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ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの〜第2回〜人生も舞台も、まず自分が一番楽しむ。

  • 2023.10.12

踊り場世代のドラァグクイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんの"ゆずれない、ゆずりたくない、でも時々ゆずっちゃってるかもしれない?!大切にしているコトやモノ”をゆるーくご紹介する連載です。

ハッシュタグは#ドリゆず。あなたのゆずれないもの、なんですか?

今月のゆずれないもの/「誰よりもまず自分が一番楽しむ」

Hanako WEBをお読みの皆様、ごきげんよう。ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダです。
前回から始まった【ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの】というコラムですが、おかげさまで沢山の反響をいただいております。友人からの「なんで貴女みたいな下卑た人間があんな素敵な媒体に!?」という声もあれば、フォロワーの方からの「おめでとうございます!」という声まで。個人的に嬉しいのは前者なのですが、まぁこれは非常にハイコンテクストな会話なので、あまり参考にされない方がよいかもしれません。コミュニケーションって難しいわぁ…。笑

今日の「#ドリゆず」は、前回チラリと触れた“ステージでの気構え”についてお話ししたいと思います。アタシがドラァグクイーンというものを生業にしていることは既にお話ししましたが、その実際のお仕事内容は非常にバラエティに富んだものとなっております。この連載のように文字で綴ることもあれば、講演などでお話をさせていただいたり、テレビやラジオへの出演だったり、映画や舞台でお芝居をしたりすることもあります。しかしやはり一番機会が多いのはステージの上でのパフォーマンスです。

クイーンとしてデビューして十数年、今まで本当に様々なステージに立ってきました。豪華なホールの大きいステージもあれば、小さい店の隅の平場(段差になっていないスペース)でパフォーマンスすることもありました。広々とした楽屋もあれば、暗い非常階段の空きスペースで支度をすることも何度もありました。ただどんなステージに立つ時でもいつも大切にしてきたのが、【観てくれているお客様やほかの誰よりもまず自分が一番楽しむこと】です。もちろんお客様あってのパフォーマーですから、お客様がどう見ているか、どう楽しんでいるかを察知するのはとても大切なことです。しかし、そこばかり気にしてしまうと結局当たり障りのない内容ばかりになってしまって、お客様を楽しませることすらできなくなってしまうと感じています。アタシも仕事柄日常的にたくさんのステージを観ますが、個人的に心奪われるのは、“理性や冷静さをも包み込む、何かが取り憑いたような自己陶酔と集中からなるパフォーマンス”だったりします。簡単に言うならば“演者が心から楽しそうにしていると、つられて観ている方も楽しくなってくる”ということです。

ならば、どうやったら楽しめるか。一番シンプルな方法は自分がやりたいことをやることです。自分の好きなことを好きなようにやっているとき、人は自然と口角が上がってポジティブな空気を発するものです。とはいえ様々なお仕事がありますから、アタシも毎回それが実践できているかというと、そうでないこともあります。ただ、どんな環境だとしても、その中でどこか楽しむポイントを見つけて、その状況をできるだけエンジョイしようとすること。それがステージをどれだけ楽しめるかということに繋がると思います。

これは何もパフォーマーに限った話ではありません。どんなお仕事だとしても、取引先や職場環境など、なかなか自分の力だけではどうにもならないことはたくさんあります。だからこそ、その中に自分が楽しくなれることを見つけて、最大限楽しむよう努めることが、ご機嫌な人生を送るうえで大切なのではないでしょうか。機嫌よくしている人にはご機嫌な人が周りに集まります。不機嫌な人には不機嫌な人が集まります。どちらが好ましいかは読者の皆様の判断にお任せいたしますが、一度きりの人生、どうぞ口角を上げてお過ごしくださいませ。

今回も最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。またお目にかかれることを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。

MASAKI / Durian Lollobrigida
1984年生まれ、東京都出身。ドラァグクイーン。ゲイ。38歳。
八方不美人(@happofubijin)ふたりのビッグショー(@futarinobigshow)のメンバーとして活動する傍ら、映画『エゴイスト』『ストレンジ』にも出演し、活躍の場を広げている。

INSTAGRAM:@masaki_duria
X(旧Twitter):@masaki_durian

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