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「男性を部下のように査定してしまう」婚活に悩む50歳人事部長が3歳年下の男性と成婚するまでの努力

  • 2023.10.9

仕事に夢中になり、キャリアを積み重ねるうちに結婚の機会を逃してきた女性が陥りやすいのが「婚活沼」だ。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんは「婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまですが、全員に共通しているのは『自己否定が根底にあること』です。実は、女性が周囲の男性をどう見るかは、自分の父親をどう見ているかに密接に関係しています。これが無意識の自己否定を生んでいるのです」という――。

食事中にゲームをする男性を見つめる女性
※写真はイメージです
「婚活沼」にハマる女性には共通点がある

婚活沼とは、結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。婚活沼にハマっている40代・50代の婚活女性は多い。婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、全員に共通しているのが「自己否定が根底にあること」である(自覚しているか無自覚かは人による)。

今回は「父親を見下している」ことで、無自覚に自己も否定してしまっていた女性の事例を紹介する。このパターンに陥っている例が、アラフォー・アラフィフ婚活市場には少なくない。

※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

「なぜ婚活市場にはまともな人がいないんですか?」

外資系企業に勤務するK香さん(50歳)は、初対面からコミュニケーション能力の高さがうかがえる女性だった。会社でのポジションは、人事部長。管理職になってからもコーチングなどを学び自己研鑽を続けている、向上心が高く勤勉な女性だった。

45歳のときに購入したマンションでひとり暮らしをしており、休みの日にはイタリア料理やワイン、テーブルコーディネートなどを趣味で習っているとのことだった。

活動的なK香さんは、これまで決して出会いに恵まれなかったわけではない。最近までつきあっている人もいたが、50歳を目前に「このままずるずると付き合っていても、彼とは結婚にはつながらない」と関係を清算し、マッチングアプリと結婚相談所で婚活を開始したというわけだ。

メイクやファッションへの意識も高いK香さん。相談所に登録して早々、順調にお相手を紹介され、デートも申し込まれていた。1年間で会った男性は約20人。しかし、一向に「この人だ」というお相手には出会うことができずにいるのだと相談を受けたのが、私とK香さんの出会いだった。

20人の中には、デートが続いた相手もいたという。誘われるままに何度か食事に行っていた。しかし、K香さんは結局その人をお断りしてしまう。その理由は、K香さんいわく「成婚料を払うことをためらってしまった」から。

多くの結婚相談所には、成婚退会するときに「成婚料」を支払うシステムがある。金額はそれぞれ異なるが、10万~20万円のところが多い。K香さんは「もしこの人と結婚することになったら、何十万も払わないといけないの……?」と考えてしまったのだという。

もちろん、K香さんはお金を持っていないわけではないし、ケチな性格でもない。その人と心から「結婚したい」と思えるのであれば、10万でも20万でも喜んで払うつもりはある。K香さんは、そのお相手に「そこまでの価値がない」と思っている自分の本心に気づいてしまったのだ。

K香さんは言う。

「なんで婚活市場には、まともな人がいないんですか……? 結婚したいと思える人がいません」

これは、婚活で「出会い」に困らない人からよく聞く声である。婚活を始めても、そもそもお相手に出会うことができない人も中にはいる。そういう人から見れば、出会いに困っていないK香さんのケースは、「ぜいたくな悩み」に感じられるかもしれない。

しかし、当事者としては切実だ。出会いには恵まれているだけに、K香さんは「この先何人に会ったとしても、私が結婚したい相手に巡り会うことはできないのではないか」と希望を失い、婚活に疲れてしまっていた。

査定グセの背景にあった「父親への見下し」

よく話を聞いてみると、K香さんの婚活がうまくいかないのには、致命的な原因があった。それは、「査定ぐせ」である。

K香さんは仕事柄、多くの人の採用面接や人事面談をしてきている。そのせいか、お見合い相手のこともつい人事部長目線で「査定」してしまっていたのだ。

「社会人歴20年なのに、これぐらいのこともできないのか……」
「その役職で、この対応や知識量なの?」

などと、もちろん口に出したことはないが、心の中で「不合格」のジャッジをしていた。

仕事柄、ついつい人を評価してしまうのかもしれないが、残念ながら婚活で出会う相手を「査定」して「ダメ出し」しているうちは、人生のパートナーに出会うことはできないと断言することができる。

その理由は2つある。

自分が幸せになることを「自分自身が許さない」

ひとつは、上から目線で自分を「査定」するような相手と、結婚したいと思う人はまずいないから。たとえ口には出さなくても、目の前のお相手に対して「こういうところが足りないんだよね」などと思っていると、目線や態度などから、その空気は本人に伝わってしまうものなのだ。

婚活では、自分が低評価を下しているお相手から先に断られるというケースは意外に多い。誰だって、「自分を下に見ている(=バカにしている)」と感じさせる相手と「また会いたい」とは思わないからだ。

屋外で口論するカップル
※写真はイメージです

ふたつめは、「人を見下す」ことは、自分自身を見下すことにもつながってしまうから。このことについて、すこし詳しく説明したい。実は、女性が周囲の男性をどう見るかは、自分の父親をどう見ているかに密接に関係している。K香さんのように男性を見下してしまう女性の中には、自分の父親を見下している人がとても多いのだ。

K香さんの父親は、若い頃から母親に苦労をかけた挙句に、K香さんが中学生のときに借金をつくって家を出ていった。母親は苦労してK香さんと妹を育て、父親が残した借金をコツコツ返し、社会人になってからはK香さんが肩代わりして借金を完済したのだという。

そんな父親を恨み、軽蔑しているというK香さんを責めることはできない。しかし、婚活を成就させて幸せになりたいなら、「親を見下す」というフェーズからは卒業し「自己否定」をやめるステップが重要となる。

たとえどんな人物であったとしても、親は自分を生み出した人であり、子どもは潜在的に「親を愛したい」「親を尊敬したい」と思っている。その存在を自分の「下」に置いてしまうと、無意識のうちに罪悪感にさいなまれ、自分を責め、否定するようになってしまうのだ。

自己否定をしている人の婚活がうまくいかない原因に、自分が結婚して幸せになることを「自分自身が許さない」ということがある。特に、親との関係にわだかまりがある人の中には、「自分が幸せになると、親の子育てを肯定することになる」と、(無意識のうちに)みずからブレーキをかけてしまう人すらいるのだ。

K香さんの婚活がうまくいかない原因にも、根底に「自己否定」があったのだ。

父親が原因の「自己否定」を脱出するワーク

親との関係にネガティブな思いを持つ人にぜひやってほしいのが、「親へのひっそり謝罪ワーク」である。「いや、こっちが謝ってほしいくらいですよ」と思う人がいるかもしれないし、「親とは仲がいいし、十分感謝しているから、私にそのワークは必要ない」という人もいるだろう。

しかし、感謝するだけでは十分ではないのだ。感謝することは、見下していてもできる。40代50代の婚活は、普通のことをやっていてはなかなかうまくいかないのが現実。騙されたと思ってやってみてほしい。

もちろん直接謝ってもかまわないが、その必要はない。これは親のためではなく自分自身のためにやるワークなので、心の中で「ひっそり」謝るだけで十分効果があるのである。


「親へのひっそり謝罪ワーク」のやりかた

1.ひとり静かにいられる時間と場所を用意する。夜寝る前や、湯ぶねにつかっているときがおすすめ。

2.親に謝りたい過去の経験があれば、心のなかで謝罪をする。
(例)
「お父さん(お母さん)、あのときウソをついてごめんなさい」
「お父さん(お母さん)、ずっと見下してきてごめんなさい」
「お父さん(お母さん)、かわいそうな人という目で見てきてごめんなさい」
※これを3週間、毎日続ける。

このワークを続けると、不思議とどんどんと表情がやわらかくなっていくのがわかる。K香さんの場合もそうだった。親を見下している罪悪感から解放されて、気持ちがラクになったようだ。仕事の上でも変化を感じたという。

「これまで、『部下には任せられない、自分でやったほうが早い』と思っていました。でも、みんなは私を助けようとしてくれていたんですよね。なのに私が彼らにダメ出しをして、信頼しようとしていなかった。今は素直に『手伝って』と言えるようになりましたし、信頼して任せられるようにもなりました」

あなたも「見えない鎧」を着ているかも…

K香さんは、父親が残した借金を「自分が返す」という選択をしたほどの責任感とバイタリティのある女性だ。その状況を原動力にして仕事をがんばってきたし、成果も上げてきた。その分「弱みを見せてはいけない」と自分を縛ってきたのだろう。

親に心の中で謝罪をすることで「自己否定」から抜け出せたK香さんは、肩の力が抜け、周りにいる人に対しても素直に心を開くことができるようになった。

一度破れたハートマークに絆創膏を貼って、差し出す手元
※写真はイメージです

それから、自然と婚活で出会った人を「査定」することもなくなったという。むしろ、お相手の「いいところ」に目を向けられるようになったと話してくれた。

ちなみにK香さんはその後、とあるセミナーで出会った3歳下のほぼ理想通りのお相手と、恋をして結婚した。結婚を告げたとき、職場の人たちには「てっきり独身主義なんだと思っていました!」と驚かれたと苦笑されていた。

「そんなふうに思われるほど、自分には見えない鎧を着ていたんですね」

婚活をしても「いい人がいない」と思っている人には、自分が相手を「見る目」がそうさせていないか、振り返ってみてほしい。自分でも気づかないうちに自分を見下し、そのせいで相手を見下してしてしまっているかもしれない。

相手のいいところを見つけられるかどうかは「自分次第」だということを、婚活女性にはぜひ覚えておいていただきたい。

伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げない女ひとが選ばれる』(フォレスト出版)。

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