「速さ」や「平均」という単元は、小学校の算数で習い、日常生活でもよく使う考え方です。
それぞれの考え方はなんとなく知っていても、実は正確に理解できていないということがあります。
特に「平均の速さ」を考える際は、よく間違えるので注意が必要です。
問題
A地とB地を自動車で往復しました。行きは時速30km、帰りは時速50kmでした。往復の平均の速さを求めなさい。
多くの人がしてしまう間違いは、「(30+50)÷2=40」なので、時速40kmというもの。これは間違いです。
平均だから「足して2で割る」という計算ではないのか、と思われますが、実は「平均の速さ」はそうならないのです。
きちんと「速さ」というものが、何だったかを考えましょう。
さて、答えは「時速37.5km」です。
解説
「速さ」というのは、単位時間あたりに進んだ距離のことです。時速の場合は「1時間あたりにどれだけの距離を進んだか」を表しています。
時速30kmということは、「1時間に30km進んだ」ということですね。
算数の問題では「時速30kmで進みました」と書かれますが、これは何も常に一定の速度で進んでいたわけではありません。
現実世界では、信号で止まることもあれば、高速道路で走っている区間があるかもしれません。
速度は常に変化しているのですが「何時間のあいだに何km進んだか」というトータルの時間とトータルの距離から速さを計算しています。
「往復の平均の速さ」も同様に、往復するのに何時間かかったのか、そして全部で何km進んだのかを考える必要があります。
今回は特に距離が指定されていませんが、150kmの道のりを進んだと仮定してみましょう。
(この150kmという数字は、計算しやすい数字を選んでいます。その他の数字で設定しても、同じ結果を導くことができます。)
行きは150kmの道のりを時速30km、帰りは150kmの道のりを時速50kmで進んだと考えます。
まず往復の距離については、簡単に求まります。往復なので150km×2=300kmの道のりですね。
次に時間を考えましょう。
行きにかかった時間は、150km÷時速30km=5時間、
帰りにかかった時間は、150km÷時速50km=3時間。
よって、往復にかかった時間は8時間ということになります。
したがって、往復では300kmの道のりを8時間かけて進んだということです。
その速さは、300km÷8時間=時速37.5kmです。
まとめ
平均と言われると、足して2で割るという計算をしたくなりますが、実は「平均の速さ」ではそのようになりません。これは「行きと帰りでかかる時間が異なるため」です。
公式の丸暗記ではなく、「速さ」とはどのような考え方だったのかを知っていると簡単に解けるはず!
算数・数学も、しっかり意味を考えると奥が深くて面白いですね!
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」