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【今見たいアート案内:10~1月】 ファッションから暮らしまで。見ておきたい美術展4選

  • 2023.10.22

芸術の秋の訪れ。アート鑑賞にぴったりの季節になりました。 『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、この秋に訪れたいアート&イベントを厳選してご紹介します。

1. イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

■モードの帝王といわれた、イヴ・サンローランの大回顧展

左から、カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ 1965年秋冬オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger、「品行方正」シャツ・ドレス イヴ・サンローランによるクリスチャン・ディオールの1958年春夏「トラペーズ・ライン」オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger

1958年、ディオールのデザイナーとして鮮烈なデビューを飾ったイヴ・サンローラン。1962年に自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表して以来、2002年の引退まで約半世紀にわたり、世界のファッションシーンをリードしました。今回、イヴ・サンローラン美術館パリの全面協力を得て、没後日本で初となる大回顧展が開催中です。

左から、イヴニング・ガウン 1995年秋冬オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger、ジャンプスーツ 1968年秋冬オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Sophie Carre

幼い頃から絵を描くことが好きだったイヴ・サンローラン。17歳でパリに渡り、コンクールのドレス部門で入賞したことをきっかけに、クリスチャン・ディオールのアシスタントに抜擢されます。ディオールが急逝したのち、21歳の若さでディオールのチーフデザイナーを務め、1958年にはディオールで最初のコレクション「トラペーズ・ライン」を発表。ディオールで6つのコレクションを手がけ、1961年にオートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を設立。紳士服からヒントを得たパンツスーツやサファリ・ルック、ピーコート、トレンチコートといったアイテムを定着させるなど、女性たちのワードローブに変革をもたらしました。

イヴ・サンローラン、アンヌ=マリー・ムニョス、ピエール・ベルジェ、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1977年 © Guy Marineau

本展では約40年にわたる歴史を、ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を含む262点によって、12章構成で紹介。デザイナーとしての人生とその創造の全貌に迫ります。ピート・モンドリアンの作品《コンポジション》に着想を得た代表作モンドリアン・ルックをはじめ、ピカソやマティス、ファン・ゴッホなど、多くのアーティストたちの才能へ敬意を払った作品を多く発表したイヴ・サンローラン。アート好きも必見の展覧会です。

『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』   開催中~12月11日(月)/国立新美術館 企画展示室1E/10:00~18:00 ※金・土曜は20:00まで、入場は閉館30分前まで/火曜休館/一般¥2,300/https://ysl2023.jp

2. パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ

■日本では50年ぶりにキュビスムの全貌を紹介

左から、ロベール・ドローネー《円形、太陽 no.2》 1912-1913年 Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Don de la Société des Amis du Musée national d’art moderne en 1961) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP、アンリ・ローランス《頭部》 1918-1919年 Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Dation en 1997) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Adam Rzepka/Dist. RMN-GP

20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって生み出されたキュビスム。世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語るうえで欠くことのできない貴重な作品が多数来日。初来日作品50点以上を含む約140点を展示する、日本では50年ぶりとなる「キュビスム」の大型展覧会です。

ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年 Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP

フェルナン・レジェ、マルク・シャガールなど、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料などを紹介。20世紀美術の真の出発点となった、キュビスムの全貌を明らかにします。

『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』   開催中~2024年1月28日(日)/国立西洋美術館/9:30~17:30 ※金・土曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで/月曜(ただし1/8〈月・祝〉は開館)、12/28(木)~2024年1/1(月・祝)、1/9(火)休館/一般¥2,200/https://cubisme.exhn.jp

3. 土方久功と柚木沙弥郎ー熱き体験と創作の愉しみ

■立体や平面、絵本まで。響き合う二人の創造の世界

柚木沙弥郎《町の人々》2004年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏

パラオ諸島に暮らし、現地の人々や風景を主題にした彫刻や水彩画から絵本の仕事まで、幅広い作品を制作した土方久功さん。また、身近な日常にアイデアの源をもつ、大胆で力強い造形で、多くの人を魅了する染色家・柚木沙弥郎さん。

土方久功《美しき日》1970年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏

両者に直接的な接点はないものの、多彩な表現の広がりをみせる土方さんと柚木さんの作品世界は、不思議に響き合うところがあるよう。

本展では、世田谷美術館の収蔵品に作家やご遺族が所蔵する作品と資料を加え、パラオ諸島や周辺の島々での稀有な体験、そして日常の身近なものや出来事に潜む面白さを源泉として生まれた、二人の創造の世界を紹介します。

柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》1983年、世田谷美術館蔵

『土方久功と柚木沙弥郎ー熱き体験と創作の愉しみ』   開催中~11月5日(日)/世田谷美術館/10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥500/https://www.setagayaartmuseum.or.jp

4. アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

■生活文化や思想にも影響を与えた運動

ウィリアム・モリス《格子垣》1864年 Photo © Brain Trust Inc.

19世紀後半にイギリスで興ったアーツ・アンド・クラフツ運動。産業革命以降急速に失われつつあった手仕事による制作活動を取り戻すこと、さらには、生活と芸術の一体化することを目指しました。

その中心人物となったウィリアム・モリスやアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトなど、各地の歴史や文化を反映して発展した運動の歩みを、テキスタイルや壁紙、家具、金工など、約170点の作品を通して紹介します。

左から、ジョージ・ワシントン・ジャック《サーヴィル肘掛け椅子》 1890年頃 Photo © Brain Trust Inc.、グスタフ・スティックリー《スピンドル・サイド・チェア》1907-1910年頃 Photo © Brain Trust Inc.

当時の人々に大きな影響を及ぼした、モリスの思想と実践。ウォルター・クレインやヴォイジー、ド・モーガン、アシュビーら芸術家たちは、壁紙・タイル・家具・金工など様々な分野にわたって作品を生み出しました。

また、アーツ・アンド・クラフツ運動は、リバティ商会をはじめとする企業の活動によっても広がりを見せます。本展では、イギリスを中心としたアーツ・アンド・クラフツ運動の豊かな展開を見ることができます。

ウィリアム・モリス《いちご泥棒》1883年 Photo © Brain Trust Inc.

『アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで』   開催中~11月5日(日)/そごう美術館/10:00~20:00 ※入館は閉館30分前まで/会期中無休/一般¥1,200/https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/

text & edit:Mayumi Akagi
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