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【日本三大霊場】青森「恐山」・和歌山「高野山」あと1カ所は?歴史と魅力を紹介

  • 2023.11.5

神仏などの霊験のあらたかな場所のことを「霊場(れいじょう)」といいます。日本各地には有名なものから知る人ぞ知るものまで、さまざまな霊場が点在していますが、日本三大霊場に挙げられるのは、青森県の「恐山」と和歌山県の「高野山」、そして京都府と滋賀県にまたがる「比叡山」です。いつ誰がこの3カ所を日本三大霊場に選んだのかは判然としませんが、今回はそれぞれの歴史と魅力をご紹介します。

 

 

温泉もある!死後のような景色に包まれる「恐山」(青森県むつ市)

慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)は、夢のお告げに導かれ、諸国に教えを説きながら旅を続けた末、862年、むつ市下北に「恐山菩提寺」を創建したと伝えられています。地元では「人は死ねば恐山に行く」と言い伝えられてきたそうです。

かつて恐山は、宇曽利山(うそりやま)と書かれていたり、下北地方を宇曽利郷と呼んでいたことがあったとか。これは、アイヌ語のウショロ(入江や湾という意味)に由来し、それが転化してオソレ(恐)になったと考えられています。

太鼓橋

恐山は外輪山に囲まれているため、外部から見ることができません。しかし、太鼓橋を渡り、霊域に入ると景色が一変します。極楽浄土を思わせる「極楽浜」、硫黄臭が漂う「地獄谷」、石が積まれた「賽の河原」など、もの悲しさを感じる、死後のような景色に包まれ、不思議な気持ちになりますよ。

恐山は1万年以上前に噴火したとされる休火山なのです。そのため、恐山の境内には、男湯、女湯、男女入れ替え制、混浴の4つの湯小屋も。いずれも硫黄泉で参拝者は無料で入浴可能です。

また、霊場恐山には1周3kmほどの参拝コースがあり、徒歩約40分で巡ることができます。芥川龍之介の『羅生門』を彷彿させる荘厳な「山門」や、恐山菩提寺の本尊となっている「延命地蔵尊」、エメラルド色に輝く、透き通った水が目を引く「極楽浜」、毎年供養祭が行われている「東日本大震災供養塔」など、見どころがいっぱいです。

なお、恐山で有名なイタコがいるのは、7月20日~24日に行われる「恐山大祭」、10月上旬の連休に行われる「恐山秋詣り」の期間だけなので、イタコの口寄せを希望する方はご注意を。

あの世に最も近い場所とされる恐山を訪れ、死者を敬い、故人に思いを馳せたいですね。

恐山

住所:青森県むつ市田名部宇曽利山

電話:0175-22-1111(むつ市観光課)

開山期間・時間:5月~10月 6:00~18:00(季節により閉門時間が変動)

閉山期間:11月~4月

入山料:大人500円、小・中学生200円

「奥之院」と「壇上伽藍」の二大聖地を有する真言密教の総本山「高野山」(和歌山県)

金剛峯寺をはじめとする117の寺院がある「高野山」は、約1,200年前の平安時代の初期に空海(弘法大師)が開いた真言密教の聖地です。東西60m、南北約70m、境内総坪数4万8,295坪と広大な敷地を誇り、山内は「奥之院」と「壇上伽藍」が二大聖地とされ、古来、多くの人々の信仰を集めています。また、117の寺院のうち50以上の寺院が宿坊で一般の参拝者も宿泊可能です。

約1,000mの高峰である高野山を空海が発見したのは、唐での留学を終え、明州の浜から帰国しようとしたときがはじまり。空海は「伽藍建立の地を示したまえ」と念じ、持っていた三鈷(さんこ)を投げたそうです。すると、その三鈷は空中を飛んでいったとか。

そして、弘法大師はこの三鈷を求め、漁師が連れていた犬や、山の主の女性に導かれて、ついに松の木に引っかかっている三鈷を発見! この地に開山することを決めたと伝えられています。

高野山で訪れたいのが「壇上伽藍」です。総本堂として重要な役割を果たしてきた「金堂」、重要文化財に指定されている「御社」、真言密教の根本道場におけるシンボルとして建立した「根本大塔」といった密教思想にもとづく19の建造物が建ち並びます。

さらに、壇上伽藍とともに高野山の二大聖地になっている「奥之院」も要チェックです。この場所は、空海が入定したことでも知られています。樹齢約700年の杉木立がそびえる「奥之院参道」、弘法大師へお供えする毎日の食事を調理する「御供所」、その食事を地蔵尊に味見してもらう「嘗試地蔵」など、一度は見たいスポットが目白押しです。

写経や真言宗に伝わる瞑想法「阿字観」、十箇条の戒めを授かることができる「授戒」、「森林セラピー」といった体験も可能。気になる修行を体験して、身も心も清めたいですね。

高野山

住所:和歌山県伊都郡高野町高野山

電話:0736-56-2616(高野山宿坊協会)

交通アクセス:南海高野線「極楽橋駅」下車、南海高野山ケーブルで「高野山駅」へ

日本仏教各宗の祖師が学んだ「比叡山」(滋賀県大津市・京都府京都市)

天台宗の総本山「比叡山」は、奈良時代末期、19歳の最澄が比叡山に修行に入り、小さな草庵(そうあん)を結んだのがはじまりです。その3年後には一乗止観院を創建。ここを鎮護国家の根本道場にしました。

比叡山は琵琶湖を眼下に望み、西には京都の街並みを一望できる景勝地でもあります。ケーブルやドライブウェイも完備し、気軽に訪れることができるのも魅力です。

比叡山延暦寺は、大きく分けると山上・山下の2つ。山上には、根本中堂を中心とした「東塔」、釈迦堂を中心とした「西塔」、円仁によって開かれた「横川」の3地区があり、なかでも朱色の塔が背景の緑に映える「法華総持院東塔」は一見の価値ありです。内部の壁画も見逃せません。1,200年以上灯り続けている「不滅の法灯」がある「根本中堂」もあわせて訪れたいですね。

さらに横川には、聖観音菩薩が祀られている、舞台造りと鮮やかな朱塗りが印象的な「横川中堂」や、「おみくじ」発祥の地として知られている「元三大師堂」も。一方の山下には、延暦寺の鎮守社だった「日吉大社」、本坊だった「滋賀院」があります。

東塔地域延暦寺バスセンターの近くには「国宝殿」も。延暦寺に伝来する仏像・仏画・書跡などの文化財が多数保管されています。国宝や重要文化財に指定されているものも豊富。比叡山を訪れたら、こちらにも立ち寄りたいですね。

比叡山

住所:滋賀県大津市坂本本町4220

電話:077-578-0001

営業時間:9:00~16:00 西塔、横川は冬季(12月~2月)のみ9:30~16:00

入山料:大人1,000円、中高生600円、小学生300円

交通アクセス:京阪電鉄・京津線 「坂本比叡山口」下車徒歩約10分、坂本ケーブル乗り換え終点下車

JR湖西線 「比叡山坂本」下車徒歩約20分、坂本ケーブル乗り換え終点下車

[参考]

下北ジオパーク

和歌山公式観光サイト

比叡山・びわ湖 山と水と光の廻廊

滋賀・びわ湖観光情報

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