)といった回答が寄せられました。

「現在子どもへの対応または子どもの将来についてどのくらい悩んでいますか?」という質問に対し、「すごく悩んでいる」と「悩んでいる」、「まあまあ悩んでいる」と回答した人が86%(501人)という結果でした。

また、「お子さん本人にとって適切な居場所(学校含む)に出会っていると思いますか?」の設問には「そう思わない(27%)」、「あまりそう思わない(19%)」の合計が46%で、「すごくそう思う(10%)」、「まあまあそう思う(23%)」の合計を上回る結果でした。

「多様な学びプロジェクト」は、「文部科学省発表の『令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』の教員回答の1位が「(子ども自身の)無気力・不安」であり、保護者と教員間でギャップがあることがわかりました」とコメントしています。

さらに、「(保護者からの)コメントにもあるように、先生たちの苦しい状況が子どもたちの不登校に影響を及ぼしている様子が垣間見えました。

文部科学省の『令和3年度 公立学校教職員の人事行政状況調査』結果によれば、精神疾患を理由に病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多の5897人(全教育職員数の0.64%)にのぼっており、先生をバックアップする体制の拡充が急務では」と指摘しています。

保護者は行政にどのような支援を求めている?

あなたが行政に望むものは?
あなたが行政に望むものは?

不登校の子どもを持つ保護者は、行政にどのような支援を望んでいるのでしょうか。

「あなたが行政に望むものを選んでください」(複数回答)について、「フリースクールなど学校以外の場が無料または利用料減免(75.4%)」、「フリースクールなど学校以外の場に通った場合の家庭への金銭的支援(74.2%)」が上位2位を占め、以下「学校が変わってほしい(72.3%)」「学校教員への研修(72.2%)」と続きました。

教育委員会が設置・運営する不登校児童生徒の学校復帰に向けた指導・支援を行う「教育支援センター(適応指導教室)」の利用状況について、「利用して助けになった/なっている」が19.1%でした。一方で、「利用できるところはあるが利用していない」が42.3%、「利用したが助けにならなかった」が15.7%という結果でした。

「教育支援センター」について、「自学自習ができないと入れませんと言われ申し込みもできない」(小4、小2児童の母)、「支援者が元教員が多いからか学校に戻ろうとさせる空気感を感じて行かないと本人が言っています」(中2生徒の母)、「私服で自由な時間に行けて帰ることもでき、家とも学校とも違う場に行く事で親子で安心できている。感謝している」(中1生徒の母)といったコメントが寄せられました。

行政が行う「教育相談」の利用状況については「利用して助けになった/なっている」が18.9%でした。一方で、「利用できるところはあるが利用していない」が30.8%、「利用したが助けにならなかった」が24.0%でした。

「教育相談」について、「子供に関わることで助けになった(情報をもらえたり、支援をしてもらえたり)ことがほとんどない」(小4、小2児童の母)、「その他の学び場、居場所などの情報を何も知らなかった」(小6児童の母)、「毎月話を聞いてもらっている。情報ももらえるので助かっている」(小1児童の母)といったコメントが寄せられました。

また、「スクールカウンセラー」の利用状況については「利用して助けになった/なっている」が31.5%でした。一方で、「利用できるところはあるが利用していない」が22.7%、「利用したが助けにならなかった」が36.4%という結果でした。

「スクールカウンセラー」について、「話を聞くだけで、何もしてくれない。既にこちらの知っている位のことしか情報を持っていない。下手をすると、法令についてこちらが教えるようなこともあり、そんな時は何のためにこの時間を使ったのかと虚しく思い、孤立を感じてしまう」(小5児童の母)、「親の考えを受け止めつつ、アドバイスしてくれて今おかれた状況を、受け止めやすくなった」(中1生徒の母)といったコメントが寄せられました。

「多様な学びプロジェクト」は、これらの調査結果から「施設や窓口、専門職の対応に地域や個人の差があり、施策と当事者ニーズとのギャップも生じていることが明らかになった」とし、今後の調査でより具体的な分析をまとめると報告しています。

(LASISA編集部)

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