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入手しやすい身近な花でつくるBlack&Whiteの寄せ植え

  • 2023.11.20

どこの園芸店でも入手できる身近な花を使って、素敵な寄せ植えをつくるコツを造園家の阿部容子さんに教わります。白い鉢に合わせた可憐な寄せ植えと、黒い鉢に合わせたモダンな寄せ植え。晩春にかけて変化する仕掛けを秘めた、楽しみの長ーい2鉢です。

上手な花選びのための5つのチェックリスト

1.色合わせ

ここでは白い鉢と黒い鉢に合わせて、それぞれ5つの花苗と球根を選んでいます。寄せ植えは、鉢も含めた全体の色合わせを考えましょう。

<黒い鉢>

  • ビオラ‘ヌーヴェルヴァーグ’(紫色)
  • プリムラ・マラコイデス(濃いピンク)
  • ヒューケラ・ドルチェ‘ブラックナイト’
  • コクリュウ
  • ハボタン‘光子プレミアム’
  • チューリップ‘コンプリメント’

<白い鉢>

  • ビオラ(淡い黄色)
  • スーパーアリッサム‘フロスティーナイト’
  • プリムラ・マラコイデス(白)
  • 斑入りヤブコウジ‘十両金’
  • カレックス・オシメンシス‘エヴァリロ’
  • チューリップ‘バレリーナ’
4月のアリッサムの様子。成長すると花壇から枝垂れるように咲き広がります。

2.高低差

草丈が揃いすぎると、寄せ植えが平面的になり、それぞれの花の個性も引き立ちません。「横に広がって成長するもの(ビオラやアリッサム)」、「縦に伸びるもの(プリムラやチューリップ)」など、生育形態を考えて取り入れると、立体的でバランスのよい寄せ植えができます。

3.形の違い

花の大きさや葉の形の違いを意識して選びましょう。細葉のカレックスやコクリュウは、寄せ植えに変化を生み出す名脇役です。

チューリップ‘バレリーナ’。甘い香りとスレンダーな咲き方が人気。草丈40〜60cm。Photo/ Mayabuns/Shutterstock.com

4.季節の変化

植えたときだけでなく、育っていく過程でも変化があると、より季節感が味わえます。それぞれの植物は春に向けてグンと成長し、それだけでも春の訪れを感じられますが、ここではさらに季節感を演出する仕掛けとして、チューリップの球根を用います。春以降、チューリップの茎が伸びてきて、5月半ばには白い鉢にはオレンジ色の、黒い鉢にはパープルピンクのチューリップがブーケのように華やかに咲く予定です。

5.使い回し

この寄せ植えでは一年草(ビオラ、プリムラ、アリッサム、ハボタン)、宿根草(ヒューケラ、コクリュウ、カレックス)、球根(チューリップ)、低木(ヤブコウジ)を取り混ぜています。5月下旬には一年草やチューリップが終わりますが、宿根草や低木は引き続き次の季節の寄せ植え素材として使うことができます。植え替えるたびに全ての植物を一から揃えるより、ローコストで充実感のある寄せ植えができますよ。

フラワーアレンジのテクニックで‘馴染んだ感’を出す

植え込んだばかりのときは、どうしても「今、植えた感」があり、なんとなく植物同士もよそよそしい感じがします。成長していく過程で、葉が重なり合ったりしながら植物同士が馴染んでいい具合になりますが、少し時間はかかってしまうもの。そこで、1ポットの苗をいくつかに分け、フラワーアレンジメントで花を束ねる時のように植物同士をあらかじめ組み合わせて植えます。すると、時間が経って植物が馴染んだ感じが最初から演出できます。すべての植物が1ポットから分けられるわけではありませんが、カレックスやコクリュウは数株に分けることができます。これらの細葉を散らして植えこむと、全体の調和がとれ、馴染んだ感の演出に重宝します。

植え込みをしよう!

植え込み手順1

鉢底石の上に用土を入れます。鉢底石は生ゴミ用のネットに入れておくと、植え替えの際に土ふるいにかけずに簡単に取り除くことができて便利です。
用土は水やりの際に土が流れ出ないように、鉢の縁から少なくとも3〜4cmは下げた位置を上限とします。花苗を植え込んだ後も用土を足すことを考慮して、最初に鉢に入れる土の高さを調整しましょう。

<使った資材>

左/「きれいな鉢底石」根腐れ防止に効果的な木炭やゼオライトが入り。3ℓ 410円(税込)/花ごころ
右/「花ちゃん培養土」12ℓ 905円(税込)土壌改良効果と肥料効果を併せ持ち、通気性がよく軽いので鉢植えに最適。緩効性肥料も入っているので、これ一つで始められて手軽。12ℓ 905円(税込)/花ごころ

 

植え込み手順2

カレックス(黒い鉢ではコクリュウ)は1ポットを数株に分けます。水の中で土を洗い落としながら根っこをほぐしていくと、分けやすいでしょう。

植え込み手順3

小分けにしたカレックスをフラワーアレンジメントの要領で、他の植物と組み合わせた状態で植え込んでいきます。

植え込み手順4

花苗を全て植えたら、最後にチューリップの球根を植えます。チューリップの葉は幅が広いので、葉が展開してきたときに他の植物を覆い隠してしまわないよう、端にまとめて植えます。

植え込み手順5

球根の上や苗と苗の間に用土を入れていきます。苗と苗の間は狭く、土を入れたつもりでも意外と隙間があいてしまうことがよくあるので、指で土を寄せてしっかり根を覆いましょう。土を入れたら水やりをしますが、水やりをすると空気を含んでいた土が沈んで隙間があくことがあるので、そこにも土を足しましょう。

植え込み手順6

チューリップの部分にプランツネームを立てましょう。何もないと間が抜けた感じになってしまいますし、案外何を植えたのか忘れてしまうものです。チューリップの芽が出てきて葉が展開し始めたら外します。

<使った資材> 黒にペイントされたステンレス製のプランツネーム。ホワイトマーカーなどで植物名を書き込みます。500円〜/ベルツモアジャパン

完成!

Black&Whiteの寄せ植えの完成です。並べて置いても素敵ですが、それぞれ背景の明暗が反対の場所に置くと花色がよく映えて綺麗です。黒い鉢は上の写真のように背景が白っぽい明るい場所へ、白い鉢は下の写真のように緑や濃い色を背景にすると引き立ちます。

Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 阿部容子 - ガーデンデザイナー/造園家 -

あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。

文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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