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牛たちとともに「黒島時間」を。知られざるハートアイランドでのんびり島さんぽ

  • 2023.10.18
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誰もが大好きな南の島・沖縄八重山諸島。

石垣島を中心に、世界遺産で知名度急上昇の西表島や石垣島からサクッと日帰りできる竹富島が特に人気です。では、その中に黒島という小さな島があることはご存じですか?

人口より牛の数のほうが圧倒的に多いという「牛の島」黒島では、のんびりした沖縄の風土の中でもさらにゆったりした「黒島時間」が流れています。

今回はのんびりのどかな黒島での心癒やされる旅の様子をお届けします。

沖縄・八重山諸島の「黒島」とは

ハートの形をした「ハートアイランド」

Photo by PIXTA

石垣島から南南西へ船で約25分、西表島と石垣島との間に浮かぶ黒島は、上空から見た島の形がハート型に似ていることから「ハートアイランド」の愛称でも知られています。

周囲約13キロメートルの小さな黒島は、南の島では珍しい牧歌的な風景が広がる畜産王国。人の数の10倍も牛がいるという、筋金入りの「牛の島」なのです。

Photo by Mayumi

そんな黒島は、海抜8メートルの隆起サンゴ礁の上に築かれた起伏少なめの平坦な島。そのため、ママチャリでも無理なく島を回り切れる、観光客にとっては体力的にもフトコロ的にもやさしい島なのです。

心地よい潮風を受けながらのんびり自転車をこいで、さあ、黒島さんぽへ出かけてみましょう。

牛とともに暮らす「黒島時間」

Photo by Mayumi

黒島は人口220人ほどに対し、牛の数およそ2,800頭、牛農家は50を超え、島民の約8割は何らかのかたちで牛に関わる仕事に就いているそう。

そんな牛たちとともに暮らす黒島の人たちは、のんびり大らかでハートフルです。

この島に流れる「黒島時間」は、忙しない毎日を送る旅人からすると、どこかホッと一息つけるような心地よさを感じるものかもしれません。

Photo by Mayumi

余談ですが、牛好き(牛肉好き)には耳よりの情報。

黒島では「牛の島」ならではの恒例行事、「黒島牛まつり」が毎年2月に開催されます。当日はさまざまな催しが行われるほか、牛汁や牛ステーキなどの肉料理が振る舞われ、なんと牛一頭が当たる大抽選会も開催!

牛肉好きなら一度は参加してみたい、ワクワクするお祭りですよね。

のんびりゆっくりした「黒島時間」を楽しむアクティブティ

ここからは、牛の島・黒島で楽しめるアクティビティやスポットをご紹介します。

緑のトンネルを抜ければ、そこは絶景ビーチ

Photo by Mayumi

黒島は、石西礁湖(せきせいしょうこ)といわれる日本最大級のサンゴ礁が生息する海に囲まれた島。

そう、黒島は、八重山の中でもトップクラスを誇る美しい海が広がる島なのです。

潮風を感じて緑のトンネルを抜けた先には、こんな絶景オーシャンビューが待っています。

Photo by Mayumi

こちらは島北東部に位置する、全長354mの橋「伊古桟橋(いこさんばし)」。

かつて石垣島との往来で使われた古い船着き場ですが、現在は国指定有形文化財として人気の観光スポットとなっています。

海へ向かって真っすぐ伸びる橋は、まるで琉球の理想郷「ニライカナイ」へと続く架け橋のよう。ただし、干潮時には風景が一変してしまうため、必ず満潮時を狙って訪れてくださいね。

Photo by © 沖縄観光コンベンションビューロー

ちなみに、ウミガメの産卵地としても知られる黒島では、運がよければウミガメと一緒に泳げるかも!

さらに、黒島沖の海域は、海の帝王「マンタ(巨大エイ)」が数多く回遊するスポットとしても知られています。

日本最大級のサンゴ礁「石西礁湖」にカラフルな熱帯魚、ウミガメに巨大マンタ……黒島沖はまさに海中水族館ならぬ、海洋資源の宝庫。機会があれば、シュノーケリングやダイビングもおすすめです。

まるで北の大地!見渡す限りの牧草地

Photo by Mayumi

島のほとんどが緑の牧草地に覆われている黒島。

牧草ロールが転がるこの牧歌的な風景は、北の大地を彷彿とさせます。日本の最南端に浮かぶ小さな離島で北の大地の雰囲気が味わえるなんて、なんともユニークな体験ですよね。

南国らしい、ガジュマルの森を探検

Photo by Mayumi

牧草地広がる黒島、といいつつ、やっぱり南国の島。島の周囲は、ガジュマルやアコウ、アダンなどの熱帯性植物や常緑樹が生い茂る森林に囲まれています。

南国らしい風景と北の大地的な風景、この対照的な風景が一度に味わえるユニークさもまた、黒島の魅力の一つです。

琉球王朝時代の歴史さんぽも

Photo by Mayumi

黒島に遺された琉球王朝時代の足跡。その代表的なものが、サンゴでうず高く積み上げられた「プズマリ(火番盛)」です。

プズマリとは、琉球王朝時代に活躍した、海上を行く貢船や異国船を監視するための遠見台のこと。かつてはこうした遠見台が八重山諸島の各所に設置され、船が見えると狼煙を上げて別の遠見台へ合図を送り、石垣島にある蔵元(琉球王府の役所)に通報したといわれています。

現在は崩落の危険があるため、プズマリへの登頂は禁止されていますが、今も変わらずそびえ立つプズマリを見て、琉球王朝時代の様子に思いを馳せました。

ひょっこり出会える、島のゆかいな仲間たち

Photo by Mayumi

沖縄離島あるあるの光景。

なぜここに?と思わず突っ込みたくなる、突如現れる琉球のヤギ。まあ、ほっこり、ほのぼのしますよね。

Photo by Mayumi

八重山諸島で絶賛増殖中、野良化が進むインドクジャク。ここ黒島でも野生化したクジャクと遭遇することがしばしばあります。

本土のわたしたちにとってクジャクは動物園などで飼育される愛玩動物ですが、八重山諸島では島の生態系を脅かす害獣として駆除対象の鳥。とはいえ、羽を広げたオスの姿はやっぱりうっとり見とれるほど艶やかですよね。

こんなところに「日本のみち100選」

Photo by Mayumi

黒島港から島中心に位置する東筋集落へと続く県道213号黒島港線。

左右に広がるのどかな牧場、赤レンガ屋根の集落にサンゴを積み上げた石垣、生け垣を彩る南国の花など、琉球風情が楽しめる一本道は、地下浸透式の排水溝などの修景も評価され、「日本のみち100選」に選ばれています。

ちなみに、上記画像右手に見える塔のような建物は、黒島を一望できる展望台。天気がいいと、お隣の竹富島、西表島、石垣島、小浜島が見渡せる最高の眺望だそうですが、あいにく老朽化につき2023年9月現在は立入禁止となっています。

島をもっとよく知りたいなら「黒島研究所」へ

Photo by Mayumi

島のことをもっとよく知りたいと思ったら、島西部にある「黒島研究所」へ!

黒島研究所は本来、主にウミガメやサンゴの調査研究をしている研究施設ですが、島に生息する陸の動植物や海洋生物、さらに黒島の歴史や生活文化、果ては宇宙(そら)から落ちてきたロケットの漂着物や島の特産品まで、ありとあらゆる黒島ゆかりのモノが集約された島の博物館となっています。

Photo by Mayumi

さらに興味深いのは、別室に作られた手作り感満載のミニ水族館。黒島周辺の海域に生息するウミガメやウツボ、魚介などの海洋生物から、琉球名物の巨大ヤシガニ、ハブまでさまざまな生物が飼育されています。

上記画像の魚は「ゴマモンガラ」。最大70センチメートルにも達する大型の魚で、強い歯と顎を持ち、昔、一緒に飼われていたエビ・カニ・ヒトデを食べ尽くしてしまったほど食欲旺盛だそう。縄張り意識が強く、卵を守るために人をも襲う凶暴性を持つため、海で見かけたときは要注意です。

Photo by Mayumi

さらに驚いたことに、黒島研究所では水槽のほか、庭の池にサメが放たれています。赤ちゃんザメだそうですが、一瞬ギョッとしてしまいました。

こうした手の届く距離感で楽しめる水族館はなかなか珍しいので、黒島を知りたい方、動物好きな方におすすめです。

黒島ならではの島グルメもご堪能あれ

Photo by PIXTA

黒島は小さな島ながら、おしゃれなカフェから民宿が営む定食屋まで、食事を楽しめるスポットがそろっています。

島ならではの新鮮魚介を使ったシーフード料理、八重山そばや黒島名物のアーサ(あおさ)そば、石垣牛を使った洋食メニューに、個人的に強烈だったのは、この大迫力の「ヤシガニそば」。

旅行中はなかなかお目にかかれないヤシガニを、さらに茹でていただけるというのはなかなか貴重な機会ですよね。

「民宿・パーラー あーちゃん」をはじめ、黒島の民宿などでいただけるそうです。ぜひ、黒島の思い出にいかがですか?

心もカラダも癒やされるハートアイランドで「島さんぽ」を

石垣島や西表島、竹富島など、メジャー級の離島の陰に隠れて、意外と知られていない小さな島・黒島。

観光客が少ないからこそ、のんびり気ままに、あたたかい人に触れ、自分らしくいられて、自分と向き合う時間を過ごすことができます。

石垣島からの日帰りも可能ですが、可能であればぜひ宿泊してみてください。世界有数の星空保護区である竹富のゴージャスな星空の下で、最高の海で、ここでしか味わえない黒島時間を体験してみませんか。

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