1. トップ
  2. おでかけ
  3. 紅葉シーズン目前!自然の恵みを味わう、信州の注目スポット

紅葉シーズン目前!自然の恵みを味わう、信州の注目スポット

  • 2023.10.25
  • 1523 views

南北アルプスに中央アルプスと、3,000m級の山々に抱かれる信州は、ひと足早く実りの季節を迎えている。秋深まるこの時期、色鮮やかな紅葉を満喫できる注目の2施設を、信州からご紹介。

「食卓を農園へ」というコンセプトのもと、果樹園にテーブルを持ち込んで。

フルーツ王国、南信州・松川町へ。

長野県の南部、南アルプスと中央アルプスに挟まれた一帯は伊那谷と呼ばれるが、その中央に位置するのが松川町(まつかわまち)。日照時間が長いことから比較的温暖で、かつ1日の寒暖差があるという風土を生かし、およそ100年前から果樹栽培が盛んに行われている。リンゴやナシなどの産地として知られる松川町で生まれたアウトドアダイニングイベントが「Orchardレストランまつかわ」だ。運営しているのは、同じ長野県の茅野市から松川町へ移住してきた坂元クリスティーナさん。長く地域PR事業に携わってきた坂元さんは、果樹園がどこまでも広がる特別なロケーションを、県外の多くの人と共有したいという思いを抱いてガストロノミーイベントを企画したそう。

最盛期を迎えているフジ品種のリンゴ。奥に見えるのは中央アルプス。

ガイドウォークの様子。「りんごの丘農園」の4代目、宮沢恭平さん。

「Orchardレストランまつかわ」は、町内に点在する8軒の果樹農家と手を組み、果樹園のなかにダイニングテーブルをしつらえて、コース仕立ての本格フレンチを味わおうというもの。4〜11月末までの季節限定で実施されているイベントで、春先からゴールデンウィークまではサクランボやナシ、リンゴなど果樹の花、6月からはサクランボ、夏季に桃、9月からナシとブドウ、10月以降はリンゴというように、その時々に旬を迎える果樹園が舞台になる。

「りんごの丘農園」のリンゴを使ったシードルで乾杯。「アップルヒルズ シードル(辛口)」¥1,800

イベントは、農園主によるガイドウォークからスタートする。今日の会場は、サクランボ、ブルーベリー、桃、リンゴを栽培する「りんごの丘農園」。約20種のリンゴを栽培するこちらでは、リンゴが最盛期を迎えていた。この農園の4代目、宮沢恭平さんがリンゴ栽培のことや松川町の果樹栽培の歴史、果樹に適した風土などをガイドしてくれる。ガイドウォークの後は、町内のサイダリーが醸したシードルで乾杯。今日のシードルは「りんごの丘農園」産のピンクレディという生食用品種のみで造られた辛口の銘柄だ。

「さんさん黒豚のテートドフロマージュ」。寄木細工のプレートは、南木曽の木工職人が7種の木材を建具の技術で貼り合わせ、ろくろ挽きしたもの。

乾杯のあとはリンゴの木の下に設けられたテーブルへ。「地場産の食材をふんだんにつかえる贅沢をかみしめています」というのは、イベント専属の坂元暁彦シェフ。国内のさまざまなホテルレストランで腕を振るってきたフレンチの料理人だ。

「コースを構成する食材の95%は町内産。メインの食材は、町内でリンゴジュースの搾りかすで育てられている黒豚と、隣町・飯島町で養殖されているアルプスサーモンやアマゴ。季節によって調理法を変え、その時々の野菜とあわせて提供しています。また、町内にある3軒の醸造所では自家栽培した果樹でシードルやワインを造っています。町内産の食材とのペアリングもお楽しみいただけます」(坂元シェフ)

松川町は実は、長野県内でも有数のオーガニックタウンとして知られている。町をあげて環境保全型農業の推進を進めており、食育も盛ん。町内の小学校で提供される給食に使われている食材の4分の1は有機栽培されているものという。

3品目の「アルプスサーモンの瞬間燻製さくらんぼの枝を使って」。十割蕎麦のクレープと一緒に。

1品目、アミューズブーシュは「自家製ソーセージのビスケットサンド」。町内産の豚肉で仕立てたソーセージに甘酸っぱいサンクランボのソースを合わせ、歯ごたえのいいビスケットでサンドしている。2品目は「さんさん黒豚のテートドフロマージュ」。豚肉のテリーヌに、サヤインゲンやミョウガ、ビーツ、プチトマトなど、これも町内産の野菜のマリネを添えて。3品目はサクランボの枝で燻製した飯島町産アルプスサーモンと、十割蕎麦クレープ。クレープのなかには、シャキシャキしたリンゴの果肉と香ばしいクルミをサワークリームであえて。

「黒豚型ロースのロティ唐辛子味噌の焼きリゾットりんごのチャツネ」。リンゴジュースの搾りかすを飼料に育った黒豚ロースがリンゴのチャツネと絶妙にマッチ。

クリスティーナさんとともに移住してきた坂元シェフ。

口直しは、南信州の試験場で開発された和ナシ「南水」の濃厚なヴィシソワーズ。肉料理は、シードルとリンゴジュースで仕立てたソースでいただく黒豚肩ロースのロティに、フレッシュなリンゴのチャツネを合わせて。唐辛子味噌入りのリゾットを冷やし固めて焼いた付け合わせは、木曽・伊那地域の郷土料理、五平餅に着想を得たもの。

デザートは天龍村産の和紅茶と一緒に。「りんごの再構築」

青リンゴを模したデザートは、リンゴの白ワインコンポートをホワイトチョコレートのムースで覆ったもの。

「フレンチの手法を用いていますが、素材を生かしたいのでシンプルな構成と調理法を心がけています。また、どの皿にも必ず1種類のフルーツを使うようにしています。夏は桃の冷たいスープ、これからの季節はグラニースミス種のリンゴの温かいスープというように、丸ごとのフルーツをそのまま使ったスープは、食材の魅力を引き出しやすいメニュー。その時期ならではの旬の味わいを感じていただけたらうれしいです」(坂元シェフ)

真っ赤に色づいたシナノホッペ。シャキッとした歯応えの信州産銘柄だ。

クリスティーナさんの母国イタリアでさかんなワイナリーツアーに着想を得たという「Orchardレストランまつかわ」。ふたつのアルプスに挟まれた実り豊かな果樹園で、この秋いちばんの美食を堪能しよう。

Orchardレストランまつかわ実施期間: 4~11月末の指定日実施時間:ランチ11:00〜13:00、ディナーは季節によって変動料金: 1人¥12,000円(果樹園のガイドウオーク、乾杯のシードル、フルコース料理の代金を含む。乾杯以外のドリンク代は別途)tel:0265-36-6320(まつかわ旅の案内所)https://dansuki.jp/experience/experience7752/

プライベートキャビンで、原生林の風景を独り占め。

こちらはカップルや夫婦におすすめの、セミダブルベッドとソファを備えた「スタンダードキャビン」。アウトドアリビングの左手にあるのがバレルサウナ。

一方、こちらは高原リゾートとして人気の高い八ヶ岳山麓。目的地は、この春、原生林の中に誕生した小さなキャビンだ。「八ヶ岳PRIVATE WOODS NADA」はわずか3棟のプライベートキャビンからなる宿泊施設で、それぞれのキャビンにアウトドアリビングとバレルサウナ、半露天風呂が設けられている。

広葉樹林のなかにぽつんと佇む、3棟だけのグランピング施設。

キャビンでのお楽しみは、林に面したアウトドアリビングで過ごすひととき。各キャビンは完全に独立しており、他人の気配を感じることなくサウナ浴や外気浴を存分に満喫できる。テラスにはファイヤーピットとバーベキューグリルが用意されているので、好みのタイミングで焚き火やバーベキューを楽しんで。

バレルサウナ&半露天風呂とシームレスに行き来できるアウトドアリビング。専用のバーベキューグリル(手前)とファイヤーピットが備わっている。

こちらはペットと宿泊できる「ドッグキャビン」。専用ドッグランやペット用ベッドを備える。キャビンの設えは快適にしてミニマム。スペイン語で「ゼロ」を意味する「NADA」という施設名通り、日常をリセットしてゼロになれる空間づくりを意識している。

エストニア産バレルサウナを設置。バレルサウナと半露天風呂を備えた仕様は、茅野市ではここだけ。

各自で食材を持ち込むことも可能だが、施設では信州産の食材を取り入れたバーベキューコースを用意している。「りんご信州牛」や「信州サーモン」といった銘柄食材から、地場産の野菜、信州味噌や五平餅まで、郷土の味覚が満載だ。

バーベキュープランのひと皿、「信州サーモンのカルパッチョ」。

バーベキュープランに含まれる「りんご信州牛」のランプやリブを豪快にグリルしていただく。

施設周辺の林のなかには散策路が設けられており、シラカバやブナなどの紅葉樹林は紅葉狩りにうってつけ。紅葉の名所として知られる「清龍山 長円寺」にも近く、この時期だけの風景を満喫できそう。白樺湖や諏訪湖、車山高原にも近く、冬季にはスキーと組み合わせての宿泊もよさそうだ。

ファイヤーピットでコーヒーの生豆を焙煎してみよう。伊那市の「ハイファイブコーヒー」の生豆を、自分好みの焙煎度に仕上げて。4杯分¥1,650

施設周辺にある「清龍山 長円寺」の紅葉。

八ヶ岳PRIVATE WOODS NADA住所:長野県茅野市玉川11398-128tel:080-3341-3024客室数:3室スタンダードキャビンの宿泊料:¥22,420〜¥37,180(1泊2食付き、4名利用時の1名分。食事ブランにより異なる)www.nagano-yatsugatake-glamping.com

元記事で読む
の記事をもっとみる