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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪40  埼玉「ガーデンセンターさにべる」

  • 2023.11.5
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一口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれのショップの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、私たちの想像力を刺激し、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は地域の園芸カルチャーを支えるショップ「ガーデンセンターさにべる」を訪れました。

お気に入りがみつかるはず!充実した苗売り場づくり

北西に連なる山々の稜線を背景に広がる田畑の中にある「ガーデンセンターさにべる(以下さにべる)」。70台も収容できる駐車場には、オープン時間からひっきりなしにお気に入りを入手するべく花好きな人々が車で訪れます。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

駐車場側の木戸口から入ると、ひな壇状に並べられた無数の花苗パレットがお出迎え。足を踏み入れた途端、一気にテンションが上がります。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
フラワーパレットは白で統一し、花の可憐さや透明感がアピールされています。なにげない女性視点のこだわりが伝わってきます。

かつては生産農家や苗の仲卸を行っていた「さにべる」。ポットマム生産時代を合わせると50年以上の歴史があり、30年ほど前に社長の間室照雄さんが園芸店をスタートさせたショップです。現在も野菜苗と花植えを生産直売していますが、ショップは娘で店長の間室みどりさんが柱となり、長年培った園芸のノウハウと、生産者・市場等の横のつながりを大切にしつつ、園芸店として時代に沿うよう進化させています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

みどりさんが仕入れた苗はどれも新鮮。市場からの仕入れだけでなく信頼のできる生産者に依頼したものも多く、多種多様な植物を最高の状態で提供できるように力を注いでいます。「苗も雑貨も、お気に入りを見つけてもらえたらという思いで揃えています」とみどりさん。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
寄せ植えやハンギングに力を入れている「さにべる」。特にパンジー・ビオラは、たくさんの生産者から取り寄せ充実させている。

ぜひ参考にしたい!プロの寄せ植え・花合わせ

店内には寄せ植えの見本鉢がたくさん点在。花合わせで植物のそれぞれの魅力を引き出し、お客様がどれを合わせたらいいのか迷わないようにサンプルとして飾っています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

売り場にあった寄せ植え紹介!手軽に楽しめる愛らしい寄せ植えを集めました

埼玉「ガーデンセンターさにべる」の寄せ植え
埼玉「ガーデンセンターさにべる」の寄せ植え
埼玉「ガーデンセンターさにべる」の寄せ植え

「寄せ植えを美しくまとめるのに大切なのは、色づかい」とみどりさん。じつはみどりさんは「趣味の園芸」などのテレビや雑誌に登場する人気園芸家。カラリストの資格も持っており、常に美しく見せる表現への意識を持ちながら、植物に向き合っているのだそう。「さにべる」での講習会だけでなく、出張の講習会やトークショーなどでも活躍しています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

東京農業大学農学部を卒業後、デンマークで4年間切り花を学んだというみどりさん。デンマークでは「最近ヒュッゲという言葉がよく使われていますが、それは花を愛するデンマーク人が大切にしている‘居心地のよさのある空間・時間’のこと。ここで、ヒュッゲな時間のある暮らしを提案できたらと思っています」。

培養土

ショップでは、寄せ植えの楽しみを提案しているみどりさんが考案した培養土が販売されています。大きな特徴は水はけと保水性を兼ね備え、腐食酸を多く含んでいること。腐食酸(フルボ酸)は、根の働きを助けるため根の張りをよくし、成長につなげてくれる今注目の成分です。近いうちに、寄せ植え用の肥料も発売予定です。「季節で寄せ植えが終わったときに、再利用しやすいよう短期間効くものにしています」とみどりさん。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
屋外の用土コーナーには、土壌改良材などあらゆるアイテムが揃っている。

花苗以外も見どころたくさん外売り場&店まわり

花苗売り場の奥には、樹木コーナーが展開されています。取材時の秋に最も充実していたのはオリーブ。そのほか、葉が美しい樹木や花が楽しめる樹木が揃っています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」のオリーブ
埼玉「ガーデンセンターさにべる」のオリーブ
ハーブなどの花壇が設けられているオリーブコーナー。

店まわりも魅力的なコーナーがたくさん。売り場はウッドフェンスで囲まれ、つる植物や多年草で覆われているので、牧歌的な雰囲気が漂っています。こののどかな雰囲気が好きなファンも多くいるそう。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
エントランスにニセアカシアが覆い被さり、心地よい緑陰を作っている。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
フィカス・プミラが古いポストやフェンスに活着し、瑞々しいシーンを生み出している。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
古い車輪のオーナメントのまわりに、ユーパトリウム‘チョコレート’がノスタルジックな風景を作り出している。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
店内のちょっとしたミニガーデンは、季節の寄せ植えを飾ったり、撮影場所になったり、子どもが遊ぶ場になったり……。自由な発想で使える空間。

店内売り場もあらゆるアイテムが盛りだくさん!

大きなハウスを活用した屋内売り場では、季節の鉢花や観葉植物、多肉植物、園芸資材などが島を作って点在。どれも選ぶのに困ってしまいそうな広さと品揃えです。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
ドライな雰囲気たっぷりの多肉・サボテンコーナー。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
秋は、あらゆる春咲きの球根植物が揃う。

照雄さんは生産農家も兼任していて、奥にあるハウスでは、照雄さんの作った野菜苗が大人気。最近は、農家さんも買いに来るほどの充実ぶりです。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」の野菜苗
ブロッコリーの苗(左)と隣のハウスのハーブコーナー(右)。

姉妹で作り上げる見やすく楽しい売り場

みどりさんとともに店を回しているのは、妹の2人・小枝子さんと夏実さん。それぞれに得意分野が異なる最強の味方です。その仲のよい3人が一緒に考え、最近形にしたのが観葉植物コーナー。冬は屋内を加温してあたたかい空間となりますが、夏は冷房し、冷涼な気候を好む植物を管理するという特別な空間です。「人にとっても心地よい場所です」とみどりさん。無骨なビニールハウスの印象を払拭する、ウッディでクールなデザインとなり、売り場の雰囲気をぐっと高めています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

室内は、観葉植物や進物のラン、サンセベリアなどがひしめき合い、植物園の温室さながらの雰囲気です。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
シンプルなデザインの什器もおしゃれで、手書きのポップも楽しい雰囲気を添えている。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
左/近年人気のビカクシダも大きさ・種類さまざまなものが揃う。 右/インドアプランツ用アイテムも、一緒の場所に揃えられている。

一角に設けられた雑貨コーナーも見応え十分。ここはおもに小枝子さんがディスプレイを任されている場所。かつてブライダルの世界で花を飾ることを専門としていた能力を発揮する場となっています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」

ひとつの空間をはしごでやんわりと区切り、いくつものシーンを展開。あらゆるテイストのアイテムが自然になじみ、それぞれのエリアが美しく整えられています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
ボタニカル柄の額縁を背景に、花瓶などのガラス器が清潔感たっぷりに飾られている。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
ドライフラワーのブーケやバスケットなど、温かみのあるアイテムコーナー。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
テンションが上がる、おしゃれなガーデニングツールもたくさん。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」

「さにべる」では、照雄さんや農家が作った野菜や、地元の養蜂家の蜂蜜、コーヒーなども販売しています。新鮮な野菜は午前中に売り切れになるほどの盛況ぶり。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
この日販売されていたコシヒカリは、照雄さんが育てたお米。パッケージは小枝子さんがデザイン。

散策しながら見つけよう!充実の園芸資材

庭に彩りを加えるあらゆるアイテムが揃う「さにべる」。広いハウス内のあちこちにアイテムごとの空間が作られ、分かりやすく陳列されています。

埼玉「ガーデンセンターさにべる」
シーンの雰囲気を高めてくれる、アイアンフェンスコーナー。目隠ししたいときやつる植物の誘引に最適。
埼玉「ガーデンセンターさにべる」
テラコッタやグラスファイバー、ブリキなど、用途や置く場所に合わせて容器も選んで。

間室みどりさんイチオシの本格派ハンドフォーク

「こんなツールが欲しい!」というガーデナーたちのリクエストから生まれた、浅野木工所(新潟県・三条)の本格的なガーデンツール。一般的なサイズより爪の部分がやや長く、柄につながるネック部分の長さや角度など、微妙な設計がなされており、使いやすいのが魅力。広い場所でもへこたれません。掘る、混ぜる、耕す、1つで何役もこなす頼れる庭仕事の相棒です。是非店頭にて実物をご覧ください。

浅野木工所のガーデンツール
上から、草取り、草取り鎌、ハンドフォーク、ハンドスコップ。ハンドフォークはSunny valeのロゴ入り。

新鮮な苗・多様なアイテムを取り揃え、地域の人々の憩いの場となっている「ガーデンセンターさにべる」。寄せ植えやハンギングバスケット等、各種教室の種類も充実し、気軽に花とふれあい、学びの場も提供しています。「sunny:降り注ぐ光」「vale:谷」という意味合いを持つ「さにべる」、その名の通り老若男女、だれもの暮らしを明るく照らすスポットです。ぜひ訪れてみてください。アクセスはJR高崎線「鴻巣」駅から川越観光バス(東松山駅行き)で約10分、東武東上線 「東松山駅」から川越観光バス(鴻巣駅・免許センター行き)で約10分、どちらも「谷口」停留所下車・バス停から約300m。

【SHOP DATA】

ガーデンセンターさにべる

埼玉県比企郡吉見町谷口205

0493-54-8783

営業時間:10:00〜17:00
※季節により変わることがあります。変更はHPでお知らせします。

定休日:毎週水曜日/年末年始 ※詳細はHPでご確認ください。

http://sunnyvale-gc.jp/

Credit
写真&文 / 井上園子 - ライター/エディター -

いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

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