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畳の常識が変わる瞬間!豊臣秀吉 縁の地で見せた、“まさかの技法”とは

  • 2023.12.16

畳といえば、緑色の長方形というのがこれまでの常識でした。しかし、最近の畳はおしゃれになっていて、色や模様もさまざまですよね。

畳職人の山田憲司さん(@japanese_floor)がX(旧Twitter)上に投稿した、「すごい畳」のビフォーアフターの様子をご覧ください!

畳とアートを融合させた、さまざまなデザインの畳を制作している山田さん。

こちらのひょうたんをモチーフとした畳も、曲線や色合いの変化が美しく、じっくりと見入ってしまいますね。畳にこんな可能性があったとは驚きです!

畳が完成するまで

こちらの畳の制作について、山田さんに詳しいお話をお伺いしました。

---ひょうたんのデザインがとても素敵で見入ってしまいました。デザインのポイントなどを教えてください。

民泊のオーナーから畳のデザインと製作をして欲しいと依頼され、このプロジェクトに取り掛かりました」

---こちらは民泊の建物だったのですね。ぜひ泊まってみたいです。

「この民泊は、豊臣秀吉が築城したと言われている、墨俣一夜城のすぐ近くにある武家屋敷を改装した歴史ある建物です。豊臣秀吉の馬印でもある、ひょうたんをモチーフにして欲しいと要望があり、大きなひょうたん模様を計画したのですが、そのまま大きなひょうたんを作ろうとすると、畳の最大寸法である180cm×90cmをはるかに超えてしまいます」

---大きなひょうたん模様にするためにどうされたのでしょうか?

パズルのように分割することによって、一つの大きなひょうたんが描けると思い、ひょうたんに紐をつけたり、小さなひょうたんを割合よく配置することで、複数の畳を組み合わせて大きなひょうたんを表現しました。大きなひょうたんと小さなひょうたんの色が違って見えることもデザインの特徴の一つです」

---すごい!確かにそうすれば大きなひょうたんを表現できますね。

畳のいぐさは全て同じ色!

---こちらの畳は全て同じ色のいぐさということに驚きました。

今回の畳は全て同じ色のイグサで作っていますが、写真でもわかるように畳の色が複数の色で構成しているように見えると思います」

---なぜこんなに色合いが違うように見せることができるのでしょうか?

「畳はよく見るとストライプのように線が入っています。畳の表面は織物のように縦糸と横糸で構成されており、織り目の向きによって光の反射で色が違い、白く光って見えたり、影で深緑色になったりする特性があります。この特性を利用して、ストライプの角度を0度にしたり、10度にしたり、45度にすることによって、光の反射だけでさまざまな色になるように演出しています」

---細かく角度を計算されて作られていたのですね。特に工夫した点や、難しい挑戦だった点などを教えてください。

「畳自体を自由曲線で作っていかなければならないので、一般的な畳をつくる機械が利用できません全て手作業で作っていくので非常に時間がかかってしまうということと、激しい肩こりに悩まされながら作品を仕上げました」

---全て手作業だったのですね!お時間も相当かかったのではないでしょうか?

「このプロジェクトの制作に1ヶ月以上を費やし、一人でひょうたん畳を完成させました」

---お一人で完成させたということにも驚きです!

山田さんは、この他にも竜をモチーフにした畳や、絵画のような畳など、これまでの畳の常識を覆す作品を作られています。

宿泊した宿にこのような素敵な畳があったら、しばらく見入ってしまいますね。



取材協力:山田憲司さん(@japanese_floor