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大人が意外とわからない算数「分数の足し算」→実は5秒で解けます

  • 2024.1.11
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算数・数学の問題は、「出題者の意図を読む」というのも大事です。

「なぜ、このような式が出題されたのか」を考えることで、「どのような式変形をすればよいか」が見えてきます。

これができるようになると、算数力・数学力が一段アップします!

今回はそのような問題に挑戦してみましょう。

問題

次の計算をしなさい。

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いくつかの分数をたし算しなければいけません。また分母が、かけ算の形になっています。

なぜ、このような式で出題がされているかを考えると、式変形が分かるはずです!

さて、今回の問題の答えは「5/6 (6分の5)」です。

解説

今回の問題、なかなか見ない形の式になっていますが、出題者はなぜこのような問題を出したのでしょうか。

「1×2」「2×3」・・・などのかけ算が正しくできるか。分数の通分が正しくできるか。このような力を確かめたいのであれば、もっと適切な問題があるはずです。

ということは、「分母がかけ算の形」になっていることに意味があるはずです。そして、問題を解くカギもここにあるのではないでしょうか。

実はこの問題は「部分分数分解」をすることで簡単に計算ができてしまうのです。

「部分分数分解」というのは、「通分」と逆の操作をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

例えば、(1/2)-(1/3)という計算は、分母が異なるので、通分しなければいけません。分母は「2と3の最小公倍数」である「6 」にそろえます。

このとき、分母の「6」をあえて「2×3」としたまま残しておきましょう。すると、計算結果は「1/(2×3)」とすることができます。

下図において、上から下に式変形するのが「通分」。逆に、下から上に式変形するのが「部分分数分解」です。

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同じように、他の分数も「部分分数分解」をしてみましょう。

分数の数が多くなってしましますが、「プラス・マイナス違いの分数」が出てくるので、この部分は合わせてゼロということになりますね。

すると、残るのは、最初の「1」と最後の「ー1/6」だけです。

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複雑だった計算式がとても簡単になりましたね。ルールを知っていれば5秒程度で解けてしまう方も多いと思います。

「分母がかけ算の形」で表された問題は、「部分分数分解」をするためのヒントだったのです。出題者のこの意図に気がつくと、簡単に解けるはずです。

まとめ

今回のように、式変形することで「最初と最後だけが残って、途中がすべて消える計算」を「キセル算」と言います。

受験などでは、よく見かける計算のひとつですが、突然出題されると、思いつかない計算かもしれません。

そのようなときは、「出題者の意図」を考えてみるとよいかもしれません。


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」