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原爆が日本に与えた影響を描くべきだった、『オッペンハイマー』にスパイク・リー監督が提言

  • 2023.10.10
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“原爆の父”として知られる、第二次世界大戦中に原子爆弾の開発に携わった理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いたクリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー(原題)』について、同作では原爆の投下が日本に与えた影響も描くべきだったとスパイク・リー監督が提言した。(フロントロウ編集部)

原爆投下が日本に与えた影響は描かなかった『オッペンハイマー』

2023年7月21日に全米公開されて、現在までに全世界で9億3,900万ドル(約1,400億円※)の興行収入を記録するヒットとなっているクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー(原題)』。
※Box Office Mojo調べ

画像: 原爆投下が日本に与えた影響は描かなかった『オッペンハイマー』

日本では公開未定の同作は、カイ・バード氏とマーティン・シャーウィン氏による著書『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』を基に、第二次世界大戦中に原子爆弾の開発に携わった理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた作品。原子爆弾を開発する経緯や、実際に自身が開発した原子爆弾が日本の広島県と長崎県に落とされた後の葛藤なども描かれるが、映画では、原子爆弾を落とされたことが日本に与えた影響を描くことには時間が割かれていない。

スパイク・リー監督がクリストファー・ノーラン監督に提言

今回、Washington Postとのインタビューで、『マルコムX』や『ブラック・クランズマン』などの作品で知られるスパイク・リー監督が『オッペンハイマー』についてコメント。ノーラン監督について「途轍もないフィルムメーカーですし、これは批判ではなく、コメントです」としつつ、もし自分が同映画の監督なら、原爆が日本の人たちに与えた影響にもフォーカスしただろうと語った。

画像: スパイク・リー監督がクリストファー・ノーラン監督に提言

リー監督は、3時間という同映画の長い上映時間に触れて、「もし3時間もあるなら、私なら日本の人たちに何が起きたかについて(説明するセクションを)数分付け加えたいと思いますね」とコメント。

「人々は蒸発してしまったのです。何年か経過した後で、放射線の影響も受けた。彼に権力がなかったわけではないのですから。スタジオにどうすべきか伝えられるはずです。私だったら、原爆を2つ日本に落としたことが与えた影響を、映画の最後に加えてほしかったですね」と続けた。

『オッペンハイマー』で原爆が日本に与えた影響を正確に描かなかったことについては、核軍縮キャンペーンのロンドン支部で共同チェアパーソンを務めるキャロル・ターナー氏からも提言が寄せられており、ターナー氏はGuardianとのインタビューで、原爆によって広島や長崎の人たちの皮膚が剥がれ落ちるシーンは映画で「上品かつ芸術的に」描かれていたものの、実際の最期は「より恐ろしく悲惨」なものだったと指摘している。

一方で、同映画はロバート・オッペンハイマーの人生を忠実に描いているという点で高い評価を得ており、ターナー氏も、オッペンハイマーが抱えていた倫理的な葛藤や、その後彼がアメリカ政府から受けた不当な扱いの描き方については正確だとGuardianに述べている。

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