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イギリスの子どもたちの平均身長が縮んでいる理由とは?

  • 2023.10.30

イギリスの5歳児は、ヨーロッパの近隣諸国と比べて小さいことを英「タイムズ」紙が報じた。

イギリスの子どもたちの成長率は何十年も前から低下している。Photography: Getty Images

「1985年以降、5歳児の平均成長率は緩やかに鈍化していた。その後、2010年代に入り、驚くべき現象が生じている」と報じたのは英「タイムズ」紙だ。同紙によれば、イギリスの子供は年々小さくなっている。イギリスの5歳男子の平均身長は112.5cm、同年齢の女子の平均身長は111.7cm。フランスではそれぞれ114.7cmと113.6cmである。

1985年、国際的な研究者ネットワークが作成した身長国際ランキングでイギリスの子どもたちの身長は200カ国中69位だった。現在では100位近くまで下がっている。ロンドン大学を構成するユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで子どもの成長率について研究しているティム・コール教授は「タイムズ」紙の取材に対し、「30も順位が下がったのは驚くべきことだ。問題はなぜそうなったのかだ」と述べた。

身長が意味するもの

この現象を説明する理由はいくつか挙げられている。そのひとつがイギリスで長年、緊縮財政政策が続けられたこと。生活水準の低下に伴って食生活も悪化し、イギリスの子供たちが縮んだ。ティム・コール教授によれば、身長はその集団の一般的な生活状況の指標であり、感染症等の病気、ストレス、栄養状態、貧困、睡眠の質といった要因はすべて、子どもの成長にダイレクトに影響してくる。

「今日のイギリスで、食生活は社会格差を示す最も明確な標識のひとつだ。結果は歴然としている。安いジャンクフードの食生活は太りやすく栄養不足になりやすいという特徴がある」と指摘するのは、英国政府から食料戦略への提言を委任されたこともあるヘンリー・ディンブルビーだ。「イングランドの最貧困地域の子どもたちは、10歳か11歳ぐらいの段階で最富裕地域の子どもたちよりも太っており、身長は明らかに低い。この問題は国際的な比較に影響を及ぼすほど重大であり、結果としてイギリスの "平均的な"5歳児は、他のほとんどの先進諸国よりも小さい」

しかし、これを是正するのはなかなか難しい。クーリエ・アンテルナショナルが引用するエコノミスト誌の記事によれば、「バランスの取れた食生活を実現するために最貧困層世帯の20%は収入の50%を食費に充てる必要がある」という報告がシンクタンクのレゾリューション・ファウンデーションから出ているそうだ。「そんなことは不可能なため、こうした世帯の多くは高カロリー低栄養価の安価な食事をしている。こうした食生活が肥満の増加につながり、子どもたちの成長にも影響を及ぼす」とのこと。インフレ率がG7で最も高く、経済危機に見舞われているイギリスの現状を考えると、事態がすぐに改善するとは思えない。

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