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生誕100年 ハロウィンで封印された「ハチ公」の本当の物語

  • 2023.10.31
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2023年のハロウィンでは、群衆対策の一環として、渋谷のシンボルである「ハチ公像」が、シートで周りを囲われて「封印」されたことが話題を呼んだ。

像のモデルとなった忠犬ハチ公は、2009年にリチャード・ギアさん主演で『HACHI 約束の犬』として映画化されて以来、インバウンド訪日外国人にも大人気なのだという。

しかし、ハチ公像を知っていても、ハチ公の詳しい「人生」については知らないという人は多いはず。そんな人にオススメなのが、11月10日のハチ公生誕100年に合わせて、10月25日に発売された童話『ハチ公ものがたり』(ハート出版)だ。

渋谷のシンボルの実話ノンフィクション

本書は、2009年8月に刊行された児童書『ハンカチ文庫 ほんとうのハチ公物語』を、改題・改訂のうえ、リサイズ・新装したもので、ハチ公の人生が、感動の実話ノンフィクションとして紹介されている。

1923年11月、ハチは秋田県の小さな村に生まれた。その後、夜汽車で上京し、東京帝大教授・上野英三郎博士にもらわれ、ハチという名前をつけられた。

上野家で愛情たっぷりに育てられたハチは、やがて、博士が通勤に利用する渋谷駅まで、お見送りとお出迎えをするようになる。立派な体格の秋田犬はめずらしく、お出迎えをする賢い犬として、駅員さんや商いの人たちに親しまれていたという。

しかし、博士が心臓マヒで亡くなると状況は一変。主を失った上野宅は売られ、一家は離散状態となり、ハチも野良犬になってしまう。

ところが、ハチは、帰らぬ主人を出迎えるかのように、また渋谷駅に通うようになった。ただ、飼い主がいない、毛並みもみすぼらしい野良犬となったハチは、周囲から邪険にされるようになっていく──。

そんなハチが、新聞に載ったことから人気者となり、世代を超えて日本人の心に生き続けるようになった実話を、噺家のようにユーモアたっぷりの文章と、静謐な挿絵で楽しめる名作ノンフィクション。世界の人々を魅了してやまない「忠犬物語」を味わえる1冊だ。

■綾野まさるさんプロフィール
あやの・まさる/本名・綾野勝治。1944年、富山県生まれ。67年、日本コロムビア入社。5年間のサラリーマン生活後、フリーライターとして、特にいのちの尊厳に焦点をあてたノンフィクション分野で執筆。94年、第2回盲導犬サーブ記念文学賞受賞。主な作品に『いのちのあさがお』『いのちの作文』『帰ってきたジロー』『南極犬物語 新装版』(すべて弊社刊)『900回のありがとう』(ポプラ社)、『きんさんぎんさんの百歳まで生きんしゃい』(小学館)ほか多数。

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