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日本の世界遺産【14】アジアの銀山発展の草分け!島根県「石見銀山遺跡とその文化的景観」

  • 2023.11.8
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日本史上まれな銀生産のピークをもたらした島根県の「石見銀山」。ここでは、すべての工程を人力・手作業で行っていました。現在もこのような作業を行っていた精錬工房が900カ所以上も銀山内に残っています。今回は、世界的に重要な経済や文化的交流を生み出した「石見銀山遺跡とその文化的景観」に注目。概要や見どころはもちろん、行き方、周辺の人気スポット・グルメもわかりやすくご紹介します。

 

 

東アジアに経済の変革と東西文化の交流をもたらした「石見銀山遺跡とその文化的景観」

「石見銀山」は島根県のほぼ中央に位置する、16世紀前半~20世紀前半にかけて銀の採掘が行われた鉱山遺跡です。石見銀の採掘・精錬から運搬・積み出しまで行っていた「銀鉱山跡」、麓に広がる「鉱山町」、銀の積み出しをしていた「港町」のほか、これらをつなぐ「街道」からなります。

1533年に博多の商人である神屋寿禎(かみやじゅてい)が朝鮮半島から招いた慶寿(けいじゅ)という技術者が、石見銀山に日本で最初に鉱石から銀を吹き分ける「灰吹法」を導入したことから、銀の精錬技術が飛躍的に発展。

©️Koshiro K / Shutterstock.com

その後、この技術が全国の銀山に普及し、日本は良質な銀を量産できるようになりました。その一部の銀は大航海時代にヨーロッパに流出したといわれています。それが東アジア経済に変異をもたらし、東西文化の交流を促進させることになったのです。

ところが、江戸末期以降には銀鉱石が枯渇、1943年には閉山しました。しかし、今日まで鉱山や精錬工房、街道、港の施設といった石見銀山遺跡が、当時とほぼ変わらぬ良好な状態で残っています。また、それを取り巻く自然、そこに住む人々との調和した姿も評価され、2007年に世界文化遺産に登録されました。

「石見銀山遺跡」の見どころは?

石見銀山遺跡の中で唯一、常時公開されている「龍源寺間歩」は必見です。石見銀山には大小合わせて600以上の「間歩(まぶ)」と呼ばれる、銀鉱石を採掘するための坑道があります。その中でも、全長約600mの龍源寺間歩は、代官所直営の大坑道のひとつでした。

すべて手作業で掘られた間歩の壁は、ノミで掘られた跡や、排水のために100mも垂直に掘られた竪坑が残っており、感慨深いものがあります。この坑道は、全長約273mの「通り抜けコース」の一部になっています。

©︎Koshiro K / Shutterstock.com

また、銀山の石工技術を表した「羅漢寺 五百羅漢」も立ち寄りたいスポット。岩盤斜面に3つの石窟があり、左右の石窟の中に各250体の五百羅漢像(お釈迦様の弟子)が安置されています。中央石窟には石造釈迦三尊仏も! いずれも石工技術を集めた精巧な造りになっており、あらゆる姿勢や表情が見られるのが魅力です。

18世紀中頃、銀山の採掘は命がけの仕事でした。そのため、領内の人々の援助や協力を得て、石工が25年の歳月をかけて彫像。当時は、亡くなった人々の霊と先祖の霊を供養を行う場として、多くの人々が訪れていたそうです。

©︎島根県観光連盟

国の重要文化財に指定されている、総漆喰の建物「熊谷家住宅」も要チェックです。同地区で最大の商屋建築で、鉱山経営、金融業、酒造業のほか、町役人や代官所の御用商人を務める、大森銀山地区で最も有力な商屋でした。季節や行事に合わせて座敷の建具や敷物、床飾りを替えているのが特徴で、和風住宅独自のしつらいや美しさを感じることができます。

龍源寺間歩・羅漢寺 五百羅漢・熊谷家住宅への行き方

今回、見どころとしてご紹介した3カ所への行き方は下記の通りです。

龍源寺間歩

JR山陰本線「大田市駅」からバスで約30分、バス停「大森」から徒歩約45分

龍源寺間歩

住所:島根県大田市大森町ニ183

電話:0854-89-0117

営業時間:9:00~17:00 ※12月~2月は16:00まで(最終入場10分前)

定休日:1月1日

入場料:高校生以上410円、小・中学生210円

羅漢寺 五百羅漢

JR山陰本線「大田市駅」からバスで約30分、バス停「大森」下車すぐ

羅漢寺 五百羅漢

住所:島根県大田市大森町イ804

電話:0854-89-0005

営業時間:9:00~17:00

定休日:年中無休(臨時休館あり)

入場料:大人500円、小人300円

熊谷家住宅

JR山陰本線「大田市駅」からバスで約25分、バス停「大森代官所跡」下車、徒歩約3分

熊谷家住宅

住所:島根県大田市大森町ハ63

電話:0854-89-9003

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

定休日:毎週火曜日、年末年始(臨時休館あり)

入場料:大人520円、小人100円

圧倒的な泉質を誇る源泉がある! どこか懐かしい雰囲気が漂う「温泉津温泉」

©︎Takashi Images / Shutterstock.com

温泉津(ゆのつ)は、かつて石見銀山の外港として栄えた港町です。町を歩くと、石州瓦と呼ばれる赤瓦と、渋い光沢の黒瓦の家々が、懐かしさを感じさせます。そして、古くから湯治場として愛されてきた温泉津には、「泉薬湯 温泉津温泉元湯」と「薬師湯温泉」という圧倒的な泉質を誇る2つの源泉かけ流しの入浴施設があります。週末営業(金・土・日・祝)で完全予約制の「時津風 サウナ風-Kaze」も。

古き良き時代の町並みを楽しみつつ、温泉にゆっくり浸かりたいですね。

さらに石見は良質な食材の宝庫! 特に味わいたいのが「日本海の赤い宝石」と呼ばれるのどぐろ(アカムツ)です。塩焼きや煮付け、お寿司、丼など、気になるメニューをぜひ堪能してくださいね。一夜干しをお土産に購入するのもおすすめです。

温泉津温泉

住所:島根県大田市温泉津町温泉津

電話:0855-65-2065(温泉津観光案内所)

交通アクセス:JR山陰本線「温泉津駅」からバスで約5分、バス停「温泉前」下車

[Photos by Shutterstock.com]

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