キム・ゴウン＆チョン・へイン共演、実在のラジオ番組が紡ぐ、心に染みわたるラブストーリー

すれ違う男女の恋愛をゆるやかに描いた映画『ユ・ヨルの音楽アルバム』

今回ご紹介するのは、ドラマ『トッケビ』（16年）のキム・ゴウンと『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』（18年）のチョン・へインが共演する映画『ユ・ヨルの音楽アルバム』。本作のタイトル「ユ・ヨルの音楽アルバム」とは韓国で実際に放送されていたラジオ番組であり、ラジオDJユ・ヨルの語りが紡ぐ、偶然と必然の間に出会った男女のささやかなラブストーリーが描かれる。

・韓ドラ好きを唸らせた珠玉のラブロマンス『トッケビ～君がくれた愛しい日々～』

時は1994年。姉と共に「ミス製菓」というパン屋を営むミス（キム・ゴウン）は、ある日ひょんなやりとりをきっかけに、少年院あがりの青年・ヒョヌ（チョン・へイン）をアルバイトで雇うことに。ラジオ「音楽アルバム」のDJが交代したあの日、運命の歯車が動き出した――。

偶然か必然か？ 10年に渡りすれ違う男女を待ち受ける結末とは？

韓国には出所後に豆腐を食べる習慣があるらしい。大豆の商品を求めてミスの店を訪れ、働くことになったヒョヌは、少年院に入った理由は話そうとしない。それでも真面目なヒョヌとほのぼのした日々を過ごすミスだったが、ヒョヌとは突然の別れに。時を経て、環境を変化させながら出会いと別れを繰り返す中で、恋人同士となっていく二人。ようやく平和が訪れたと思いきや、またもすれ違ってしまい……。自分の道を進みながらもヒョヌとの連絡を諦めずにいたミス。過去に囚われ、悪友たちに振り回されながらも、何とか懸命に生きるヒョヌ。互いを想いながらもどこか不器用な二人の行く末を、DJユ・ヨルの優しい語りとともに静かに見守りたくなる作品だ。

主演キャストの相性バッチリ！ ノスタルジックな雰囲気にキュン

1991年生まれのキム・ゴウンは演技派女優として知られ、本作でも持ち前の演技力で主人公・ミスの繊細な機微を多彩に演じた。1988年の生まれのチョン・へインは、可愛らしい笑顔が印象的。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』の役柄から“国民的年下彼氏”のイメージがあるヘインだが、本作では影のある寡黙な青年を演じ、また違った一面を見せてくれた。ゴウンとヘインは『トッケビ』で共演しているからか、相性バッチリ。やんわりと癒し系のオーラでどことなく空気感が似ている二人は、本作の雰囲気ともマッチしており、まさに適役であった。

ノスタルジックでゆるりとした時が流れる本作。何か特別な事が起きるわけではないが、その分じわじわと引き込ませるストーリー性が絶妙にリアルで、現実味のある二人の関係性にキュンとさせられる。疲れた心に染みわたる、穏やかな大人のラブストーリーに癒されてみてはいかがだろうか。（文：斎藤好花／ライター）

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