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「やたら上から目線」「過度な自虐」周囲を疲れさせる“否定癖”のある人の特徴と対処法

  • 2023.10.25
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周りに「否定」ばかりする人いませんか?

「否定癖」がある人にが周囲にいると…
「否定癖」がある人にが周囲にいると…

会話の途中で、「いや」「だって」と、否定から入る返答をする人がいます。皆さんの周りにも、すぐ否定をしてしまう「否定癖」がある人がいませんか?

このような、すぐ否定をしてくる相手に対して、不愉快な気分になったり、もしかしたら自分のことが嫌いでこのような否定をしてくるのではないか、と会話を続ければ続けるほど、疲労感やストレスを感じたりする人も多いでしょう。

なぜ、何に対してもすぐに否定してしまう人がいるのでしょうか。公認心理士の芙和せらさんに、話を聞きました。

Q1.否定癖がある人はどんなタイプがあり、どんな特徴を持っているのでしょうか。

芙和さん「今回は私が得意としている『コミュニケーション心理学』の理論を使ってお伝えします。

否定癖といっても、“否定する対象”をみると特徴がわかります。否定対象を『相手』『自分』『状況』の3タイプに分けてみました。

(1)相手の発言、行動、可能性を否定する

あなた『いつか歌を仕事にしたいんだ』否定癖の人『そんなの無理だよ』あなた『もちろん努力しないと無理だろうけど、スクールにも通って頑張るつもり』否定癖の人『才能があってこそ努力に意味がある。あなたみたいな普通の人が努力したってかなわない夢。憧れるだけ無駄』

(1)のタイプは、なんでもわかっている、私は正しいという考えをもっていて、上から目線で否定するのが特徴です。中には一見否定的な発言だとしても、あなたのためを思っての助言をする人もいるでしょう。違いはあなたのためを思って言っているのか、否定が目的なのかです。前者の場合は否定的な意見でも耳を傾けましょう。

(2)自分の長所、価値、可能性を否定する

あなた『○○さんのこと好きなんでしょ?告白してみたら?』否定癖の人『私なんかキレイでもないし、振り向いてもらえないよ』あなた『そんなことないよ。目が大きくてかわいいって』否定癖の人『性格もよくないし、釣り合わないから諦める』

(2)のタイプは、自信がないので誰かに相談にのってもらいたい人に当てはまります。アドバイスを聞き入れるのではなく、否定して終わります。「でも……」「だって……」が始まったら、話を切り上げたほうがいいでしょう。

(3)状況を変化させられる可能性を否定する

あなた『いっしょに海外旅行に行こう』否定癖の人『海外旅行行きたいな。でも、お金ないから難しい』あなた『アルバイト増やしたらどう?』否定癖の人『シフトに入りたがってる人多いからね。店長が許可してくれない』あなた『他のバイトも掛け持ちしたらいいじゃない』否定癖の人『どうせ慣れないアルバイト先だとすぐクビになるよ』

(3)のタイプは、諦め癖が強い人に当てはまる傾向があります。どうしたら問題を解決できるかという考え方ではなく、「~だからできない」という結論にいたります。(2)と同様、自信がない人がとる否定癖です。できない理由ばかり口にするのが特徴です」

Q2.なぜ、否定癖がついてしまうのでしょうか?

芙和さん「親や身近な大人の影響を大きく受けるのが“コミュニケーションの取り方”です。否定癖のある人は、自身の親の否定癖を知らず知らずのうちに、まねて身につけてしまっている場合が多いのです。

(1)の他人を否定する癖の人は、おそらく親がいつも誰かを否定しているのを聞いて育った人です。『〇〇さんのお子さん、頭がいいわけでもないのに××大学受けたらしいけど、やっぱり不合格だったって』みたいな、相手を否定するようなうわさ話をしょっちゅうしている親の元で育つと口癖が移ります。そして、思考方法も他人をけなす、否定する方向性に流れます。

(2)の自分への否定癖がある人は、厳しすぎる親に育てられた可能性があります。いつも『あなたはダメ』『何もできないのね』『お兄ちゃんに比べて劣っている』など叱責(しっせき)を受け続けていると自信が育たないのです。自信というのは『自分を信じること』ですが、友達や同僚に励まされても、自分自身が自分の可能性を信じることができないのです。結果としてアドバイスを上手に受け取れません。

(3)の状況を変えられないと思い込んでいる人は、世捨て人のように見えるかもしれません。自分にも他人にも期待をしていないのです。最初から諦めているので、ダメだったときの落ち込みは少なくて済みます。今より良い状況を作ろうとチャレンジするより、今より悪くならいことを求めています。これは家庭環境、過去の大きな傷つきによって身に付けた防御姿勢なのです」

Q3.正直、否定癖のある人とは付き合いにくいものです。周囲の否定癖のある人との上手な付き合い方はありますか?

芙和さん「否定癖のある人と付き合うと、あなたの心のエネルギーもそがれていきます。コミュニケーション心理学の理論では、人は皆、人間関係の交流において『肯定的な反応』から心のエネルギーをもらい、『否定的な反応』によって心のエネルギーが失われるのです。

つまり、否定癖のある人と関わることは、自分自身を疲れさせてしまうのです。ですから、否定癖のある人との交流をなるべく避けるのが賢明です。

また、前向きな人ほど、否定癖のある人から否定されると一生懸命に説得しようとします。これも疲れる原因です。自分の夢を否定されたら、どれくらい自分が本気かを相手に伝えようとします。相手が自己卑下的な発言をすれば、相手に可能性があることを伝えようとします。

しかし、短時間のコミュニケーションでは、相手が長い年月をかけて培ってきた否定癖を変えることは大変難しいことです。説得しようとすればするほど、相手の否定癖にも拍車がかかります。

もし、あなた自身が否定されて傷ついたなら、肯定的な反応の人にも意見を聞いてみましょう。肯定的、否定的の両方の反応をもらって自分でどうするかを決めるといいでしょう。

もし、自己卑下的な相手に疲れてしまったら、『いつか前向きになれるといいな』と広い心で見守ってあげましょう。本人が否定癖をなくしたいと思ったときに、変われる可能性をもっています。そのときに励ましてあげればいいのです。

もし、否定癖のあるパートナーとのプロジェクトが暗礁に乗り上げたら、パートナーを変えましょう。一緒に海外旅行したい人は他にいるはずです」

Q4.自分にも「否定癖」があるかも……。「否定癖」をチェックする方法はありますか?

芙和さん「『否定癖』の有無がわかる簡単なチェックシートを作成しました。あなたの考えにあてはまる項目はいくつありますか?

□世の中に信頼できる人はそう多くない。□やりたいことがあっても、失敗することを想像して諦めることがある。□成功する人は一握りの才能のある人か、ラッキーな人だ。□自信があることでも誰かに否定されたらと心配になる。□前向きで元気な人といると疲れることがある。□実際に口にしなくても「でもさ……」など心の中で否定することがある。□「~だけど」と逆接で会話をつなぐことが多い。□世の中には深く考えずにお気楽な人が多いと思う。

0~2つ 否定癖はあまりなさそうです。3~5つ 否定癖があります。特にストレスがたまった状況になると否定癖がでますのでご注意を。6つ以上 かなり強い否定癖があります。心理カウンセラーなどに相談してコミュニケーションや人間関係を改善するといいでしょう」

Q5.「否定癖がある」という結果に。今からできる改善方法を教えてください。

芙和さん「否定癖から解放される方法を3つご紹介します。

(1)ストレスをためこまない。

ストレスをためると、普段は否定癖のない人でも、他人や自分を否定したくなることがあります。なるべくストレスを溜めないように気分転換を上手にしましょう。また、食生活や睡眠習慣を整えることはストレス緩和の第一歩なので意識しましょう。

(2)否定癖が誰の影響かを理解し、自分の癖を修正する。

否定癖は親の影響が強いとお伝えしました。自分の否定的な口癖は誰に似ているかを振り返ってみましょう。

母親、父親、祖父母など親しい人の口癖はなんでしたか?幼少期は無意識に身近な大人の影響を受けてしまいますが、これを読んでいる人であれば自分で自分の生き方や癖を修正することができます。

(3)コミュニケーション心理学に詳しい心理カウンセラーに相談する。

コミュニケーション心理学は、人間関係やコミュニケーションに特化した心理学です。自分で否定癖をうまく修正できない場合は、心理カウンセラーに頼るのも一つの方法です。

否定癖のある人は人間関係全般において『生きづらさ』を感じていることが多く、心理カウンセリングによって改善していきます。

Q6.否定癖を改善した例があれば教えてください!

否定癖になった原因を突き止め、人間関係が改善
否定癖になった原因を突き止め、人間関係が改善

芙和さん「かつてのクライアントの例をご紹介しましょう(個人が特定できないよう実際にあった例の個人情報を加工しています)。

30代半ばの女性・A子さんは、自分のことも他人のことも否定してしまいがちで人間関係がうまくいかず、カフェを開くという自分の夢もなかなか実現できない、ということでカウンセリングを受けに来ました。

コミュニケーション心理学で分析したところ、母親は成功した親戚のことを『ずるくたちまわる人だ』などと悪口を言っていました。父親は『女はダメだ。能力がない』と女性蔑視の発言をしていました。両親の影響からA子さんは自分に自信が持てず、また、他人(特に女性)の欠点ばかりが目につくようになってしまっていることに気付きました。

カウンセリングが進んでいくと、成功した親戚の悪口を言っていた母親の本心は“うらやましさ”だと気付きました。母親は、父親から働くことに反対されていて、子どもが小学校に入ったら保育士として復帰したがっていた夢がかなわなかったためです。

さらに、父親のことは大嫌いと言っていたA子さんでしたが、幼稚園に入る前くらいによく山菜採りに2人で出かけていたことを思い出しました。山菜を見つけるのが上手なA子さんを手放しほめてくれた父親は笑顔だったということも……。

不器用な生き方しかできなかった両親はすでに2人とも他界していましたが、両親はA子さんの幸せを心の底では願っていたはずだという結論を得ました。そこから否定的な言葉の癖を修正していきました。

後輩の指導をするときには『また、~ができてない』の否定型から『~するとうまくいくのでは?』という提案型に変化しました。

カフェの夢を語るときには『どうせ無理だけど』と前置きするのをやめました。現在は、職場での人間関係がよくなりリーダー職についています。カフェの夢実現のため、コツコツお金を貯めているところです」

「否定癖」について、芙和さんに解説していただきました。いかがでしたでしょうか。

「否定癖」は幼少期に身近にいた大人の影響を色濃く受けるということです。もし、自分に否定癖があると思い、悩んでる人がいたら、これまでの考え方の癖を変えてみましょう。自分にとっても周囲にとっても生きやすい環境に改善していくはずです。

(LASISA編集部)

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