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関東大震災後の虐殺事件を描く『福田村事件』が、第28回釜山国際映画祭にてニューカレンツ最優秀作品賞を受賞!

  • 2023.10.19
関東大震災後の虐殺事件を描く『福田村事件』が、第28回釜山国際映画祭にてニューカレンツ最優秀作品賞を受賞!
(C)「福田村事件」製作運動体

出演者の井浦新、田中麗奈からもお祝いと感謝のコメント

森達也が初めて劇映画の監督に挑み、1923年9月1日の関東大震災から5日後に千葉県福田村で起こった虐殺事件を描いた『福田村事件』。本作が、第28回釜山国際映画祭コンペティション部門にてニューカレンツアワード最優秀作品賞を受賞した。

9月1日に日本で封切られた本作は、昨日までの観客動員数15万1051名、興行収入2億円(2億255万6千542円)を超え、これまでに133劇場で上映された。10月4日に開幕した第28回釜山国際映画祭では、コンペディション部門の一つであるニューカレンツ部門に選出され、主演の井浦新、田中麗奈と向里祐香、プロデューサーの井上淳一がオープニングセレモニーでレッドカーペットを歩いた。そして、10月13日に行われた同映画祭の授賞式にて、本作がニューカレンツ賞(ニューカレンツ部門最優秀作品賞)を受賞した。

受賞式にて森監督は、「21年前にこの事件を知ってから、何とか作品にしたいとテレビ局や映画会社に働きかけたけれど、結果的にはすべてダメでした。でも3年前に今のチームと出会い、多くの方からクラウドファンディングで資金協力をしてもらい、さらには素晴らしい俳優たちも参加してくれて、ようやく映画にすることができました。この映画の重要なポイントは、当時の大日本帝国と、植民地化されていた朝鮮です。その2つの国で公開することができ、多くの人に見てもらっている。とても幸せです。ありがとうございます」とこれまでを振り返り、喜びのスピーチを行った。

今回の受賞を受けて主演である井浦新、田中麗奈からも祝福のコメントが到着した。

■井浦新コメント

この作品が立ち上がった一番最初、俳優部は私ひとりだけでした。多様な考え方があるので、もしかしたらキャストが集まらないかもしれない、撮影まで辿り着けないかもしれない、不安はありましたが動き出したら猛者たちが集う素晴らしい組が出来上がりました。 しかし、やはり撮影は過酷で、各部魂を擦り減らし生きている実感を味わいながら皆んなで夢中になって、無事にとはいかないけれどなんとか撮り終えることができました。今では全国のミニシアターで満席が続き、ご好評をいただけてるだけでも、それだけでも充分ありがたく光栄な事なのに、作品がこのような賞を受賞する事ができ、大変嬉しく思います。この作品に関わって下さった方々、見て下さった方々、選んで下さった方々に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

■田中麗奈コメント

最初にこの朗報を聞いた時、嬉しさと同時に驚きもありました。
それは韓国の方にこの作品がどのように受け止めて頂けるのか…。
少し不安もあったからです。
ですが、映画という芸術の世界できっと伝わるはずだという希望を抱き、淡い期待も持っていたのも本音です。
この作品は、大正時代、朝鮮の方々が日本に移り住み踏ん張って暮らしている中、
関東大震災という未曾有の事態での混乱の後に起きた出来事。
この事実を、韓国の方と共有出来たこと。
どんな意見だとしても、私はそれがとても価値のある事だと思います。
1人の俳優として、この映画に参加できたことを誇りに思います。
これからも、私たちは映画というフィールドを通して何かを起こせる。
そう実感できた、大きな受賞だと思います。
釜山からの素晴らしいお知らせをありがとうございました。

本作に対する韓国内での関心度は、同映画祭開幕前からとても高かったようだ。会期中3度の上映が行われ、いずれも大盛況で、森監督が上映後Q&Aに参加した10月9日、10月11日はどちらも満席となり映画際内でも大きな話題となった。Q&Aでは比較的若い観客から手が上がり、映画製作過程についての質問を投げかけられた。

プロデューサーの小林三四郎は「関東大虐殺100周年の2023年9月公開を目指して3〜4年前から動いていたが、本作に賛同し援助をしてくれる会社と出会うことは困難だった」とし、「クラウドファンディングを通じて資金を集め2400人以上の方が支援をしてくださり、3千500万円以上集まった。これは歴代映画関連クラウドファンディングで最も多い募金額で、この支援者の方々がいてくれたからその後本作に支援をしてくださる会社が増え、今を迎えられた」と答えた。

また、森監督は「人は失敗と挫折を繰り返しながら成長します。それを忘れたり、忘れたふりをして自分の成功だけを覚え続ける人がいたら、その人がどうなるか想像してみてください。いまの日本は失敗と挫折は完全に忘れて、成功した経験だけを覚えています。本来であれば教育やメディア、そして映画も。どんな失敗と挫折をしたのか、加害行為を犯したのか、負の歴史をしっかりと見てもらえればと思っています」と、不幸だった歴史に直面するというのは韓国にも日本にも重要なことだとして、今後の韓国での劇場上映がかなえば、と強い期待の言葉を残した。

『福田村事件』は現在公開中。

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