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話題の「古ゲノム学」で古代日本を分析 最新の科学エッセイ集

  • 2023.10.22

2023年10月3日、ヒトや植物のゲノムを紐解き、古代の日本列島に迫る科学エッセイ集『ゲノムでたどる古代の日本列島』(東京書籍)が発売された。

本書は、日本列島人の起源と成立をさぐる研究プロジェクト「ヤポネシアゲノム」のメンバーによるエッセイを集めたもの。「ヤポネシアゲノム」は、ラテン語で日本列島を意味する「ヤポネシア」と、生き物の設計図である「ゲノム」を合わせた言葉だ。

人類が初めて日本列島にやってきた約4万年前からの歴史を、生物の遺骸に含まれるゲノムを分析する「古ゲノム学」で読み解く。身近なアズキやウルシの研究から、日本人がどこから来たのかという壮大な話まで、さまざまなテーマの研究に触れることができる1冊だ。

【コンテンツ】
0章 日本列島のはじまり 斎藤成也(国立遺伝学研究所 名誉教授・特任教授)
1章 縄文時代を「掘る」――どうやって考古学者になり、なぜ墓をテーマに研究することになったか―― 山田康弘(東京都立大学 人文社会学部教授)
コラム 伊川津貝塚の母子DNA解析 太田博樹(東京大学大学院 理学系研究科生物科学専攻教授)
2章 お酒に弱い遺伝子とウンチの化石のゲノムから何がわかるか 太田博樹(東京大学大学院 理学系研究科生物科学専攻教授)
3章 アズキはどこで生まれたのか――植物遺伝学で読み解く縄文時代の食文化―― 内藤 健(農研機構 遺伝資源研究センター上級研究員)
コラム ウルシの過去・現在・未来 菅 裕(県立広島大学 生物資源科学部教授)
4章 日本列島人はどこから来たのか 神澤秀明(国立科学博物館 人類研究部研究主幹)

■斎藤成也さんプロフィール
さいとう・なるや/1957年福井県生まれ。国立遺伝学研究所名誉教授・特任教授。琉球大学医学部客員教授。さまざまな生物のゲノムを比較し、人類の進化の謎を探る一方、縄文人などの古代DNA解析を進めている。主な著書に『ゲノム進化学』(共立出版、2023年)、『核DNA解析でたどる 日本人の源流』(河出文庫、2023年)、『人類はできそこないである』(SB新書、2021年)、『歴誌主義宣言』(ウェッジ、2016年)、『日本列島人の歴史』(岩波ジュニア新書、2015年)、『ダーウィン入門』(ちくま新書、2011年)、編著に『図解 人類の進化 猿人から原人、旧人、現生人類へ』(講談社ブルーバックス、2021年)、『ヒトゲノム事典』(一色出版、2021年)、『DNAでわかった日本人のルーツ』(宝島社、2016年)などがある。

■山田康弘さんプロフィール
やまだ・やすひろ/1967年東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退、博士(文学)。現在、東京都立大学人文社会学部教授。専門は先史学。縄文時代の墓制を中心に当時の社会構造・精神文化について研究を行う一方で、考古学と人類学を融合した研究分野の開拓を進めている。主な著書に『縄文時代の歴史』(講談社現代新書、2019年)、『縄文人の死生観』(角川ソフィア文庫、2018年)、『老人と子供の考古学』(吉川弘文館、2014年)などがある。

■太田博樹さんプロフィール
おおた・ひろき/1968年愛知県生まれ。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修了、博士(理学)。1992年に古人骨DNA分析をテーマに研究を開始。ドイツ・マックスプランク進化人類学研究所やイエール大学医学部、北里大学医学部での研究を経て、現在、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授。著書に『古代ゲノムから見たサピエンス史』(吉川弘文館、2023年)、『遺伝人類学入門―チンギス・ハンのDNAは何を語るか』(ちくま新書、2018年)などがある。

■内藤健さんプロフィール
ないとう・けん/1978年滋賀県生まれ。農研機構遺伝資源研究センター上級研究員。京都大学大学院農学研究科修了、博士(農学)。波打ち際や石灰岩の上など、すごい場所に生えている野生アズキ類の虜になる。主な研究テーマは食糧問題解決へのヒントを探るべく、海辺に生える野生アズキ類の耐塩性。近年、東京大学大学院新領域創成科学研究科客員准教授として学生への指導にも力を入れている。共著に『植物の超階層生物学』(文一総合出版、2023年)などがある。

■神澤秀明さんプロフィール
かんざわ・ひであき/1984年埼玉県生まれ。国立科学博物館人類研究部研究主幹。総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻修了、博士(理学)。専門は分子人類学。日本列島を中心とした古代人のゲノムを分析し、古代人と現代人との遺伝関係から集団の成立の解明を試みている。雑誌「科学」(岩波書店)などに寄稿。

■菅裕さんプロフィール
すが・ひろし/1972年広島県生まれ。県立広島大学生物資源科学部教授。博士(理学)。京都大学卒業後、バーゼル大学(スイス)、バルセロナ大学、進化生物学研究所(ともにスペイン)を経て現所属。動物は進化の過程でどのようにして多細胞化したのかを研究テーマの主軸に据える一方、ヤポネシアゲノムプロジェクトでは、分子生物学の技術を活かし、ウルシのゲノム解読を行った。共著に、『アメーバのはなし』(朝倉書店、2018年)、『原生生物学事典』(朝倉書店、2023年)などがある。

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