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これがないと泥沼に…新幹線の自由席で隣の席を荷物で占領する迷惑な人に注意するときに絶対必要な心構え

  • 2023.10.12

新幹線や特急列車の自由席で自分の隣の座席を占領する人を注意するにはどうすればよいのか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「本人に面と向かって話すことだ。それでも受け入れてもらえない時は身を引くことも肝心だ」という――。

新幹線で座席を占領する迷惑な人たち

30代の会社員の方からのご相談です――新幹線や特急列車の自由席で、自分の隣の座席に荷物を置き、人が来ないように仕向ける人たちに我慢がなりません。先日は、同僚がそうしているのを見て、不信感を持ちました。パンデミックの間は許されたことでしたが、今それをするのは、どうなのでしょうか。こうしたモラルの乱れを防ぐよい方法はありませんか。それとも私のほうが、うるさすぎるのでしょうか。

私も列車の自由席に乗ることは多いので、その様子はよくわかります。

以前、2人掛けの席ばかりの車両で、乗客のほぼ全員が窓側の席に座り、それぞれが通路側の席に荷物を置いていたことがありました。(2人連れを除く)ほとんどの乗客が2人分の席を占有していたのです。

そのために自分の座る席が見つからない乗客が怒って、「レベル低ぅ~」と吐き捨てながら通路を歩いていきました。

車両内のモラルが低いと感じ、腹が立ったのでしょう。

プレミアムエコノミートレイン内の雰囲気
※写真はイメージです
隣に座る人のモラルも低下している

乗り物は、隣に座る人によって、快適でなくなることがありますから、できれば誰も隣に来てほしくない気持ちはわかります。

自分の荷物をコンパクトにまとめて荷台に置き、隣の席を空けておいたら、無遠慮な人が何も言わずに、突然ドカッと座る。

分別のある人なら、挨拶まではしなくとも、「失礼します」という感じで軽く会釈をして、静かに座るものですが、そんな配慮はなく、完全に自分の間だけで動くタイプの人です。

服の袖がこちらの服の袖と触れ合っていても、何ら気にせずスマホを操作し続ける人。無遠慮に食べはじめる人。そんな人が隣に来ると、移動は不快に満ちたものになります。

加えて、パンデミック中には、他人と至近距離で接することは少なく、それに慣れていましたから、そうすべきでないとわかっていても、隣に人が座りにくいようにしてしまう。そんな人がいてもおかしくありません。

隣の席に荷物を置く人も、誰かにどけてほしいと言われれば、大抵の場合そうするでしょうし、苦情を言われても、「他にも席が空いていると思った」とか、「占有するつもりはなかった」と、きわどい言い訳で弁解できそうだから、そうしているのでしょう。

本人に面と向かって話す

隣の席に自分の荷物を置く人にも、それなりの思いはあるのかもしれません。しかし、だからと言って、前述の2人掛け席の車両のようになるのは好ましくありません。

どうすれば、そうした行為が減るのでしょうか。

これには、はっきりとした答えがあります。それは、本人に面と向かって話すことです。

席を空けてくださいと頼むことと、席を占有する行為に注意を与えることは異なりますが、いずれの場合も、遠回しに気づきを与えようとするのではなく、ストレートに伝えることが、効果を期待できる方法です。

公共の場で、人が人に注意を与える光景は、私が長く暮らした米国ではよく目にしました。

たとえば、混み合うバスの中で、複数の席を占有する人がいたら、誰かが注意をするでしょう。周囲の人たちも知らん顔を決め込むことはなく、注意した人を必要に応じて応援する姿勢を見せます。

注意を与えられた側が素直に謝り、行いをあらためた場合には、注意をした本人や周囲の人たちが大らかに許すのも特徴です。すぐに従った場合、その人にThank you.と、お礼のようなことを述べたりもします。

ここで米国の文化を持ち上げたいわけではありませんが、目指すべきは、こうしたコミュニケーションの取れる社会であって、「今、目の前でバスの座席を2席使っている人がいる。何だかなぁ~」とネットに書き込む人ばかりの社会ではないでしょう。

付箋にTHANK YOU
※写真はイメージです
紳士的に注意する

「面と向かって注意をする」ときですが、いくつかの気をつけるべき点があります。

1つ目ですが、注意を与える際には、紳士的に話すことです。

いきなり切れるとか、喧嘩腰はNGです。

丁寧な言葉遣いで、きちんと話し、すぐに相手が従ったり、言い訳しながらでも言うことを聞けば、それで解決したものとします(Thank you. と述べたりするのは、このタイミングです)。

相手が言うことを聞かない場合には、あきらめるというか、ここで話すのを止めます。米国人が両手を使ってする「お手上げのポーズ」がありますが、あのポーズをして引くわけです。

それ以上やり合っても、よい展開は期待しにくいものです。

自分とは感覚が違う人たち

世の中には、自分とは感覚の違う人たちがいます。

私は最近、地下鉄の優先席に座るかどうかで、私より若い世代の人たちが「空いていれば座る」「自分より若い人が座っていても、ぜんぜん何とも思わない」と答えるので、結構なショックを感じました。

私の感覚では、車両内が空いていても、周りに優先席が必要そうな人がいなくても、優先席は必要な人が利用しやすいように、できるだけ常に空席にしておくものです。

また、世の中には、堅気とは思えない人がいます。必ずしも反社会的という意味ではなく、いわゆる普通の感覚を持ち合わせていない人です。

先日私が立ち寄ったラーメン店の店長は、お客に対して「ありがとう」「すみません」とは絶対に言わないと決めているようでした。彼にとって、人にへりくだることなく、お礼も述べないようにすることは、大事な信念のようです。

こういう人に世間の常識を説いても、ムダな努力となるでしょう。

あるときは、ほぼ満席の新幹線自由席の車両で、私は、隣の席に荷物を置いて2席を使っていた人に、「ここに座らせてください」と頼んで、「他の席を探してーな」「荷物動かすの大変やねん」「1席くらい見つかるやろ」と言われました。

ここは先程のお手上げのポーズをするところです。

丁寧に話しても、相手が聞いてくれなければ、言い争いはせず、お手上げで終わらせるのを1つのパターンとして心得ておきましょう。

?の紙袋をかぶった人
※写真はイメージです
自分も傷を負う覚悟で

2つ目は、相手にどうしても言うことを聞かせたい場合の話です。

先程のように、話が通じないと感じるところで止めておく場合、自分が傷つくことはない代わりに、相手の行い(あるいは言動)も変わりません。

自分は傷つかないようにしながら、言うことを聞かない相手の振る舞いを変えるのは、難しいものです。

しかし、自分も傷ついても構わないから、相手に言うことを聞かせるという姿勢になると、成功する可能性が出てきます。

もっとも、列車内で座席を占有する人を相手に、ここまでするのはお勧めしませんが。

列車の中でこれが必要だったのは、子供をせっかんする母親を見たときでした。

普通ではない様子で、激しい叱責しっせきが続いているときに、母親に注意をして「関係ないでしょ」と言われても、お手上げのポーズをして知らん顔をするわけにはいきません。

自分が傷つくというのは大げさですが、ここは面倒でも、もう少しかかわらないといけない場面でしょう。

どうしても相手の行為を止めさせたい場合は、自分もまったく無傷というわけにはいかず、それなりの対応が必要になります。

相手に文句を言う

3つ目は、ただ相手に文句を言うパターンについてです。

これはケンカでおしまいになりますから、注意を与えるという目的でするものではありません。

在来線に始発の駅から乗ると、たくさんの買い物袋を座席に置き、いくつもの席を占有している若い男性がいます。

「よくこんなふうに物を置いておくなぁ」
「ちがっ」
「何が違うんだよ」

という会話は、つい先日聞いたものです。

怒っている好戦的な男
※写真はイメージです
注意3パターンは組織の中でも使える

ここまで述べてきたことは、実は、会社のような組織の中で、人に注意を与えるときも同じように働く原則です。

1つ目から3つ目のパターンがあることに変わりはなく、区別しておくことが大切です。

1つ目のように、(丁寧な言葉遣いで)注意を与えることは、自分ではしたくないという人が多いのではないでしょうか。

上手に注意を与えられない社会には、少し注意をされただけで、必要以上に騒ぎ立てる人も多いものです。

相手にきちんと謝ったり、説明できないだけでなく、陰で隠れて悪口を言うなどの不健康な反応もあります。

3本の指を持つスーツを着た男
※写真はイメージです
いろんな所でいろんな人に見られている

自由席での話ですが、私はあるときから、余程車内が空いていなければ、決して隣の席に荷物を置かないようになりました。

それは、東京方面へ向かう新幹線の自由席に名古屋駅から乗り込んだときです。

同じ車両の中に、大阪方面から乗ってきていた取引先の人を見かけました。

会社ではマネジャークラスの人でしたが、その人は自分の周りにたくさんの荷物を置いて、名古屋駅から乗った乗客が自分の隣に来ないようにしていたのです。

失礼ながら、その姿は実にみっともなく、自分は絶対にしないと肝に銘じるのに十分だったのです。

従業員の公共の場での振る舞いについて、企業の幹部が気にして、自社の人事部などに連絡をしてくる――これは結構よくあることです。

「電車の中で当社の営業部員たちが、年配者が乗っているにもかかわらず、座席を占領し、大声で話していた」とか、「通勤時に漫画を読んでいる社員がいて、みっともない」など。

偉い立場の人になると、直接注意するだけでなく、全社的に徹底するようにという意味なのでしょう。会社のしかるべき担当部門にも伝えてくることがあるのです。

私たちは、いろんな所でいろんな人から見られています。そのことをあらためて認識したいものです。

相談者の方のように、モラルの乱れを嘆く若い方がいらっしゃることで、むしろ安心できる。こう感じるのは、私だけではないように思います。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』『英語で学ぶトヨタ生産方式』など多数。

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