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本気のサステナブランド「SAVE THE DUCK(セーブ・ザ・ダック)」って知ってる?

  • 2023.11.11

「ダウンウエア」の「ダウン(down)」とは、水鳥の胸に生えているフワフワの羽毛のことです。心臓周辺を守るために生えている特別な羽毛。命にかかわるこのダウンを使わないことによって、水鳥を守る取り組みを、ブランド名で宣言しているのがイタリア発のアウターブランド「SAVE THE DUCK(セーブ・ザ・ダック)」です。サステナビリティー意識の高さで知られ、日本でもファンが増えてきました。今回は「SAVE THE DUCK」を通して、冬のおしゃれを格上げしてくれるエコアウターの魅力を解き明かします。

リアルダウンに匹敵する機能で「100% Animal Free」

画像1: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

まず「SAVE THE DUCK」というブランドの成り立ちを押さえておきます。一言で言えば、「本気のサステナビリティーブランド」です。正直なところ、サステナビリティーを掲げていても、あまり本気ではないケースは少なくありません。でも、「SAVE THE DUCK」はブランド名に選ぶほど、水鳥の命を守ることにまっすぐ。「環境、人間、動物に配慮した製品を作る」という理念のもと、2012年にミラノで創業しました。

画像2: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

動物由来の素材を一切使用しないという意味の「100% Animal Free」というスローガンを掲げています。水鳥のダウンだけではなく、牛革もカシミヤも使わないわけです。ファッションのためにどの生き物も殺さないという覚悟がこの「100%」という数字からうかがえます。もちろん、自然に死んだ動物や食肉処理された後なら革や羽毛を使っても残酷ではないという考え方もありますが、「100%」という約束はスローガンに共感して着る側に安心感を与えてくれます。

リアルダウンの代わりに用いているのは、独自に開発した高性能素材「PLUMTECH ®(プラムテック®)」です。リアルダウンに匹敵する軽さや保温力、通気性、速乾性などを兼ね備えています。「SAVE THE DUCK」のアイテムを着た登山家がエベレストの登頂に成功したことによって、高い機能性が証明されました。

ロングベストで落ち感とめりはり

画像3: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

中綿を入れたアウターウエアでは、ジャケットやコートのイメージが強いようですが、かさばりを避けながら、ぬくもりを得やすいアイテムにロングベスト(ジレ)があります。肩から腕が楽で、レイヤードもきれいに決まります。ロング丈のおかげで、縦落ち感が出るのもこのアイテムのいいところです。立体感が出て、装いにめりはりが加わります。

高密度構造により、優れた防風性を発揮する「IRIA」。ロングベストならではの縦落ちイメージを押し出すのが着こなしのポイントに。モノトーン系のすっきりした配色を選べば、ロングベストのシルエットが引き立ちます。前を開けて、セーターとパンツとのレイヤードを目立たせるのも立体感を強めるテクニック。ベストの中綿が装いに抑揚を与えてくれます。

ミドル丈のアウターでチャーミングな冬マリン

画像4: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

春先まで着続けやすいのは、ミドル丈のアウターです。フード付きのパーカーは、風が冷たい日も頼もしい羽織り物。ロングコートほどには着丈が長くないから、カジュアルな装いにも自然にマッチし、日常使いにぴったり。着ぶくれして見えにくい点もいいところです。

こちらの「SIAN」は防水性と透湿性に優れたリサイクルポリエステル100%の3層素材を使用。サイドポケットは大きなフラップ付きだから、収納力がしっかりあります。ストレッチ性も備えているので、肩回りも楽ちんです。ホワイトコーディネートの上から羽織って冬マリン風にアレンジしています。

フェミニンミリタリーに導く、新感覚のMA-1風アウター

画像5: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

ミリタリーの人気が長く続いています。代表的なアウターがフライトジャケットの「MA-1」タイプ。中綿がしっかり入った「MA-1」型は保温力が頼もしく、オーバーサイズのシルエットでジェンダーレスな着映えに。ジップストラップには動物を犠牲にしないという趣旨の「ANIMAL FREE」のロゴがプリントされています。

100%ナイロンの生地に特殊なコーティングを施して、高いレベルの耐水・通気性を持たせました。腰まで隠れる着丈バランスは安心感がしっかり。ボトムスとのコーディネートも選びません。白パンツと合わせて、フェミニンミリタリーに仕上げました。

エコファーで華やかに、つやめきナイロンで品良く

画像: 出典:SAVE THE DUCK
画像6: SAVE THE DUCK 2023-24年秋冬コレクション 出典:SAVE THE DUCK

リサイクル素材の進化には目を見張るものがあります。上質感が高まったのは、近年のうれしいニュース。エコファーの風合いは本物そっくり。防寒性の高いアウターでもファーライクなゴージャス感をまとえるようになりました。こちらのフード付きジャケット「LAILA」は100%リサイクルポリエステルのソフトエコファーを採用しています。

リバーシブルの仕立てなので、ファーとナイロンをひっくり返して、着映えをガラリと変えられます。1枚で2着分の着こなしが楽しめる2wayアイテムです。ファーとナイロンは表情が全く異なるから、天候や気分に応じて、様々に着回しが利きそうです。

ファーを表に出す場合、ショートパンツやソックスで少しガーリーに整えると、適度な「ずれ感」が生まれます。「ゴージャス×キュート」のイメージです。ナイロン側を見せるときは、レディー感を意識して。ネックレスやグローブなどの小物・アクセサリーで上品テイストを薫らせるのもバランスを取るのに役立ちます。

イタリアのアパレル企業としては初めて「B Corp」認証を取得

画像: 全国の「SAVE THE DUCK」のポップアップストア情報 savetheduck.jp

「SAVE THE DUCK」が特別なのは、ソーシャルグッド系の認証では最もハードルが高いといわれる「B Corporation(Bコーポレーション)」の認証を取得している点です。これはかなり限られたブランド・企業しか得ていない、取得が難しい認証と言われています。

「環境、人間、動物に配慮した製品を作る」という姿勢が評価されました。2019年にイタリアのアパレル企業としては初めて認証を取得しています。アウターウエア部門では全世界での最高評価を獲得。リサイクル率の高さや、再生可能エネルギーの活用度合などもソーシャルグッドな企業といわれる理由です。

ポリシーや大義への共感は、今やおしゃれのエッセンス。防寒や軽さなどの機能が備わっていれば、なおさら納得感が高まります。アウターに特化しているブランドだから、安心・信頼も申し分なし。「SAVE THE DUCK」との出会いは冬のアウター選びに新たな選択肢を加えてくれるでしょう。

ファッションジャーナリスト 宮田理江

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