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突然の親の死。葬儀代のために親の預金からお金を引き出すとどうなる?

  • 2023.11.18

昨日まで元気だった親が、突然亡くなってしまうということは少なくありません。その場合、悲しんでばかりもいられず、葬儀準備のために金策に走ることがあるかもしれません。

では、親の死後、報告前に親の口座からお金をおろしたらどうなるのでしょうか。

■親の死=相続の発生

親が亡くなった直後に親の口座からお金を勝手に引き出すことは控えましょう。

親が亡くなった瞬間、つまり相続が発生した瞬間から、親の財産を勝手に処分することはできないのです。遺産分割を行うまで、財産はそのままにしておく必要があります。

■親の預金を引き出す裏技

実際、葬儀の準備など何かとお金がかかる以上、亡くなった親の預金を引き出せないと不便です。そのため、法律で認められたお金を引き出す制度があります。

●制度1.預貯金の仮払い制度

一定の範囲内の額であれば、遺産分割前に預貯金を引き出すことができる制度です。亡くなってすぐに医療機関や葬儀社にまとまったお金を払いたい場合、「相続開始時の預貯金残高×1/3×法定相続分」(上限1金融機関あたり150万円)まで引き出すことが可能です。

この制度を使うためには、直接取引があった金融機関への確認が必要です。問い合わせてみてください。

●制度2.預貯金債権の仮分割の仮処分

預貯金の仮払い制度を使っても足りない場合は、裁判所に「預貯金債権の仮分割の仮処分」を認めてもらうことも視野に入れましょう。

仮処分を認めてもらえれば、預貯金の全部または一部を合法的に引き出すことが可能です。以下の3つが要件になります(家事事件手続法200条3項)。

① 遺産分割の調停・審判が家庭裁判所に申し立てられていること ② 相続人が、相続財産に属する債務の弁済や相続人の生活費の支弁その他の事情により、遺産に属する預貯金を払い戻す必要があると認められること ③ 他の相続人らの利益を害さないこと

■トラブルには注意

結局のところ、銀行に親が亡くなったことを知らせずにお金を引き出したとしても、罪に問われるわけではありません。

ただし、後々トラブルになる可能性が高いため、預貯金の仮払い制度や預貯金債権の仮分割の仮処分などを活用しましょう。やむを得ず引き出す場合は、自身の相続分を超えて出金しないこと、他の相続人にも目的と金額を伝えることが大切です。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー) 立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日商簿記検定1級、貸金業務取扱主任者(試験合格)

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