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ペルネッティア(真珠の木)は可愛い実が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説

  • 2023.11.3

秋にカラフルで艶やかな実をつけるペルネッティア。寄せ植えのアイキャッチとしても超保する樹木です。元気に育てるためには、いくつかの管理のポイントがあります。この記事では、ペルネッティアの基本情報や特徴、名前の由来・花言葉、詳しい育て方について、詳しく解説します。

ペルネッティアの基本情報

ペルネッティア
COULANGES/Shutterstock.com

植物名:ペルネッティア
学名:Gaultheria mucronate
英名:Prickly heath
和名:シンジュノキ(真珠の木)
その他の名前:ハッピーベリー、パールツリー、ペルネティア
科名:ツツジ科
属名:シラタマノキ属(ゴーテリア属)
原産地:チリ、アルゼンチン
分類:常緑性低木

ペルネッティアは、ツツジ科ゴーテリア属(旧ペルネッティア属)の常緑性低木です。原産地は南米のチリやアルゼンチン。高地に自生する植物のため夏の暑さに弱く、冬は温暖で十分な湿度のある気候を好みます。幹を持たずに地際から数本の枝を伸ばす、株立ちの樹形が特徴です。自然樹高は50〜100cmですが、鉢植えにして毎年剪定すればコンパクトな樹形を保つことができます。

ペルネッティアの花や実の特徴

ペルネッティア
Elena Zajchikova/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:5〜7月
観賞期:10~2月(実)
樹高:50〜100cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:白

ペルネッティアの開花期は、5〜7月頃。スズランに似たベル形の花を白い花を咲かせます。一つひとつの花は小さく、花径は1cm以下です。開花後に授粉すると10〜12月頃に1cm前後の艶やかな果実がつきます。果実の色は種類によってさまざまで、白、ピンク、赤、紫などが出回っています。太い幹はなく、地際から小枝をたくさん出して2cm前後の小さく艶やかな葉を茂らせます。葉は互生につきます。

ペルネッティアの名前の由来や花言葉

ペルネッティア
Nahhana/Shutterstock.com

ペルネッティアは、以前はペルネッティア属に分類されていたため、その学名の名残でそのままペルネッティアと呼ばれています。和名の「真珠の木」は、真珠のように輝く白い実をつけることから名付けられました。近年は「ハッピーベリー」という名前で知られるようになっていますが、これは園芸品種のうちの一つです。

ペルネッティアの花言葉は、「実る努力」「小さな幸せがいっぱい」「ひそかな情熱」など。これは艶やかな美しい果実がたわわに実る様子が由来となっているようです。

ペルネッティアと同じ属に分類される仲間

シラタマノキ属に分類される、ペルネッティアの仲間について、主なものをいくつかご紹介します。

チェッカーベリー

秋から色づく艶やかな赤い実が愛らしく、クリスマスやお正月の演出によく使われます。樹高20cmほどの常緑低木。開花期は6~7月で、釣り鐘形の白い小花を咲かせます。寒さには強く、丈夫で育てやすいですが、乾燥は嫌うので寒風が当たらない場所に置き、水切れに注意します。

シラタマノキ

シラタマノキ属に分類される植物の中で、日本に自生する3種のうちの一つ。北海道と中部地方以北の亜高山帯から高山帯に分布し、比較的乾燥した場所に自生しています。名前のとおり秋に白い実をつけ、別名シロモノとも呼ばれます。熟した果実は食用もでき、果実酒などに利用されます。

ペルネッティアの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜7月
植え付け・植え替え:3月頃
肥料:3〜6月、9月中旬〜10月頃
入手時期:9〜12月
種まき:3月頃

ペルネッティアの栽培環境

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】風通しのよい日向で栽培します。暑さを苦手とするので、基本的に鉢栽培とし、季節に応じて適した場所に移動しながら管理することがポイントです。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本で、日当たりが悪い場所では間伸びぎみの頼りない草姿になり、花つき・実つきともに悪くなります。

【置き場所】夏の高温多湿に弱いため、梅雨明け以降から秋の彼岸くらいまでは、半日陰の涼しい場所に移動しましょう。寒さには強いですが霜や寒風が苦手なので、冷たい風が吹きつける場所を避け、凍結しない日当たりのよい軒下などで管理します。

温度

耐寒性は強く、マイナス15℃程度まで耐えますが、霜や寒風が苦手なので、冬は凍結しない日当たりのよい軒下などに移動しましょう。

ペルネッティアの育て方のポイント

ここまで、ペルネッティアの基本情報や名前の由来・花言葉、花や実の特徴などについてご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、適した用土や植え付け、水やりや施肥、日頃の管理など、育て方について詳しく解説します

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

贈答用の鉢花を入手した場合は、ワンシーズンはそのまま植え替えずに開花や結実を楽しみましょう。ポット苗を入手した場合、ペルネッティアは酸性土壌を好むのでツツジやブルーベリーの栽培用にブレンドされた培養土を利用して植え替えると手軽です。一般的な草花用の培養土を利用する場合は、鹿沼土やピートモスを混ぜ込んで調整するとよいでしょう。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

ペルネッティアは鉢栽培が基本で、乾燥しやすいために日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ペルネッティアは多湿を嫌うため、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。特に花弁に水がかかると、傷みやすくなるので注意が必要です。

また、真夏は気温の高い昼間に水やりすると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。一方、真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になることもあるので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流失しやすいので、肥料を切らさないように管理することが大切です。

生育期の3〜6月は、緩効性肥料を月に1度を目安に株の周囲にばらまいて、軽く耕して土に馴染ませます。または、10日に1度を目安に液体肥料を与えてもよいでしょう。7〜8月の真夏は、肥料を与えるとかえって株が弱ることがあるので、肥料を切らして管理します。涼しくなった9月中旬〜10月頃に、緩効性肥料または液肥を与えて株の勢いを取り戻しましょう。

気をつけたい病害虫

ペルネッティアは、病害虫の心配はほとんどありません。

ペルネッティアの詳しい育て方

苗の選び方

実や葉にハリがあり、株元がしっかりしている苗を選びましょう。

植え付け

ペルネッティアの植え付けの適期は、3月頃です。

まず、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからツツジやブルーベリーの栽培用に配合された培養土を半分くらいまで入れましょう。ペルネッティアの苗を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取りましょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

日常のお手入れや注意点

【摘心】

苗木が幼いうちに枝の先端を切ると、わき芽が出てボリューム感のある樹形になります。この摘心を行うことで、枝が上に伸びて間伸びするのを防ぎ、コンパクトにまとまってこんもりとバランスのよい樹形に仕立てることができます。

【果実の除去】

越年して3月頃になっても実がついているようなら、切り取っておきます。果実をつけたままにすると体力を消耗し、次のシーズンに開花する力が弱まって花つきが悪くなるためです。

【人工授粉】

ペルネッティアは雌雄異株なので、2年目以降も実を楽しみたいなら雄株が必要です。より確実に結実させるには人工授粉をするとよいでしょう。詳しい人工授粉のやり方は後述の「ペルネッティアを人工授粉する方法」をご覧ください。

剪定・切り戻し

剪定
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

越年後、剪定せずに放任していると、枝葉が上へ上へと伸びて樹形が乱れてきます。見栄えのよい状態を保つために、剪定して樹形を整えましょう。剪定の適期は開花中です。花が終わった後に実る果実を観賞するので、花がついていない枝を選んで切り取ります。込み合っている部分があれば、間引くように剪定して風通しをよくし、長く伸びすぎてバランスを乱している枝があればカットしておきます。

植え替え

鉢植えで楽しんでいると、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、古い根が絡みあっているようであればカットして整理しましょう。植え替えの際には、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

ペルネッティアは、種まきと挿し木で増やすことができます。

【種まき】

ペルネッティアは、種まきからでも育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。多数の苗を作りたい場合は、コストカットにもなります。

ペルネッティアの種まきの適期は3月頃です。実った果実の中から取り出した種を利用します。種まき用のセルトレイにツツジやブルーベリー用にブレンドされた市販の培養土を入れ、1穴当たり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土を薄くかけ、はす口をつけたジョウロで高い位置から優しい水流で水やりをしましょう。発芽までは、乾燥・過湿にならないように適度な水管理をしてください。発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜4枚出始めたら黒ポットに鉢上げします。さらに育苗して根鉢が充実して十分に育ったら、植えたい場所に定植します。

【挿し木】

ペルネッティアは、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木で増やせないものもありますが、ペルネッティアは挿し木で増やせます。

ペルネッティアの挿し木の適期は、6月頃です。5cm程度を目安に、新しく伸びた枝を切り口が斜めになるように切り取ります。つぼみがあればすべて取り、葉は先端の2〜3枚残して下の葉は取っておいてください。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。

ペルネッティアの夏越し・冬越し

ペルネッティア
GIOIA PHOTO/Shutterstock.com

ペルネッティアは暑すぎず、寒すぎない気候を好む植物で、日本の酷暑、厳寒と表現される極端な気候条件は苦手とします。そこで、日本で栽培する際の夏越しや冬越しの対策方法についてご紹介します。

夏越しの方法

ペルネッティアは、もともと高山に自生してきた植物なので、猛暑と呼ばれる日本の夏が苦手です。西日の当たる場所を避け、風通しのいい半日陰の場所に移動しましょう。そのような場所がなければ、遮光ネットや寒冷紗などを張って、直射日光にさらされないように対処してください。夏に木が弱ると、実がつかなくなるので、十分な暑さ対策を施すことが大切です。

冬越しの方法

ペルネッティアは寒さには強いほうですが、乾燥を嫌うため常に冷風が吹きつけて乾燥しやすい場所には置かないようにしてください。また、凍結しない場所がよく、日当たりがよく霜が降りない軒下などに移動するとよいでしょう。乾燥を防ぐために株元にバークチップなどのマルチングを施しておきます。

ペルネッティアを人工授粉する方法

ペルネッティア
Nahhana/Shutterstock.com

ペルネッティアは、実った果実を観賞する植物です。雌雄異株なので、2年目以降もたわわな実姿を楽しむためには、雄株も一緒に育てるとよいでしょう。

ペルネッティアの開花期は5〜7月頃で、日本では雨の多いシーズンにあたるため、雨で花粉が流れて実つきが悪くなってしまうことがあります。そのため、果実を確実につけたい場合は人工授粉をしておくとよいでしょう。人工授粉のタイミングは、花が咲いて新鮮なうちに行うのがよく、晴れた日の朝8〜10時がベスト。花粉のついた花を摘み取り、花弁を取り去って、雄しべを雌株の花の雌しべにこすりつけます。何度か繰り返し行うと、受粉できる率が高くなります。

ペルネッティアが枯れる原因とは

ペルネッティア
GIOIA PHOTO/Shutterstock.com

「ペルネッティアを大切に育てていたのに、枯れてしまった! どうして!?」という声が寄せられることもありますが、それにはいくつかの理由が考えられます。ここでは、その原因について考察していきます。

土壌が酸性ではない

ペルネッティアは酸性の土壌を好みます。植え付けや植え替えの際は、ブルーベリー用の培養土を選ぶとよいでしょう。同じ土に植えたままにしていると、土壌酸度が低くなってしまいがちで、生理障害を起こしてどんどん元気がなくなっていってしまいます。1〜2年に1度は適した土壌酸度の培養土を使って植え替えることが大切です。

暑さで弱った

ペルネッティアの故郷は高山地帯のため、夏も涼しい環境を好みます。日本の暑い夏はペルルッティアにとっては酷な環境となるため、できるだけ涼しく風通しのよい場所に移動して管理しましょう。

根腐れを起こした

ペルネッティアは乾燥が苦手とはいいながらも、常にじめじめとした多湿な環境になると根腐れを起こしやすくなります。表土が白く乾いたのを見はからってからたっぷりと水やりすることを心がけ、適湿を保つようにしてください。水やりをしても吸い上げが弱い、しおれている、葉が変色している、土にカビが生えている、といった状態であれば、根腐れが原因として考えられます。

ペルネッティアを育てて可愛い実を楽しもう

ペルネッティア
Irina Kvyatkovskaya/Shutterstock.com

ペルネッティアは初夏に咲くスズランのような花が愛らしく、秋からは艶やかな実姿を楽しめる、魅力的な鉢花です。暑さに弱いため、ケアに気を配る必要がありますが、手をかけた分だけ美しい姿で応えてくれます。ぜひ庭やベランダに迎えてみてはいかがでしょうか。

Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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