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韓国の“リメイクブーム”の裏に隠された意外な事情。視聴率28%超でも赤字だった!?

  • 2023.10.15

篠原涼子と山崎育三郎がW主演を務めるドラマ『ハイエナ』が、テレビ東京系列で2023年10月20日からスタートする。

このドラマは、Netflixで配信中の韓国ドラマ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』の日本版リメイクだ。

オリジナル版は人気俳優のキム・ヘス、チュ・ジフンが主演し、韓国で最高視聴率14.6%の大ヒットとなっている。先日韓国でも日本版『ハイエナ』のリメイク放送が大々的に報じられ、ネット上では日本版の出来栄えを期待する声が見受けられた。

『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』
『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』ポスター(画像=キーイースト)

ドラマ『梨泰院クラス』をリメイクした『六本木クラス』や、恋愛リアリティ番組『乗り換え恋愛』のリメイクとなる『ラブ トランジット』など、日本で韓国コンテンツのリメイクが相次いでいる今日この頃。

実は韓国でも日本をはじめ、海外コンテンツのリメイクが盛んだ。

日本の作品でいえば、近年は『リーガル・ハイ』や『空から降る一億の星』『マザー~無償の愛~』『重版出来!』『紙の月』のリメイク版が放送。『アンナチュラル』『愛してると言ってくれ』『最愛』『1リットルの涙』のリメイク制作も公式発表されている。

『今日のウェブトゥーン』
『重版出来!』の韓国リメイク版『今日のウェブトゥーン』ポスター

また、Netflixで配信中の『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』(原作はスペインの『ペーパー・ハウス』)、『エージェントなお仕事』(原作はフランスの『エージェント物語』)、『いつかの君に』(原作は台湾の『時をかける愛』)、『ある日~真実のベール』(原作はイギリスの『クリミナル・ジャスティス』)も、海外の作品が韓国ドラマとして新たに蘇ったケースだ。

韓国の映像作品を含むエンタメコンテンツは2022年、売上が史上最高となる148兆1607億ウォン(約16兆4500億円)を記録した(韓国ギャラップ調べ)。

韓国ドラマは今や世界中でブームと言っても過言ではないが、そのすべてが“オリジナル”というわけではない。

韓国には現在、NetflixやDisney+のようなグローバル企業、TVINGやWavveなど韓国企業の動画サービス約10社が市場で激しく競争している。

チャンネルの増加によって、当然のごとくコンテンツの本数も劇的に増えた。そのなかで少しでもヒットの確率を高めるために、原作ファンの流入が見込めるウェブ漫画・小説の実写化や、海外の人気作品のリメイクがここ数年ですっかり定着しつつあるのだ。

ただ、海外作品のリメイク版は原作の名声をマーケティングに活用できるというメリットがあるが、一方でデメリットもあるという。数年前までは原作の版権を安く購入し、リメイク版を何十倍以上の価格で逆に売り込むビジネスも流行ったが、動画サービスの普及などによってその“逆輸出”もままならないらしい。

その一例として、イギリスのドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』をリメイクした韓国ドラマ『夫婦の世界』が挙げられる。

『夫婦の世界』
『夫婦の世界』(画像=JTBC)

同作は韓国での放送時、最終回の視聴率が28%超えのメガヒットを記録した。しかし、制作会社は収益面で赤字だったという。というのも、アメリカやヨーロッパではすでにイギリスの原作があるという理由で韓国版の版権が高く売れなかった。人気と収益が必ず比例するわけではない、コンテンツビジネスのジレンマが起こったわけだ。

それにも関わらずリメイクが相次ぐのは、高まる需要と良い作品づくりに挑戦し続けるドラマ制作者たちの情熱があるからだろう。

幸いなことに、版権ビジネスの環境も少しずつ改善されている模様だ。

『ハイエナ』の版権を日本に販売したキーイーストの関係者は、「今回の日本リメイク契約はライセンス使用と収入配分契約が同時に行われた」とコメントしていた。これからもお互いがWin-Winになる方法を模索していくのだろう。

ジャンルや国籍を選ばず、世界中でブームになっているリメイクコンテンツ。日韓を含め業界全体の動向を引き続き注目したい。

文=李 ハナ

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