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まるで「ひみつ道具」!目的地までの経路を指し示すライト「みちびきライト」を発明した人に話を聞いた

  • 2023.10.30

まるでドラえもんのひみつ道具のような見た目のライト。実はこれ、道を照らすだけではなく「道案内」もしてくれる便利アイテムだという。実際に製作者が使用しながら解説する動画がX(Twitter)に投稿された。

「道案内」するライトとは一体どんなものなのだろうか?

QRコードを読み込むことで、目的地を簡単に設定できる 出典:Togetterオリジナル
ライトを照らすと、方向を示す矢印と目的地までの距離が表示される 出典:Togetterオリジナル
近未来的な道案内のおかげで、無事に目的地まで辿り着いた 出典:Togetterオリジナル

道案内するライトこと「みちびきライト」を作ったのは、さまざまなガジェットやアート作品を製作している堀洋祐(@kasanetarium)さん。

みちびきライトは、本体を使ってQRコードから目的地を読み取った後に暗闇で地面を照らすと、向かう方向を示す矢印と目的地までの距離を投影するというもの。

動画では、堀さんが実際にみちびきライトを使って夜道を進み、スマホに頼ることなくみちびきライト一本で目的地に到着していた。

投稿を見たユーザーからは「すばらしいアイデア!」「ゲーム感覚で使えるのも良い」「既存の技術で今までにないものを作る人って天才」など、絶賛の声が寄せられている。

堀さんに、みちびきライトの仕組みや製作期間、今後の目標など詳しく話を聞いた。

目的の情報が風景に表示できるように

みちびきライトの使い方や仕組みを教えてください。

みちびきライトは夜道を照らしながら目的地に行くことができる装置です。
懐中電灯のように夜道を照らすと、照らされた光の中に「赤色の矢印(目的地の方向)」と「〇〇m(目的地までの距離)」が表示されます。
赤色の矢印の方向に、距離が0mになるように歩いていけば、やがて目的地に辿り着くことができます。
懐中電灯に見える光は、実はプロジェクターで投影している映像です。
みちびきライトは内蔵されたGPSセンサーと姿勢を検知するセンサーを使って、リアルタイムで目的地の方向と距離を内部で計算します。
その計算結果を使って目的地の方向を示す矢印と目的地までの距離を作画して、プロジェクターから投影しています。
出典:Togetterオリジナル
複数のセンサーを組み合わせ内部に搭載している 出典:Togetterオリジナル
たとえば東京駅まで行く場合だと、東京駅の位置情報をみちびきライトに教える必要があります。
目的地の登録方法は、スマホで登録したりライトにボタンをたくさん設置したりなど、いろいろな方法があります。
みちびきライトは、誰でも簡単に目的地を登録できるようにしたかったので、QRコードリーダー(カメラ)を採用しました。
QRコードには目的地の緯度と経度の情報が入っています。その他の細かい設定もQRコードだけでできるようにしました。
出典:Togetterオリジナル

作ろうと思ったきっかけを教えてください。

スマホの地図アプリを使っている時、目的地までスマホ画面と風景の両方を見るため、危なかったり風景を楽しめなかったりすることがありました。
風景に「目的の情報(方向や距離)」が表示できないか考えた時、「目的地の方向を示す矢印を風景に投影できる懐中電灯」というアイデアが浮かびました。
矢印を風景に投影するのは、暗くなった時間帯が適していたので、「夜道を照らしながら目的地の方向を教えてくれるライト」というコンセプトで開発を始めました。
以前、ドラえもんのひみつ道具「たずね人ステッキ」にインスパイアされ作った、目的地の方向に傘が倒れる道案内装置「カサナビ」の延長でもあります。
出典:Togetterオリジナル

構想から完成までの期間は?

アイデアが生まれてから完成まで、約2カ月かかりました。
出典:Togetterオリジナル

製作で工夫した点や苦労した点を教えてください。

QRコードで、誰でも簡単に目的地を登録できるようにした点です。
また、目的地に行く前のワクワクした気持ちを演出するために、光をつけると矢印がくるくる回転しながら登場するアニメーションをつけた点です。
ドラえもんのひみつ道具のような名前「みちびきライト」に合わせて見た目もひみつ道具を参考にして、設計したケース(外観)のすべてのパーツを3Dプリンタで製作しました。
出典:Togetterオリジナル
目的地の方向を矢印で示すシンプルな「表示」を実現するため、みちびきライトの姿勢やGPSの計算を内部で処理するようにしました。
複数のセンサーを組み合わせ、内部では必要なデータの取得や計算をしています。センサーの制御プログラムや計算プログラムを作るのに苦労しました。
また、動作確認は屋外でないとできないため、外に出て家に戻ってプログラムを変えてまた外に出て…を繰り返すのも地味に大変でした。
ケースはドラえもんのひみつ道具をモチーフに製作を開始したのですが、色がなかなか決まらず、3Dプリンタのフィラメント(※)の色を8色くらい試して、3週間くらいかけてやっと完成しました。
出典:Togetterオリジナル

(※)…3Dプリンターでデータを出力するために用いる材料のこと。

いろいろなカラーで試作し、納得いくものを完成させた 出典:Togetterオリジナル

今後の目標を教えてください。

内部のプロジェクタの大きさによってサイズが変わるのですが、今使っているプロジェクタよりもっと小さいプロジェクタを入手しました。現状は少し大きいので、使いやすいよう小さくしたいと考えています。
出典:Togetterオリジナル

みちびきライトをどんな場面で使ってほしいですか?

先日「Maker Faire Tokyo 2023」のイベントで展示を行った時、多くの方から使ってみたいという声をいただきました。
アイデアレベルですが、みちびきライトを使って目的地まで行く体験会ができると面白いかもしれません。お祭りや謎解きイベントなどでも使えないかなと思っています。
また、スマホを使用しない人や地図を読むのが苦手な人など、子供からお年寄りまで、誰でも簡単に使えるものを目指して開発してきました。
イベントなど特別な場面だけでなく、普段の生活の中で行ったことがない場所に行く際、使ってもらえるようになると嬉しいです。
出典:Togetterオリジナル
ユーモア溢れる製品を開発 出典:Togetterオリジナル

日常生活で不便に感じたことをきっかけに誕生した、みちびきライト。「誰でも簡単に使えるもの」を目指した装置が、これから誰かの役に立つ日が楽しみだ。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。

文:みわんこ 編集:Togetterオリジナル編集部

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