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アグリツーリズムとは|注目される理由や事例、国内における課題を解説

  • 2023.10.31

アグリツーリズムとは

アグリツーリズムは都市部の田舎暮らしを体験したい層と、過疎化や高齢化の現状を改善したい農村部がつながる手段として期待されています。まずは意味や注目される理由、課題を見ていきましょう。

農村の自然・文化・交流を目的とした旅行スタイル

アグリツーリズムとは英語の「Agriculture(農業)」と「Tourism(旅行)」を掛け合わせた造語です。農村などに滞在し、周囲の豊かな自然環境や文化、そこで暮らす人々との交流を楽しむヨーロッパ発祥の休暇の過ごし方を指します。近年は農林水産省を中心に日本でも推進されていて、地域特有の伝統文化を体験できることから国内外でニーズが高まっています。

注目される理由

アグリツーリズムが注目される理由は2つあります。1つ目の理由は、アグリツーリズムを政府が推進しているから。アグリツーリズムの旅行者が増えることで、過疎化や高齢化の進んだ地方を活性化できると期待されています。年々、国が支援する地域の数は増加していて、その追い風を受けて普及が拡大しています。地方にいながら都市部の企業に勤められるワーケーションとアグリツーリズムは相性がよく、国内からの需要も増加傾向にあるのです。

2つ目の理由は、日本へ観光に来る外国人からの需要が増加していることです。日本の農村にある伝統文化や郷土料理など、地方特有の魅力を求めて観光しにくる外国人のニーズが高まっています。

アグリツーリズムのメリット

アグリツーリズムを農家が取り入れると、本業以外の収入源を確保できます。アグリツーリズムを体験する人の大きな目的は、地域特有の文化を体験したり、食べ物を味わったりすることです。それに合わせて民宿やレストラン、体験農園などを運営することで収入源の増加が見込めます。地域の魅力を体験できる施設をつくると、人の出入りが増え、地域の活性化にもつながります。

アグリツーリズムの課題

アグリツーリズムの課題は、ビジネスとして成立するかどうかということ。事業として収益を得ることが目的のため、コストをかけて整備しても観光客が来ないといった事態は避けなければいけません。観光地ではないところに観光客を呼ぶ場合、交通手段や広報活動などコストがかかります。また、住人の高齢化や人口減少が進んでいる地域も多く、十分なサービスが提供できないところもあります。農村特有の自然環境や人々の暮らしを守りながら、季節を問わず観光客に休暇を楽しんでもらえることが重要です。

アグリツーリズムと他の言葉との違い

アグリツーリズムには、グリーンツーリズムやエコツーリズムなどの似た言葉があります。ここでは、それぞれの違いについて紹介します。

グリーンツーリズムとの違い

農林水産省によると、グリーンツーリズムとは農村漁村において自然や文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動を指します。アグリツーリズムが言われ始めたのはつい最近のことで、もともとはグリーンツーリズムという言葉を使っていました。ほぼ同じ意味ですが、グリーンツーリズムには漁村など海辺で休暇をとることも含まれています。

エコツーリズムとの違い

エコツーリズムは自然環境の保護を目的とする旅行スタイルです。農村の文化や人々の暮らしを体験するアグリツーリズムとは目的が異なります。旅行の目的によって、旅行スタイルを選択するのがおすすめです。他にも観光地の自然環境を守りながら旅行を楽しめるサスティナブルツーリズムもあります。

【国内】アグリツーリズムの事例

実際に国内でアグリツーリズムを導入した事例を3つ紹介します。

広大な牧場で動物と触れ合える/北海道 網走市

網走市では、牧場に宿泊しながら動物との触れ合いや農家の方との語らいが体験できます。通年で提供している体験メニューは、羊の羊毛を使ってぬいぐるみや小物づくりをしたり、バードウォッチング、季節ごとにジャガイモ堀りやスキーなどが体験できたりします。北海道の広大な自然を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせるでしょう。

気軽に田舎暮らしが体験できる/福井県 坂井市

坂井市では、いちご狩りやミニ動物園など若者にも受け入れられやすいコンテンツを展開し、より気軽に観光ができるように工夫されています。豊かな自然に囲まれて、農作業体験やそこで育った野菜を食べたり、星空を眺めたりなど、スローフード・スローライフ・スロートラベルを楽しめます。

1日1組限定で密度の濃い体験ができる/大分県 安心院町

日本のアグリツーリズム発祥の地とされている安心院町は、農村民泊を営む家庭が約60軒あり、多い時には年間で1万人以上が利用しています。安心院町では、農作業や竹細工など、季節や各家庭でさまざまな体験ができ、お風呂は温泉、調理・準備・食事は皆でして食べるという体験もできます。原則1日1組の宿泊受け入れが基準なので、密度の濃い体験をすることが可能です。

【海外】アグリツーリズムの事例

海外ではアグリツーリズムを楽しむことが身近なため、今でも多くの人が長い余暇を田舎で過ごしています。日本では体験できない機会が提供されているため、海外旅行を検討している方は選択肢の1つにするのもおすすめです。

何度も訪れたくなる/イタリア トスカーナ州

アグリツーリズムはイタリア語では「アグリツーリズモ(Agriturismo)」と呼ばれ、古くから盛んに行われています。ワインの生産地としても有名なイタリアのトスカーナ州は、ワインのテイスティングやブドウ・オリーブの収穫体験、オーガニックのチーズや生ハムなどの地域特有のローカルフードも楽しめるので人気です。

手つかずの自然に感動/オーストリア各地

豊かな農村地帯を誇るオーストリアは、国内各地でアグリツーリズムが体験できます。1990年代には全農家の約10%が民宿を兼業するようになるほど規模が拡大。宿泊する農家によって、ワイン造りや酪農など体験できるプログラムが多彩にあり、一部のホテル予約サイトでもアグリツーリズムを実践している宿泊施設を検索できます。手つかずの自然に憧れる人に好まれる地域です。

アグリツーリズムは旅行の選択肢の1つ

アグリツーリズムは農業と観光がうまく融合された新しい休暇の過ごし方です。都会から離れて地方の自然や文化を実際に味わえる、体験型の観光ができるのが大きな魅力です。旅行を検討されている方は、選択肢の1つとしてみてはいかがでしょうか。

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