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『ベニーのみずたまぼうし』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第363回】

  • 2023.11.10

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。

『ベニーのみずたまぼうし』
しおみつさちか/作 白泉社 1430円

木々の葉も赤や黄色に色づいて、日ごとに深まる秋模様。
現在発売中のkodomoe12月号「季節の絵本ノート」でも、秋を感じる絵本を5冊ご紹介しています。
今回はその中から、こちらをピックアップ。
今秋発売になった新刊絵本、『ベニーのみずたまぼうし』です。

きのこのベニーのご自慢は、つやつやでぴかぴかの、赤に白のみずたまぼうし。
今日は、森のきのこたちが楽しみにしていた、ぼうしまつりの日。
森中のきのこがみんな、とっておきの新しい帽子をかぶって、切り株のステージでお披露目するのです。
一番最初にステージに登場したシータは、強そうないがぐりぼうし。
シロちゃんは、おしゃれなどんぐりぼうし。
コガネきょうだいは、ふたりでひとつの黄色いりぼんぼうし。
他のきのこも、お花や葉っぱや木の実、森のいろんなものを使った素敵なぼうしを次々に披露します。
いつもとは違うみんなの姿に、おまつりは大盛り上がり。
ですがベニーだけは、
「ぼくの ぼうしが いちばんだよ」
と、ひとりだけいつものみずたまぼうし。
「たまには ちがう ぼうし かぶってみたら?」
と言われても、決してぼうしを脱ぎません。
「べつの ぼうしに かえてみなよ!」
と、シータがベニーのぼうしに手をかけたら、勢いあまって……!?

『ベニーのみずたまぼうし』は、第11回MOE創作絵本グランプリで、応募総数721点の中からみごとグランプリに選ばれた作品。
ベニーをはじめ、森のきのこたちのいきいきとしたおしゃべりが聞こえてくるような物語です。
森に降りだした雨、雨雲の切れ目から差し込む光、その美しい画面からは森の香りまで漂うよう。
意地っ張りでかたくななベニーが、優しい仲間に見守られてちょっと成長する様子、ぜひ絵本を開いてご覧くださいね。

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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