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【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】 「第5回 明かりと共に過ごす秋時間」

  • 2023.10.10

丁寧な暮らしぶりやセンス溢れる素敵な着こなしで人気を集める内田彩仍さん。週に一度、日々のなかで内田さんが見つけた小さな幸せや、暮らしの工夫をお届けします。第5回は、日が暮れるのが早くなるこの時季の暮らしについて。「明日もいい日になりそう」と、皆さまが穏やかに前を向けますように。

内田彩仍さん Profile

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『幸せな心持ち』(主婦と生活社)など著書多数。 2023年10月に、新刊『変えること変わらないこと: 人生後半を機嫌よく過ごせるよう見直した毎日の暮らし』(主婦と生活社)が発売予定。

澄んだ青空が清々しく感じる頃となりました。いかがお過ごしでしょうか。
ここのところ庭の落ち葉を掃きながら、「面倒くさいなあ」と思いつつ、ふと見上げて空を眺めると、秋の空がとても気持ちよく感じて、「さあもう少し頑張ろう」と思えます。

毎年この時期は、秋に出している本がちょうど校了したばかりで、やっと慌ただしい日々から解放される半面、ちょっと心許ない気もします。飾らずに書き留めたつもりでも、「あの書き方でよかったかな」「もっとこうすればよかった」と気持ちがざわついて、不安なことばかり思い浮かぶから、心配性の私は心を鎮めるのが大変です(笑)。もう長年この仕事をしているはずなのに、何度やっても慣れません。でも、考えても自分ではどうすることもできないことは、手放す潔さも必要ですね。

そんなときは、玄関先に好きな色合いの実ものを飾ったり、北欧のインテリア本を眺めたり。本を通して好きなインテリアのしつらえを見ていると、急に掃除がしたくなり、終える頃にはすっかり気持ちも整って、「さあ夕食の支度をしよう」と思えます。

急に日が短く感じるのもこの頃。これまでより早く日暮れを迎えることにまだ慣れていないからか、部屋中に温もりを感じたくて、食事の支度を始める前に明かりをともします。部屋のあちこちにある間接照明をともすと、なんとなくほっとして秋の夜長もいいなあと思うのです。リビング脇の2畳ほどの書斎のライトをともしたり、ソファ横のスタンドライトをつけたり。照明器具から放たれた光の効果で、見慣れた部屋の雰囲気も随分違って見えるようです。

私が、明かりをともしたくなるのにはもうひとつ理由があって、それは北欧の旅での経験から。デンマークへ出かけたときに、早めの夕食を済ませて街を歩いていると、窓越しに見えるどのお宅にも素敵な照明がともしてあり、それと同時にとても幸せそうな家族団欒の様子も垣間見ることができました。その景色を眺めながら、私も早く家に帰りたくなり、明かり=幸せな暮らしという方程式が私の中にできました。

そんなこともあって、夜眠りにつく前も明かりとともに過ごします。普段は3秒で眠れる私も、なかなか寝つけない日は、柔らかな光のなか本を読んだり、テレビでまずはタイマーを30分にセットしておき、YouTubeで好きな動画を眺めたり。穏やかな気持ちで眠れるようにと思いながら、焦らずに静かな時間を過ごしています。

どうぞ皆さまも私も、明日もいい日になりますように。

photograph: Kyoko Omori text: Ayano Uchida
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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