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ファッション業界人が愛用する、とっておきのジャケットとは?

  • 2023.10.31
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ファッション業界で活躍する、スタイリストやジャーナリストなどのおしゃれ賢者に聞いた、愛用ジャケットとは? お気に入りの理由を教えてもらった。

清水奈緒美 スタイリスト

My Favorite Itemセリーヌのメンズジャケット

フィービー・ファイロがデザイナーの頃からほぼ毎シーズン、セリーヌのジャケットを購入している清水。中でもお気に入りは「2019年AWのランウェイで見た時から店舗への入荷を心待ちにしていたジャケット。レディスもメンズも同じ生地のものが展開されていたのですが、ボックス形のシルエットに惹かれてメンズを選びました。自分の体形はメンズアイテムと相性が良い気がしていて。しかも、さまざまな色が重なった奥行きのあるガンクラブチェックはずっと欲しかったもの。柔らかくて質の良いツイード生地なのでコート代わりにもなる。毎シーズン何度も手に取る一着です」

Naomi Shimizu/ファッション誌の編集者を経て、スタイリストに転向。モード誌を中心に活躍する。ジャケットに限らず、シャツやニットなどもメンズアイテムを着ることが多いとか。

飯島朋子 スタイリスト

My Favorite Itemステラ マッカートニーのダブルブレストジャケット

ジャケットは日常的によく着るほうではないが、ここぞという時に着る“お守り”的アイテムだと話す飯島。選ぶ基準はずばり、サイズとフォルム。ステラ マッカートニーらしい着丈の長さと堅苦しくない金ボタンが気に入って購入したこちらは、「着る・着ないで気持ちのオンオフが切り替えられるスイッチのような存在。私はジャケットを着ると悪い意味で合いすぎてしまうので、カジュアルに着崩すのがルール。普段からTシャツやデニムを着ることが多いので、かしこまったシーンや、このままではいけない!と自分を奮い立たせたい時にその上から羽織ります」

Tomoko Iijima/スタイリストの金子夏子に師事し、2000年に独立。ドラマや映画からスタイリングのインスピレーションを得ることも多く、映画『レザボア・ドッグス』のジャケットスタイルが好き。

山本マナ スタイリスト

My Favorite Itemアクネ ストゥディオズのギンガムチェックジャケット

「もともとかっちりしたものを着ることがなくて、自分のワードローブにジャケットはなかったのですが、そろそろ1枚くらい持っておかないと、と3〜4年前に買ったのをきっかけにジャケットに目覚めました」。今年迎えたこのジャケットは山本にとって“アクセサリー”なのだとか。「秋はあえて黒以外の遊びのあるものを大人に着こなしたい気分。いつもアクセサリーは着けない派ですが、たまに着けるジュエリーやカラーリップ同様に、このジャケットもアクセサリー感覚で着ます。柔らかい素材と遊びのあるデザイン、少女っぽい赤のギンガムチェックが気に入っています」

Mana Yamamoto/女優からスタイリングの指名も多く、モード誌や広告で活躍。ドリーミーかつカジュアルな独特のコーディネートが人気。2020年にはオンライン上のギャラリー「SNÖ」を開始。

栗山愛以 ライター

My Favorite Itemコム デ ギャルソン・ノワールのPVCカラージャケット

コム デ ギャルソンで働いていた頃に展示会で出合った年季の入った一着。「ツルツルしていたり、キラキラしていたり、レザーだったり。もともとそういう異素材がすごく好きで。これを買った理由は、やっぱりビニールの襟。黒のジャケットは死ぬほど持っていますが、完全にオーソドックスなものには私は手が伸びなくて。だからこの癖のある襟に惹かれました。でも襟以外はちゃんとしたテーラードジャケット。なので意外と何にでも合わせやすい。10年以上前に買った、いまはなきブランドですが、質がいいのでこの先もずっと残しておきたいジャケットです」

Itoi Kuriyama/モードファッションをこよなく愛し、さまざまな媒体でライターとして活動。辛口コメントとイラストにファンが多数。過去にはコム デ ギャルソンでプレスとして働いていた。

濱本愛弓 スタイリスト

My Favorite Itemサンローランのツイードジャケット

「あの頃の私は、ブランドもののジャケットをポンッと気軽に買うことは難しくて。でもいつかサンローランのカラフルで変化球なツイードジャケットが欲しいと思っていたんです」。するとある日、もともとコレクションで目をつけていた理想の赤のジャケットが、アウトレットに並んでいたという。「見た瞬間に即買い。いまっぽくないとしても、過去の自分が“憧れていたけど買えなかったもの”に出合えた時は買うようにしているんです。それでまた仕事を頑張ろうっていう活力にもなる。特別なジャケットなので、仕事で心を引き締めたい時に鎧のつもりで着ています」

Ayumi Hamamoto/アパレルスタッフを経て、約4年アシスタントを経験し、2018年に独立。近年はファッションインフルエンサーとしても注目されている。トレードマークは真っ黒なボブヘア。

塚本 香 ファッションジャーナリスト

My Favorite Itemバレンシアガのタキシードジャケット

2009年、パリコレのランウェイで見た瞬間にひと目惚れ、現地のショールームでオーダーしたというジャケット。「タキシードをモダンにアレンジしたもので、スクエアなショルダーにウエストをシェイプした美しいシルエットに魅了されました。私はリラックスした装いがあまり得意ではなくて、適度な緊張感があるほうが逆に心地良く感じられる。そういう意味でこのジャケットの背筋がピンと伸びる感じが好き。特別なシーンではなく普段に着ていますが、時間が経っても着るたびにおしゃれの高揚感を思い出させてくれる。私にとっての“パリシック”を象徴する一着です」

Kaori Tsukamoto/「フィガロジャポン」をはじめ数々のモード誌編集長を経験し、現在はフリーで活動。20代で初めて買ったタキシードジャケットはニューヨークの古着屋で見つけたメンズ。

*「フィガロジャポン」2023年12月号より抜粋

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