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「今日は朝からカレーを食べたヨ」ビジネスLINEでオジサン構文を送ってくる上司を止める"警告フレーズ"

  • 2023.11.6

リモートワークが増え、仕事の連絡もメールではなく、LINEやチャットツールで取ることが多くなっている。話し方コンサルタントの阿隅和美さんは「よく聞くのが、年上の上司が絵文字満載のオジサン構文でメッセージを送ってくるので戸惑うというケース。上司にそれを止めさせるには、対面ではっきり言うしかない」という――。

上司からチャットで送られる「オジサン構文」とは

デジタル化が進む中、テレワークの浸透によって職場でのビジネスコミュニケーションに、SlackやChatwork、LINEなどのチャットツールを使う機会が増えています。

ただし、そこでは「オジサン構文」と呼ばれる新たな世代間のギャップも発生しているようです。「オジサン構文」とは、数年前から若者の中で言われているLINEなどのSNSで見られるオジサン特有の文章の書き方のことで、例えば一文が長い、読点が多い、「汗をかいた絵文字」「!や⁉などのマークを多用」「〜だネ」「○○チャン」などの特徴があります。若者からは「キモイ」「やめてほしい」「無視を決め込む」「既読スルー」など言われたり、面白がられて真似されたりもしてきました。

それが、最近は職場の上司がテレワークによってチャットツールを使う際に「オジサン構文」を使っている例が目立つようになっていて、さすがに上司や仕事関係の相手だと塩対応はしにくく対応に困ってしまう場合が多いようです。そこで、今回は上司や仕事関係の相手から「オジサン構文」が送られてきた時の対処法についてみていきましょう。

上司から送られてくる絵文字つきのメッセージに困惑

最近は上司が社内チャットで部下に仕事を依頼するときにも、汗をかいた絵文字や手を合わせた絵文字、語尾に「対応できるかナ?」など不要なカタカナや、「ナンチャッテ」などの言葉をつけるなど、「オジサン構文」になっていることがあるといいます。

オジサン構文の例


上司からのオジサン構文例
「お疲れさま(笑顔マーク) だいぶ寒くなってきたね!!
ところで、プレゼン資料の準備は進んでいるかナ? 先方に提出する前に確認したいので、来週末までには送ってください(メールマーク)(汗)
プレゼンが無事終わったら、チームみんなで打ち上げしたいネ(ビール)」

上司から「オジサン構文」のメッセージが送られてくると負担でリアクションに困ってしまうけど、上司からの連絡だから嫌とも言いにくい……という声も多いようです。

こうした「オジサン構文」ですが、おそらく当の本人は、部下を困らせるために送っているわけではないようです。「あまり上からの態度は良くないから部下にやわらかい印象を与えたい」「怖がらせたくない」と気を使い過ぎていたり、チーム力を高めるために「部下と関係性を縮めたい」「好かれたい」と意識しすぎて、それがかえって痛いコミュニケーションになっているのかもしれません。

距離感を間違えプライベートにまで踏み込んでくる

「オジサン構文」の特徴の中でも「おはよ」「○○ちゃん、今日も元気かな? 自分は昨日遅くまで映画をみていて少し寝不足だヨ」など、聞いてもいないのに業務に関係ない自分の近況報告を勝手にしてくることや、プライベートの話をするほどの間柄ではないのに、いきなり、こちらの体調や様子を尋ねてくることに負担を感じているという声もあります。

これには、オジサン世代のコミュニケーションの取り方も理由の1つにあるのかもしれません。というのも、オジサン世代は職場では、「おはよう。今日は天気がいいね」「調子はどう」「今日もよろしく」「いやあ、きのうはちょっと飲みすぎちゃって」など、上司から部下に声をかけて雑談をすることで関係性を深め仕事を円滑に進めることを、よしとしてきました。昭和生まれの「オジサン」「オバサン」世代は、こうした職場での対面コミュニケーションが染みついている世代です。

しかし、リモートワークは、お互い仕事をしている環境が違うため、「天気」や「職場の出来事」など共通の話題に乏しく、雑談によるコミュニケーションが難しいのが特徴です。

また、職場で軽く「調子はどう?」とあいさつ代わりに聞かれる場合と、リモートワークで自宅にいながら「よく眠れたかな?」「調子はどうかナ?」というメッセージが届くのとでは受け取る側の感じ方が変わってきます。もちろん、相手との関係性によりますが、リモートワークの場合は「なれなれしい」と感じたり、場合によっては、上司が一方的に距離を縮めてきて気味が悪い等、不快な気分になることもあるようです。

モダンなオフィスでビジネスミーティングを行う2人のビジネスマン
※写真はイメージです
会社で会ったときに「オジサン構文はやめて」と伝えるには

それに加え「今日は、朝からカレーを食べたヨ」などと、一方的に自分の日常を報告されても、「だから、なに」となりますよね。このように、対面コミュニケーションと同じ感覚でチャットを使っていることが、「オジサン構文」による世代間ギャップをうむ背景にあるのかもしれません。では、こうした上司からの「オジサン構文」への対処方を見ていきましょう。

上司に「キモイ」「やめてほしい」と直接的な言葉を投げるのは、さすがに気が引けます。また、上司は自分のメッセージが「オジサン構文」だと気付いていない、自覚をしていない場合も多いらしいので、「やめてほしい」ことを緩やかに伝えてはいかがでしょうか。

「部長らしくない」など、相手のプライドを傷つけずに伝える

伝えるタイミングとしては、出勤して上司と会う日があれば、対面でお伝えすることをおすすめします。文章だときつく感じる内容でも、笑顔と明るい声のトーンで話せばきつい印象が緩和されるからです。

それに対面の方が、相手の表情の変化など反応がわかるので気分を損ねないように確認しながら話せるというメリットもあります。

緩やかに伝える際の3つのポイントです。


1.「やめてください」「迷惑です」ではなく「○○さんらしくない」という表現にすると相手のプライドを傷つけることなく、伝えることができます。

2.具体的にどう改善してほしいかと、業務効率が良くなるという理由を伝えます。
今回は、ビジネス文章で送ってくれた方が「読みやすいので仕事がしやすい。意味の取り間違いがなくなる」という理由でいいでしょう。

3.「オジサン構文」は負担だけど、自分を気にかけてくれていることは感謝していると伝えると印象よく話が締まります。
例)「なんかLINEだと○○さんらしくないなって思っていました。チャット連絡はシンプルな方が読みやすいので、これからは装飾抜きで要件だけをビジネス文章で送ってもらえませんか。絵文字がなくても○○さんが、私のことをいつも気にかけてくださっているのは充分わかっているので大丈夫です。」

思いきって「なぜオジサン構文を送るのか」聞いてみる

なぜ、「オジサン構文」を送るのかを聞いてみるのも一つの方法です。

これには、2つのメリットがあります。1つ目は「なぜあなたは、そういう行動をとるのですか?」という趣旨の問いを投げることで、相手が自分の行動を振り返るきっかけをつくることができます。

2つ目に、相手を理解することができるからです。

「オジサン構文」は氷山の一角で、その下に隠れている「オジサン構文」を送る心理を把握することができるので、「対応に困ってしまう、どうすればいいのか」という不安が消えるのではないでしょうか。「気味が悪い」と思っていたのが「気遣いの上滑りだった」とわかると「まあ大目に見るか」と思えるかもしれませんし、「気遣いは別の方法でやってもらうように伝えてみよう」など、相手を傷つけない伝え方を考えることができます。

「LINEでもビジネス文書で送ってください」とはっきり言う

質問の仕方は、自分が「オジサン構文」を送っていると意識をしていない場合があるので「どうして『オジサン構文』を使っているんですか?」という質問よりも、雑談ができるタイミングで「そういえば、○○さんって、メールだとビジネス文章なのに、LINEだと、どうしてビジネス文章じゃないんですか?」「○○さんのLINEって独特ですよね」という問いを投げてみましょう。

察しがいい上司なら、その問いで、「自分の文章は、何か問題があるのか? 他と違うのか?」と気づくはずです。


質問の例
「○○さんは、メールではビジネス文章なのに、どうしてLINEだと絵文字が多いんですか。もし、何か私に配慮してくださっているのであれば気遣い不要ですので、LINEでもメールと同じくビジネス文章で送ってください。その方が、指示が伝わりやすいので、仕事の効率もいいと思います。」

ノートパソコンの画面をチェックしながら電話をしている女性
※写真はイメージです
直接言いにくい相手の場合はどうすればいいか

普段あまり接点がない相手や取引先関係者など、直接言いにくい相手には、どういう対応がいいでしょうか。

LINEを知っているということはそれなりの関係性だと思うのであまり突き放した返信もしにくいと迷うところです。これもお互いの関係性によるので、一概にどういう方法がいいとは言えませんが、いくつか対処法をみてみましょう。

短文・文字のみで返す

あまりやり取りをしたくないのであれば最低限の短文で返信をして、必要なこと意外は返信しないというスタンスを示しましょう。こちらも絵文字などを使って返信をすると、どんどん「オジサン構文」が送られてきますので、なるべくシンプルな文章で返信回数を少なくし、まめなやり取りをしない方がいいでしょう。

既読無視

内容的に業務上の返信が必要かどうか選び、返信が必要なら短文文字のみで返しますが、日常のどうでもいいような内容で仕事に関係がない内容には、既読スルーするのも方法の1つです。もちろん、関係性によって既読無視でいいかどうかは判断してください。

もし、判断がつかない場合や対応に困っている場合には、職場の上司や人事等に相談をしてもいいでしょう。取引先との担当変更や、連絡方法の変更など何らかの手を打ってくれるかもしれません。

LINEで絵文字が出てきてしまうならLINEでやり取りしない
LINEをあまり使わないと伝えておく

LINEアプリだといろんな絵文字が変換予測に出てくることもあって、つい「オジサン構文」を送る人でも、メールだと一般的なビジネス文章を送ってくる方が多いようです。さすがに会社のメールアドレスからだとプライベートな内容は送りにくいはずです。

「申し訳ございませんが、普段あまりLINEを使う習慣がありません。メールの方が頻繁にチェックするので、恐れ入りますがメールで送っていただけますか」

と伝えるのも有効でしょう。

きっぱり断りたい場合

セクハラになるケースも含まれますが、「オジサン構文」で執拗しつように食事や飲みに誘ってくるような場合、いい加減やめてほしいと思いますよね。

ただ、「すいません、困ります」「やめてもらえませんか」という言い方だと心象が悪くなることがあります。そんな時には丁寧な言い方で失礼にならないように、しかし、きっぱりお断りをしましょう。言葉遣いは、お互いの心理的な距離を表します。もし、相手と距離を置きたいときには、敬語を使って「あなたとの心理的距離はこんなに遠いです」と分からせつつ、断るという意思はきっぱり伝えてみてはいかがでしょうか。


例)
「お気遣いいただきありがとうございます。
せっかくお誘いいただき申し訳ないのですが、恐縮ですが、今後このようなお気遣いは不要です」

または「お気遣いは無用でございます」「お気遣いには及びません」「お気遣いはなさらないでください」という言葉選びでもいいでしょう。

ガラケー世代が悪気なく送ってきている場合もある

いかがでしょうか。

「オジサン構文」と同様に「オバサン構文」も存在しています。こうした構文は、ガラケーを使用していた時代に身に付いたという説もあり、年齢的、世代的な理由もあるようで「オジサン構文」を送ってくる大半の人に悪気はないようです。

ただ、上司から送られてくる「オジサン構文」にどう返していいかわからないと悩んでいるようであれば、相手のプライドを守りながら、ご自身が気持ち良く仕事ができるコミュニケーションの取り方を提案してもいいかもしれません。相互理解が深まり、仕事がしやすい環境につながるといいですね。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ

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